[災い転じて](上) 観光地の新戦略 宮城県蔵王町 都市離れ仕事…「すてき」
2020年10月28日

緑豊かな宮城県蔵王町でテレワークをする佐藤さん。「大自然が疲れを癒やしてくれます」と言った
「ここに来て本当によかった」
新型コロナウイルス感染拡大に伴う全国緊急事態宣言が解除された直後の6月、仙台市の自宅で不動産会社の事務を受託している佐藤亜矢子さん(48)は、蔵王連峰の懐に抱かれた宮城県蔵王町で暮らしていた。……
新型コロナウイルス感染拡大に伴う全国緊急事態宣言が解除された直後の6月、仙台市の自宅で不動産会社の事務を受託している佐藤亜矢子さん(48)は、蔵王連峰の懐に抱かれた宮城県蔵王町で暮らしていた。……
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桃 初の10万トン割れ せん孔細菌病が多発 20年収穫量
2020年産の桃の収穫量が9万8900トンとなり、前年産より9000トン(8%)減ったことが農水省の調査で分かった。4年連続の減少で、同省の統計開始以降初めて10万トンを割り、過去最低となった。主産地の福島県や長野県などで、葉や果実に穴が開く「せん孔細菌病」が多発したことが要因。同省は20年度第3次補正予算に同病の防除対策を盛り込み、生産継続を支援する。
都道府県別の収穫量は、全国1位の山梨県がほぼ前年並みの3万400トン。同2位の福島県は2万2800トンで同16%減、同3位の長野県は1万300トンで14%減った。果実を収穫するために実らせた結果樹面積は全国で9290ヘクタールで、3%減った。一方、全国の10アール当たり収量は6%減の1060キロだが、福島県、長野県では、ともに12%の減少だった。
両県の収穫量の減少について、同省はせん孔細菌病の多発を要因に挙げる。対策として同省は、20年度第3次補正予算で、同病などを対象とした「重要病害虫等早期防除対策事業」に4億6300万円を計上した。福島や長野など、同病の被害が拡大している地域のJAや複数の農家でつくるグループが対象。発生状況の調査や枝葉の病斑の除去などの経費として、最大半額まで補助する。
希望者は、防除の時期や取組内容などを盛り込んだ事業計画書を地方農政局に提出する。予算の限度額に達していない場合、年度をまたいでの申請でも認められるが、同省は「まん延を早期に防止するためにも、早めに申請してほしい」(植物防疫課)と説明する。
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2021年03月07日

星空の黒牛 くちどけフレーク 北海道標茶町
「農業生産法人エフシーエス」が自社生産した牛肉を、帯広市の瀬戸産業が加工する。「凍ったままの牛肉を食べる」という発想から生まれた商品。今までにない食感で、熱いご飯に掛けて食べたり、わさびしょうゆで酒のさかなにしたりと楽しめる。
肉を特殊な殺菌水で処理し、トリミングを経て加工する。国の分類では「冷凍牛生ハム」に区分されるが、生ハムのような塩分はない。野趣な生肉を感じさせる風味と食感、8割が赤身というヘルシーさが人気の秘密。購入してから1時間以内に食べるか、冷凍保存が必要だ。
1箱(180グラム)2200円(税別)。問い合わせはエフシーエス、(電)015(485)1938。
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2021年03月06日
ドローン+スマートグラス 桃せん孔細菌病防除 山梨大
山梨大学は、ドローン(小型無人飛行機)とスマートグラス(カメラ付き眼鏡型端末)を組み合わせ、桃のせん孔細菌病の防除方法を研究している。桃園を上空から撮影し、木の生育や園地環境を盛り込んだ地理情報システム(GIS)を構築。被害箇所や発生しやすい場所を特定する。その情報を基に、地上からはスマートグラスで病斑を検出、枝の適切な切除場所を表示する。
初心者でも対策ができる技術として、2022年度の実用化を目指す。
桃のせん孔細菌病は、枝や葉、果実に感染し、樹勢や果実の商品価値の低下を引き起こす。降雨や風によって感染が拡大。薬剤だけで防ぐことが難しいため、被害枝・葉の切除や被害果の摘果が必要になる。
しかし、木の上部まで確認して作業するため、昇降機や脚立が必要で、高齢者の事故が多発している。一方、新規参入者には枝の切除場所などが分かりにくく、的確な防除が困難だった。
