営農型太陽光発電 農家と業者 “仲人”必要

 農地に支柱を立てて架台を載せ、農地の上で太陽光発電をしながら農業生産にも取り組む営農型太陽光発電の面積が増えている。当初の設備投資に資金が必要なため、農家が単独で発電事業に参入するのは難しい。優良な連携相手を仲介する仕組みづくりが求められる。

 営農型太陽光発電に取り組むには農地転用の許可が要る。地域の平均より単位収量が2割以上減らないことなどが要件だ。農水省によると、当初の2013年度の転用許可件数は96件で、発電施設の下部にある農地の面積は19・4ヘクタールだった。これが18年度には481件146・9ヘクタールに伸びた。6年間の累計は1992件で560ヘクタールになる。

 太陽光発電関連機械メーカーなどで作る太陽光発電協会は今春、新型コロナウイルス感染拡大防止に絡んで、エネルギーの転換が急速に進むとの見通しを示した。仕事や生活スタイルが見直される中、太陽光発電などの再生可能エネルギーへのシフトが加速するとの分析だ。50年には、太陽光発電(直流換算)のうち耕作放棄地や畦畔(けいはん)などを含む農業関連が3割近くになると予想。そして農業関連のうち約3分の2を現役の耕作地が占めるとみる。

 発電事業者によると、都市近郊の耕作放棄地は太陽光発電パネルでほぼ飽和状態。送電線の容量や距離の問題で、山間地の放棄地は条件が良くない。電力需要の多い都市近郊でまとまった耕作地があれば、発電施設の立地としては好条件になる。

 再生可能エネルギーの固定価格買取制度が今年度変更され、耕作放棄地の利用よりも、耕作しながら発電もする営農型の方が参入しやすくなった。営農型が優位となれば、立地の良い耕作放棄地を見つけた発電事業者が、耕作を担当する農業法人を組織し、「営農型発電所」を造り出す手法も考えられる。農地の所有者、耕作者、発電事業者が一致していない例は多い。

 同省の調査では、土地を所有する農家自らが発電設備を設置した例は全体の25%にとどまる。土地所有者とは別の農家が17%。残りの58%は、発電事業者が設置している。太陽光発電は大半の農家には未知の事業で、この分野に詳しい事業者が手を出すのは当然であろう。

 当初必要な資金や技術を考えれば、農家が単独で発電設備を導入するのは難しい。投資家や発電事業者など、農家は誰かと組むことになる。大事な農地を任せる以上、信用できる相手でなければならない。

 国連の持続可能な開発目標(SDGs)には、再生可能エネルギー比率の大幅引き上げも入っている。農業が脱化石燃料を迫られたとき、太陽光発電は有力な選択肢だ。一方で発電事業者や投資家として多くの参入者があり、農地への進出を狙っている。両者をつなぎ、農家の相談に乗ったり助言したりする仲人役が必要だ。自治体などの取り組みに期待したい。

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