数字には弱いもので、統計で示されると納得してしまう

 数字には弱いもので、統計で示されると納得してしまう。そして思惑にまんまと引っ掛かる▼そんな落とし穴に警鐘を鳴らしたのが、ディズレーリという19世紀末の英国首相。「嘘(うそ)には3種類ある。嘘、大嘘、そして統計だ」、との有名な言葉を残した。客観的に見せかけるため、数字を使った統計がしばしば使われたのだろう。そうした“偽装”を皮肉った▼GHQのマッカーサー元帥も、はまった。戦後日本は深刻な食料難に見舞われ、吉田茂首相は少しでも多くの食料援助を引き出そうと、統計を示しながら「国民が餓死してしまう」と迫った。援助は求める量の6分の1にも満たなかったが、餓死者は出なかった。いぶかる元帥に、吉田は言った。「もし日本の統計が正確だったら、むちゃな戦争などいたしません」(『祖父 吉田茂の流儀』)▼思惑がちらつく貿易統計である。昨年の農林水産物の輸出額は、目標の1兆円に届かなかったが、過去最高だった。気を良くしたか、菅義偉首相は5年後に2兆円と意気込む。それはそれで結構だが、もっと目を向けるべきなのは輸入の多さだろう。9・5兆円。食料自給率の低迷を、輸出増で済まされては割に合わない▼きょうは統計の日。使う側の思惑を客観のベールが包む。心して読まねば。
 

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