同大学工学部の小谷信司教授は、高解像度のビデオカメラを搭載したドローンで、園地を上空から撮影。園の被害状況が分かるGISを構築している。将来的には、自動的に被害を検出できる画像認識システムを目指している。
温湿度や風、降ひょうのデータに加え、木の被害状況を地図上に入力し発生しやすい条件を見つけ出す。小谷教授は「地域全体で防除することが重要だ。発生しやすい園地は、別の作物に転作するなどの対策がとれる」と指摘する。
スマートグラスは、付属のカメラ映像から病斑を検出し、切除する具体的な場所を示す。確認しながら作業でき、見落としや切り忘れを防げる。切除した枝や葉、果実は検査を実施。病斑の検出が正しかったか確認し、精度を高める。
21年度は、生産現場で実証を進める予定だ。小谷教授は「桃のせん孔細菌病で技術を確立すれば、他の果樹や病害にも応用できる」と期待する。
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2021年03月09日

20年産米食味ランキング 特A 3年連続50超 競争激化、有利販売が鍵
日本穀物検定協会(穀検)は4日、2020年産米の食味ランキングを発表した。最高位の「特A」に格付けされた産地銘柄数は53となり、3年連続で50を超えた。北海道「ゆめぴりか」、山形「つや姫」が特Aの連続記録を伸ばした。新型コロナウイルス下で家庭用米の販売競争が激しさを増す中、特A取得を有利販売につなげられるかが焦点だ。
ランキングは今年で50回目。米の良食味競争の激しさに伴い、出品数は増加傾向にある。今回対象となったのは44道府県の154産地銘柄。このうち、特Aは53銘柄で過去最多の18年(55)や19年(54)に次ぐ高水準だった。穀検は「米の主産県は、特Aを取る代表銘柄を持っていないと競争に負けるという思いがある」と指摘する。
コロナ下で、業務用の銘柄も家庭用米市場に流入して競争は激化。特Aで良食味米のお墨付きを得て、販売に弾みをつけたい産地が多かった。
今回初めて特Aを取得したのは、愛知「ミネアサヒ」(三河中山間)、鳥取「コシヒカリ」、初出品の長崎「なつほのか」など6産地銘柄。愛知県産米の特A取得は初めて。初出品の富山「富富富」はAだった。
北海道は3産地銘柄全てで特Aを取得。「ゆめぴりか」が10年連続、「ななつぼし」が11年連続となる。山形「つや姫」は地域区分の変更はあるが、県産としては10年産のデビュー以降、連続で特Aを取得する。新潟・魚沼「コシヒカリ」も特Aを守った。県オリジナル品種としては、青森「青天の霹靂(へきれき)」、岩手「銀河のしずく」、福井「いちほまれ」、山形「雪若丸」が特Aを取得した。
高温耐性、新興勢が健闘 主力銘柄“苦戦”も
良質米の生産拡大と消費拡大を目的に始まった食味ランキングは、1989年から最高位「特A」を設けている。競争の高まりとともに出品数は年々増加。「特A」獲得を売り場やホームページなどで宣伝するなど販売ツールとしても使われ、ブランド米として販売するための必須条件ともなっている。産地は、「特A」獲得を目指して良食味米生産に取り組む。
今回は、開発されてから時間がたった品種に苦戦が見られた。「あきたこまち」は主産地の秋田で9年ぶりに「特A」を逃した。「ひとめぼれ」は生産量が多い岩手と宮城県で「特A」がゼロ。「ヒノヒカリ」は16産地が出品したが「特A」は2産地にとどまった。こうした産地では、新品種の導入が進んでいる。
存在感を示したのは高温耐性品種だ。「にこまる」は出品した5産地全てで「特A」を獲得。新品種「なつほのか」も長崎で獲得した。「つや姫」は大分では逃したが、他の産地では全て「特A」だった。
産地間や新旧品種の勢力争いは年々活発化している。新型コロナウイルス禍で家庭内消費が高まっているものの、消費者の低価格志向もあり、ブランド米市場の販売環境は厳しい。「特A」を獲得したブランドは、全体の3分の1を占める。関係者は「良食味に加え、さらに価値を訴求できるかが重要」と指摘する。
<ことば> 米の食味ランキング
日本穀物検定協会が1971年産から始め、今回で50回目。食味試験をし、産地銘柄ごとに「特A」「A」「A´」「B」「B´」の5段階で格付けする。複数産地の「コシヒカリ」のブレンド米を基準に、外観、香り、味、粘り、硬さ、総合評価の6項目で評価する。
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2021年03月05日
