アグラボとIT 食と農の革新 未来開く

 ベンチャー企業と連携し新事業の開発を目指すJAグループのアグベンチャーラボ(アグラボ)は、開設から約1年半になる。IT活用で食と農の「未来」を開く取り組みは成果を上げ始めた。今後は、生産現場により近い場所での情報発信、事業連携の強化が求められる。

 JA全中、全農、農林中央金庫などJAグループを挙げた、農業や金融、食、生活など幅広い分野でのIT活用の取り組みは初めて。それだけに、食と農を対象とした未知の分野での事業開拓の可能性がある。

 農林中金の奥和登理事長は「長期的な視点で成果を上げたい。喫緊の課題である農業労働力対応でも斬新なアイデアが提供され注目している」と将来を見据える。連携するのはベンチャー企業、中でも小規模な起業家であるセットアップ企業の支援に力を入れる。新たな発想が、新規事業のヒントにつながるとの期待からだ。

 アグラボの特色は、営農経済、農業金融、保険、観光、新聞、出版などJAグループの持つ幅広い総合事業の力と人材を活用できる点だろう。ユニークな切り口で、食と農の視野を広げてほしい。

 アグラボと企業との連携の成果は徐々に形となってきた。いわばラボが生む“革新”だ。

 今後は一段と、データ農業の時代となる。宮崎県新富町に本社のあるテラスマイルは、多様なメーカーのスマート農業機材から得られるデータを活用・分析して、営農を支援するサービスを展開する。利用している生産組合では、分析を基にピーマンの収量が5割増えた事例もある。こうしたシステムをJAグループと共に広め、特に現場に出向く営農指導員との連携を進める方針だ。

 焦点の農業労働力確保はどうか。シェアグリは、特定技能人材として外国人を雇用し、農家に働き手として派遣する仕組みを構築する。農繁期だけ利用でき、通年の技能実習生に比べ人件費が大幅に減る。

 農業体験プラン作成をウェブで支援するのはマイプロダクト。都市から地方に人が流れ地域産業が活性化する。経営責任者の小山翔さんは農林中金出身。地域の基幹産業の農業は、体験コンテンツとして魅力にあふれるとみる。

 これら連携企業の主眼は、JAグループの総合力とマンパワーの活用だ。

 アグラボは食と農と地域と暮らしの革新を目指す。キーワードは連携だ。荻野浩輝アグラボ代表は「もっと地域、農業者との関係を強め、アグラボの実践力を高めたい」と強調する。生産現場との課題共有を狙い7月、JA全青協と連携協定を締結したのもそのためだ。今後、相互の知見を生かし農業振興と地域活性化を目指す。

 アグラボに参加する起業家らの創意ある取り組みが、農業現場にどう浸透していくか。スマート農業との連携も鍵を握る。
 

おすすめ記事

論説の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは