[未来人材] 23歳。ブロッコリーの味に衝撃 大学を中退して就農 九州一の生産めざす 福岡県飯塚市 尾下厚太さん

ブロッコリーの定植を進める尾下さん(福岡県飯塚市で)

 福岡県飯塚市の尾下厚太さん(23)はブロッコリーの魅力に取りつかれ、農業の世界に飛び込んだ。誘ってくれた先輩農家のグループに加わり、栽培に励む日々だ。若手が知恵を出し合い高い品質と効率的な生産を追い求める「九州一のブロッコリー生産者集団」を目指して熱意を燃やす。

 大学1年生の秋。若手農業者グループ「百笑」代表の高須賀政信さん(41)からもらったブロッコリーの味に衝撃を受けた。今までに感じたことがない甘さだった。作り手の高須賀さんは、地域で催された懇親会で農業の楽しさを熱く尾下さんに語った。「さらに規模拡大したい」。その姿に、漠然と大学進学した尾下さんの心は揺れ動いたという。

 翌年の夏、高須賀さんの農場で農業体験を重ねるうち「俺には農業だ」と夢が固まった。決まった仕事を繰り返すだけの会社生活と違い、自然が相手で何が起きるか分からない農業。自分の性格に合っていると確信した。20歳の時、高須賀さんの下で就農すると決めた。

 本気で取り組もうと大学は中退。決意を聞いた家族は反対こそしなかったが、好意的ではなかった。「どうせすぐやめると思われていたのではないか」と尾下さん。だが、生き生きと働き続ける姿に周囲の見る目も変わった。母親は今や応援してくれる一人だ。勤務先で「百笑」が育てたトウモロコシを宣伝し、注文を取りまとめる役まで買って出てくれている。

 ただ、熱意だけでうまくいくほど農業は甘くなかった。初収穫を前に黒すす病がまん延。ブロッコリーはほぼ全滅し、厳しさを思い知った。小さな黒い斑点を見逃したことが原因だった。「対策が甘かった。大きな失敗」と心に留める。今は別の畑に移動するときは、病原菌を持ち込まないよう長靴の洗浄を徹底する。

 「百笑」は約20ヘクタール規模で栽培。メンバー3人で役割分担して作業を効率化する。例えば農機の使い方。定植時には2台のトラクターを同時に使う。1人目が畑を平らに整備。2人目が後ろから畝を立てる。3人目は定植機で苗を植える。高須賀さんは尾下さんを「メンバーで最も真っすぐに畝を立てる」と信頼を置く。

 「人を感動させるブロッコリーを作りたい」。尾下さんの描く夢だ。
 

農のひととき


 農業は時間を自由に作れることが魅力。集団で作業しているため、作業の進展状況を見ながら「今日は早めに切り上げて飲みにいくか」ということもある。食べてもらった感想を聞くことが、励みになる。来年はハウスを建設し、ブドウ栽培も始める予定。直売では、食味を宣伝できる。その場で食べもらって感想を聞くのが楽しみだ。

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