規制会議議論始まる 准組利用「組合員の判断」 農水省が方向性表明
政府の規制改革推進会議農林水産ワーキンググループ(WG)は5日、改正農協法施行5年後の見直しに向けた議論を始めた。農水省やJA全中などから意見を聴取。同省は今後の検討の方向性として、JA准組合員の事業利用については「組合員の判断に基づく」との考えを示した。WG側は、農家所得増大に向けたJAの自己改革の成果を詳細に示すよう求め、数値目標による進捗(しんちょく)管理の必要性も指摘した。
WG 所得増「数値目標を」
会合は非公開。同省は各分野の改革の実施状況を総括し、方向性を示した。……
次ページに農水省が示した農協改革の検討方向の表があります
2021年03月06日
新型コロナの新着記事

[新型コロナ]ワクチン接種始まる 厚生連病院
新型コロナウイルスワクチンの医療従事者向け優先接種が、JA厚生連病院でも始まった。JA神奈川県厚生連相模原協同病院では8日、医療従事者ら約380人が1回目の接種を受けた。10日までの3日間で975人が接種する予定だ。
問診をしてから、肩上部に筋肉注射した。接種後15分は待機し、体調に異変がないことを確認。スムーズに進めば、1分以内に接種が終わる人もいた。接種した井關治和病院長は「全然痛くない。新型コロナウイルスは国難だ。感染の広がりを抑えるために接種に協力したい」と話した。
2回目は3週間後の29日から接種する予定。同病院では、ワクチンが希望した1400人分に足りず、追加の供給を要望している状況だ。
厚生労働省によると、高齢者への接種は4月12日から一部の市町村で始まる見通し。4月5日の週に住民の接種に向けてワクチン供給を始め、6月末まで高齢者約3600万人の2回接種分を配布する予定だ。
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2021年03月09日
[新型コロナ] 「食料安保に関心」6割 “国産派”も増 コロナで高まる 全中調査
新型コロナウイルス禍を経て、国民の約6割が食料安全保障に関心を持っていることがJA全中の調査で分かった。うち約7割は国産食品を積極的に買っていた。以前からそうした考えを持っていた人に加え、コロナ禍を機に考えが変わった人も一定数いて、国民の食料への意識が高まっていることが鮮明になった。
全中は食や農業、JAに関する世論を知るため2011年から毎年調査をしている。対象は全国の20~60代の男女2500人。20年11月の最新調査では、初めてコロナ禍について聞いた。
「以前に比べ、国内で食料を生産する大切さ(食料安全保障)に対する関心が高まったか」という問いでは、18・4%が「以前は関心を持っていなかったが、コロナ禍で関心を持つようになった」と答えた。「コロナ禍で、さらに関心が高まった」(19・6%)、「コロナ禍以前から引き続き関心は高い」(22・7%)と合わせ60・7%が食料安全保障に関心を持っていた。
食料安全保障に関心を持つ人の割合は、女性で特に高かった。年代別に見ると、以前から関心が高い人の割合は男女とも高い年代ほど上昇する傾向にあった。新たに関心を持ったり、高めたりした人の割合は年代に比例しなかった。
食料安全保障に関心を持つ人に対し「国産の食品を多く(外国産から切り替えて)買うようになったか」を聞いたところ、72・6%が国産食品を積極的に購入していた。
内訳は「コロナ禍以前から積極的に買っている」が37・5%で最多。「コロナ禍以前から買っているが、さらに買おうと思った」(22・1%)、「コロナ禍で関心を持ち積極的に買うようになった」(12・9%)と続いた。
全中は、食料安全保障への関心が高い割合で行動に結び付いていると指摘。「引き続き『国消国産』の重要性を発信し、食料安全保障の確立につながれば」(広報部)とする。
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2021年03月02日

コロナ下で地域医療守る北海道厚生連 全国から励まし700件 「皆様の勇気に感謝」「私たちのヒーロー」
各病院で新型コロナウイルスの感染者の治療に当たっているJA北海道厚生連に、感謝の手紙や農作物の寄付など700件を超える支援が全国から届いている。旭川厚生病院では全国最大規模の感染クラスターが発生するなど、感染拡大で先行きが見えず厳しい状況が続いていた。道厚生連の役職員は「“善意の輪”にどれだけ救われたか分からない」と感謝している。(尾原浩子)
