静岡でナラ枯れ広がる シイタケほだ場「日差しが心配」

ナラ枯れの目印となる木の根元に積もる木くずを確認する森野さん(静岡県伊豆市で)

 全国各地のミズナラやコナラなどブナ科の木で起きている枯死被害「ナラ枯れ」が、近年、静岡県で増えている。今年は例年以上に県東部での被害が目立ち、10月上旬までに800本以上の被害木の報告があった。原木シイタケを発生させるほだ場ではブナ科の木で日陰をつくる農家がおり、枯死による日射量の増加を懸念する。関東など他県でも発生地が広がっており、行政も警戒を強めている。(木村薫)
 

予防も駆除も重労働


 伊豆市で原木シイタケを栽培する森野弥寿次さん(65)は「8月の盆が明けてから急に枯れ始めた。こんなことは今まで経験したことがない」と驚く。ほだ場は通常、湿度がやや高く、強風や直射日光が当たらない森の中に設ける。ブナ林のほだ場にナラ枯れが生じると、シイタケの発生に影響する可能性がある。

 森野さんのほだ場では数年前にも病原菌を媒介するカシノナガキクイムシが入った形跡が見られていたが、木が枯れたのは今年が初めてだという。枯死した木の周辺には、8月の盆前に駒数で約25万~26万を植菌したほだ木を設置していた。森野さんは「周囲で作業性の良い場所は見つかりにくく、ほだ場を移せない。来年以降の夏の日射が心配だ」と話す。

 

一部の木だけが茶色く枯れている森野さんのほだ場(静岡県伊豆市で)
 ナラ枯れ対策として、殺菌剤を根元に注入する予防方法や、土壌薫蒸剤を使った駆除方法がある。ただ、直径30センチ以上の老木ほど被害を受けやすい傾向があり、県東部農林事務所森林環境班の堤真一班長は「予防には費用がかかる上、駆除するためにも被害木を伐倒する必要があり、重労働になる」と説明する。

 直射日光を避けるため、ほだ場に寒冷しゃを張るなどの方法もあるが「台風などで破れてしまい、一時しのぎにしかならない」(森野さん)と対策に苦慮する。
 

全国で拡大 対策は地域一体で


 静岡県では2010年の浜松市での初確認以降、県西部を中心に発生していたが、徐々に拡大し、県森林整備課によると今年は県東部からの報告が増えている。19年度の被害量は国有林を含め2900立方メートルで、前年の6・6倍。県は11月末をめどに状況をまとめる予定で、20年度の被害はさらに増える見通しだ。

 林野庁によると19年度の全国の被害量(速報値)は5万6400立方メートルで、大発生した10年の被害量(32万5000立方メートル)からは減少しているが、感染地域は徐々に広がっている。

 今年はこれまで未発生だった茨城県と栃木県で初めて被害が確認された。同庁は状況を取りまとめ中だが「(全国的に)新たな場所で被害が見つかっている」(研究指導課)という。

 森林害虫などに詳しい森林総合研究所昆虫生態研究室の北島博室長の話

 これまで発生していなかった場所で被害が起きている。猛暑や少雨だけが要因とは言えないが、今年はその傾向がより顕著だ。気付いた時には虫が侵入していることが多く、まん延しないよう地域一体で予防することが重要だ。
 

<ことば> ナラ枯れ


 かびの一種のナラ菌が引き起こす伝染病。ブナ科のナラ類やカシ類の樹体内で菌が繁殖し、水を吸い上げる機能を阻害して枯死させる。紅葉前の山で樹木が枯れているのが特徴。カシノナガキクイムシが媒介する。森林がまきや炭として利用されなくなり木が高齢・大径化したことが被害拡大の要因となったとする見方があり、1980年代から被害が目立ってきた。
 

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