日本産輸出に追い風 中国が越境EC規制緩和

 日本農林水産物・食品の輸出拡大に新たなチャンスが到来した。新型コロナウイルス禍で非対面取引の需要が増えたことで、中国の越境電子商取引(EC)の利用者が急増した上、新たな貿易形態による輸入品に大幅な規制緩和が適用されるためだ。
 

手続き簡単 税金も安く


 インターネットの情報管理などを進める政府傘下の中国互聯網絡信息中心(CNNIC)の9月の報告によると、ECを利用した購買者数は6月現在、7億4939万人で、ネット利用者の8割を占める。うち1億3800万人が「越境EC」と呼ばれるサイトで海外商品を購入した。

 日本の農水省に当たる農業農村部が9月にまとめた報告書によると、2019年の越境ECの輸入商品のうち、食品・飲料などは311億元(約5000億円)で売上高2位。特に粉ミルクや生鮮品の輸入が目立った。

 背景には、越境EC商品に対する大幅な規制緩和がある。食料、油、野菜、果実、肉類、ミルク類、海産品など、ほとんどの農林水産物を網羅している。これらの商品に対し、一般的な貿易は許可手続きなどに1~3年かかる。しかし越境ECなら2~6カ月に短縮される。

 例えば、輸入許可証や登録。一般貿易では、これらの手続きが欠かせない。その半面、越境EC商品は、政府公表の輸入リストに載っている商品であれば、初回であっても輸入許可・登録は必要ない。

 検疫現場でも、生鮮農産物に対する検査時間を減らしている。越境ECの生鮮産品に対し、広州、上海などの税関では、検疫・通関作業を従来の2時間から30分へ4分の1に短縮した。

 税金も安い。越境ECの商品は無関税だ。ただ、付加価値税などを含む総合税率は6・3%かかる。それでも一般貿易(16%)に比べかなり低い。

 商品ラベルについても、越境EC商品は中国語ラベルを貼る必要がない。ネット上で消費者が分かるように中国語で関連情報を伝え、偽物防止のバーコードを掲載することで済む。それとは対照的に、一般貿易商品は、中国語ラベルを貼る必要がある。

 農業農村部は、越境ECの農産物貿易は「まだ初期段階で、今後さらに成長する」と分析する。日本産農産物の輸出拡大に向けた活用が求められる。
 

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