職員の心救う
同厚生連は15カ所の病院・クリニックを経営し、特別養護老人ホームやデイサービスなど介護施設も運営。近くに薬局がない組合員や地域住民らのため配置薬業務も行う。地域に密着し農村に軸足を置く同厚生連に対して、全国のJAや組合員、患者、地域住民、関係団体、学校などからの励ましやねぎらいの言葉が書かれた寄せ書きや寄贈・寄付が届いた。
その数は全体で700件以上に上り「この街を支えてくれてありがとう」「みんなが元気になりますように」「感謝の気持ちでいっぱい」「いつも守ってくれてありがとう」といった言葉が多数添えられていた。特に医療従事者に対して「皆さんは私たちのヒーロー」「皆様の勇気に感謝」「いつも応援しています」と感謝の言葉をつづる手紙が多かった。中には手形を桜の木のように仕立てたものもあった。
心温まるメッセージが、時には家にも帰れず、涙を流しながら病院で働く医療従事者の励みになり、勇気につながったという。同厚生連では送られてきた手紙などは大切に保管している。
同厚生連の中瀬省会長は「温かいお言葉でどれほどの職員の心が救われたか分からない。日々励まされ、現在もなお対応に当たることができている」と感謝している。
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2021年03月02日
コロナ下販促支援 2次募集 7月末分まで対象に 農水省
農水省は、新型コロナウイルス禍で売り上げが2割以上落ち込んだ農産物の販売促進活動を支援する「国産農林水産物等販路多様化緊急対策事業」の2次募集を行う。近く募集を始め、締め切りは4月上旬とする方針。4月中下旬から7月末までの取り組みを対象とする。
2020年度第3次補正予算で250億円を計上した事業だが、緊急事態宣言の再発令による影響なども踏まえ、21年度も支援することにした。……
2021年03月02日
緊急宣言 食品業界に明暗 宅配伸び外食苦境 1月売上高
食料品を扱う各業界の1月売上高がまとまった。新型コロナウイルス感染拡大に伴う政府の緊急事態宣言再発令で、家庭内で調理する内食傾向が強まり、食品宅配やスーパーの好調ぶりが目立った。特に宅配は大きく伸びた。一方、外食や百貨店は外出自粛による客足減が響き、落ち込みが大きくなった。……
次ページに食料品を扱う業界の売上高に関する表があります。
2021年02月28日

コロナ禍で需要減 豚レバーで薫製 消費拡大へ 家庭向け人気 千葉県食肉公社
新型コロナウイルス禍による需要減少で廃棄処分されていた豚レバーが、薫製加工をした商品として人気を集めている。食肉出荷・加工を手掛ける千葉県食肉公社(千葉県旭市)が、独自の熟成法と薫製で味を改良した「豚レバースモーク」を道の駅などで販売。緊急事態宣言の解除を見据え飲食店ではメニュー開発も進んでおり、地域を挙げて消費拡大に向けて動き始めた。
豚レバーは串焼きやレバニラ炒めの材料として、居酒屋やレストランを中心とした外食産業に需要があった。しかしコロナ禍で外食需要が低迷。同公社では最大約9割が廃棄処分になったという。
「一般家庭向けに豚レバーを使えないか」。同公社の若松重伸取締役営業部長らは、昨年7月ごろから新商品の開発に着手。独自の調味液に漬けて零下2~0度前後で氷温熟成し、桜チップでいぶして香り付けをした「豚レバースモーク」(約100グラム330円)を作った。若松部長は「ねっとりとした食感を味わってもらいたかった。豚レバースモークを通じて消費を拡大したい」と期待する。
千葉県は豚の飼養頭数が全国5位の60万3800頭(2019年2月1日時点)と豚は身近な存在だが、若松部長によると「豚レバーのスモークはなじみがない」という。昨年11月、千葉市の商業施設でテスト販売をしたところ、見込みの20個を大幅に上回る約100個を売り上げた。
今年1月に旭市の道の駅季楽里あさひや旭食肉協同組合本店の他、県内の道の駅や直売所で販売を始めたところ、評判を聞き付けた客が相次ぎ、売り切れの店も出た。季楽里あさひの江本伸二駅長は「これまで聞いたことのない商品だったが、いまではスモーク目当てで来店する人もいるほどの人気だ」と驚く。
メニュー開発 飲食店も意欲
市内では新たな豚レバーメニューの開発も進む。ハンバーグとケーキの専門店「キッチンツナグ」は、ハンバーガーに豚レバースモークを加えるなどメニュー開発に余念がない。2月からメニューで目立つように「旭市豚さんのレバーパテ」「スモークレバー」と記載したところ、店内や持ち帰りで注文する客が増えたという。豊田維代表は「コロナ禍で来店客は減っているが、豚レバーのメニューは反応が良い。今後も新たなメニューを出して千葉から豚レバーを広めたい」と意気込む。
同公社では学校給食への提供を目指し、ソーセージなども開発中だ。
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2021年02月27日

緊急事態延長で飲食限界 倒産増加 止まらず
新型コロナウイルス感染症対策で政府が10都府県の緊急事態宣言を3月7日まで延長したことで、飲食店などの外食業界にとどまらず、食材の卸業者や生産農家への一層の打撃は避けられない。2020年の企業の休廃業と飲食業の倒産は2000年以降最多に上り、緊急事態宣言延長で外食業界は限界が迫っている。
東京商工リサーチによると、20年に休廃業・解散した企業は、2000年の調査開始以来最多の4万9698件だった。……
2021年02月05日
花ある暮らし推進 需要喚起へ発信強化 コロナで農水省
緊急事態宣言の再発令で販売が低迷する花きの需要喚起に向け、農水省は29日、花を飾ったり、贈ったりして楽しむことを呼び掛ける「花いっぱいプロジェクト2021」を始めると発表した。昨年行った取り組みをリニューアル。消費者向けに花きの情報を集めた特設サイトを同省ホームページに新設し、花飾りや花贈りの機運を高める国民運動も新たに行う。
同プロジェクトは、新型コロナウイルス禍を受けて昨年3月に開始。自治体や企業に花の活用を提案し、消費者に花の購入を呼び掛けてきた。同省は取り組みにより、「(花き業界から)通販などで家庭での需要が伸びたとの声が聞かれた」(園芸作物課)とする。
緊急事態宣言の再発令で、業務用を中心に販売が再び低迷する中、同省はプロジェクトをリニューアル。新設したサイトでは、身近にある花屋などを紹介した「応援ショップリスト」、飾り方や長持ちさせる方法などを伝える「花飾りお役立ち情報」などを掲載。企業や団体によるキャンペーン情報なども発信する。
国民運動は、同省が消費者や企業などから募り、「花いっぱいプロジェクト応援隊」をつくる。応援隊がインターネット交流サイト(SNS)を通じて活動を紹介し、花飾りや花贈りの機運を高める。取り組みの課題などを話し合うオンライン意見交換会も実施。活動の質が高まるようにすることを見込む。
野上浩太郎農相は同日の閣議後記者会見で、「国民の皆さまには、家庭で花を飾ったり、大切な人に花を贈っていただければ」と述べた。
同省でも正面玄関や記者会見場を花で飾ることや、バレンタインデーやホワイトデーに合わせた職員による花の購入などを予定している。
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2021年01月30日

クラスター発生2カ月 北海道・旭川厚生病院 地域医療の要 再開へ 組合員、住民ら安堵
新型コロナウイルスで全国最大規模の311人の感染クラスターが発生した北海道旭川市のJA旭川厚生病院が、診療を再開した。国立感染症研究所や保健所などの指導で徹底した感染対策を講じ、終息したと判断された。外来は予約制で対応し、2月から施設内健診も再開する。道北地帯の地域医療の要だっただけに、JA組合員や地域住民は安堵(あんど)している。(尾原浩子)
ホテル通勤、「風評」耐える
同病院は旭川市だけでなく、道北各地の自治体から住民らが頼りにする地域の基幹病院だ。医師や看護師らおよそ1000人の医療スタッフが働く。市内の他病院で感染が広がり、転院患者を受け入れるなど、コロナ禍の地域医療を守るために対応してきた。
専門家が「最高レベルの感染対策」をしてきたと評価する同病院だったが、昨年11月20日に陽性者を確認した。その後感染に歯止めがかからず、外来を停止するなど診療制限をせざるを得ない異例の事態となった。中でも、道北各地から多くの人が頼りにしていた産婦人科の外来診療と、年間800件を担ってきた分娩(ぶんべん)の休止は地域医療に深刻な影響を与えた。
同病院は対策本部を立ち上げ、国や北海道のクラスター対策班、保健所、近隣病院やJA北海道厚生連の他の病院の協力を得て、事態の収束を目指した。
その間、病院の職員は苦しい生活を強いられた。一部の職員は感染拡大を防ぐため自宅に帰らず、同厚生連が契約したホテルから通った。家族に会えない中でも使命感で医療に従事し、涙を流しながら働く職員もいた。職員自身が陽性者でないにもかかわらず、家族や子どもが職場や保育園に通えなくなるなど、厳しい状況が続いたという。
12月下旬には感染拡大の歯止めにめどが付いた。同月22日には旭川医大との連携で救急母体搬送、新生児救急搬送の一部再開に踏み切った。同月30日以降は陽性者の発生はなく、1月26日、森達也院長が記者会見で終息を宣言した。
北海道厚生連 中瀬省会長に聞く 懸命の対策効かず ウイルスと壮絶な闘い
JA北海道厚生連の中瀬省会長に28日、終息までの経緯や受け止めを聞いた。
JA北海道厚生連の中瀬省会長
──クラスターが発生した理由は。
発生した理由はまだ分かっていない。しかし、感染者を最初に確認した時はほぼ満床状態で、市内の他の医療機関でもクラスターが発生していた。転院も難しく、陽性患者と感染していない患者を分けるのが困難だった。
目に見えないウイルスの感染防止は非常に難しく、国立感染症研究所や保健所の指導を受けながら対応したが、感染者数が多いこともあり、感染に歯止めがかからなかった。クラスターが発生した時点で一部の診療を残し、診療を休止した。北海道厚生連のネットワークで他の厚生病院、本部からも応援スタッフが対応に当たった。
感染拡大は医師や看護師が悪いわけでは決してない。森院長が会見や会議で「申し訳ない」と謝罪する姿を見て、とてもつらかった。ある職員が泣きながら感染症の専門家である恩師に「どこが悪かったのか」と訴えていたと聞いて、自分も涙が出た。一生懸命やっているのに、それでも抑えきれない。ウイルスとの闘いは壮絶だった。
──診療再開をどう受け止めますか。
診療制限で地域住民ら多くの人に迷惑をかけ、本当に申し訳なかった。ゾーニング対策や検査の拡充など徹底し終息に至り、ここまで来られた。
私はもち米を作る農家で、病院に精通しているわけではない。今回、命を預かる病院職員の使命感と存在の大きさを、改めて知った。毎日の朝夕のウェブ会議で、森院長、看護部長、事務部長らがどうやって終息させるかを真剣議論しているのを聞き、心が震えた。病院は単なる建物ではなく、たくさんの立場の人が集まって地域医療を守っていることを痛感した。
地元(JA北はるか)から病院までは車で2時間かかるが、診療再開で地元の組合員から「ほっとした」「待ち望んでいた」と聞き、本当にこの病院は道北の地域を守っているのだと痛感した。まだ受け入れの制限はしているが、再開を伝えられてよかった。
上川地区13JAの組合長会をはじめとする全道各地のJA、組合員、子どもたち、地域住民、職員OB、厚生連にお世話になったという患者、関係者ほか、多くの人から支援を頂いた。物資や寄せ書きなど、温かい支援に心から感謝している。
──改めて国や組合員に伝えたいことは。
厳しい状況だが、国や道、自治体からの支援のおかげで経営が成り立っている。長期戦なので、息の長い支援を国や道などにお願いしたい。
組合員や住民には、ちょっと油断すれば感染が広まることを知ってほしい。多人数の会食を控え、マスクや手洗いは徹底し、みんながちょっとずつ辛抱する。流行させないという努力をみんなですることが、コロナ対策の一歩になる。
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2021年01月29日

コロナ下節分に葉物や実 魔よけ飾り試験販売 大田花き
花き卸の大田花きは、2月2日の節分に向けて葉物や実を使った魔よけ飾りを初めて開発した。新型コロナウイルスが猛威を振るう中、「疫病退散」の意図を込めた。首都圏のスーパー限定で試験販売する。店頭価格は500~600円を想定し、来年以降の本格販売を視野に入れる。
縁起物の植物を束ねて壁に飾るタイプで、大きさはA4サイズ。厄よけに用いられるヒイラギに加え、古来、神聖なものとされるヒカゲノカズラ、一部地域で豆まきに使われるラッカセイ、「難を転じて福となす」ナンテンの実などを合わせた。
大田花きと買参人の加工業者とで、計400個を手作りした。首都圏に展開するスーパーのサミットとヤオコーで限定販売する。今後は業者の加工ラインで効率よく生産できるよう、花材や組み方などを工夫していく。
同社は「花業界の物日ではなかった節分に、新しい需要をつくる」と今後を見据える。
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2021年01月29日