熊を忌避 くいと においで退散 秋田県立大が開発
2020年11月03日

くいとロープで作った熊よけの柵(秋田県立大学提供)
秋田県立大学木材高度加工研究所などは、ツキノワグマによる被害を減らす木製のくいを開発した。トウガラシやミントなど熊が嫌がるにおいがする。くいを約2メートル間隔で並べてロープで連結すれば、農地や人間の生活圏への熊の侵入防止に効果がある。横手市で木材加工を手掛けるウッディさんないが、2021年以降に本格販売を始める予定だ。
くいには長さ2メートル、直径10センチの丸い杉材を使う。くいに直径3センチの穴を30個以上開け、熊が嫌がるにおいをしみ込ませた木栓を打ち込んだ。穴を開けた木栓をロープに通して、くい同士をつなぎ、柵にする。使用条件によるが、2年ほどにおいが持続するという。
秋田県内では熊の目撃情報が年々増えており、人的被害は年間で数十人に及ぶ。山間部では果樹や野菜、水稲で熊の食害が相次いでいる。
熊の食害があった果樹園4カ所で試験した。このうち、約25アールのブドウ園では①熊が通る獣道②園への侵入場所──に設置。それぞれ約2メートル間隔でくい5、6本を木栓付きロープでつなぐと、熊の侵入がなくなった。同大学の野田龍准教授は「農作物の収穫前に設置すれば効果的に被害を軽減できる」と期待する。においに対する慣れは今後、継続して試験する。
くいは電気柵と比べ、定期的な草刈りや通電の確認が不要で、感電の心配もない。積雪しても設置したままでよく、撤去や再設置の手間がかからない。20年は試験販売をしている。価格はくい1本9000円(税別)。柵は幅6メートル(くい3本)で5万6000円(同)。くいの直径は、用途に応じて変更できる。
くいには長さ2メートル、直径10センチの丸い杉材を使う。くいに直径3センチの穴を30個以上開け、熊が嫌がるにおいをしみ込ませた木栓を打ち込んだ。穴を開けた木栓をロープに通して、くい同士をつなぎ、柵にする。使用条件によるが、2年ほどにおいが持続するという。
秋田県内では熊の目撃情報が年々増えており、人的被害は年間で数十人に及ぶ。山間部では果樹や野菜、水稲で熊の食害が相次いでいる。
熊の食害があった果樹園4カ所で試験した。このうち、約25アールのブドウ園では①熊が通る獣道②園への侵入場所──に設置。それぞれ約2メートル間隔でくい5、6本を木栓付きロープでつなぐと、熊の侵入がなくなった。同大学の野田龍准教授は「農作物の収穫前に設置すれば効果的に被害を軽減できる」と期待する。においに対する慣れは今後、継続して試験する。
くいは電気柵と比べ、定期的な草刈りや通電の確認が不要で、感電の心配もない。積雪しても設置したままでよく、撤去や再設置の手間がかからない。20年は試験販売をしている。価格はくい1本9000円(税別)。柵は幅6メートル(くい3本)で5万6000円(同)。くいの直径は、用途に応じて変更できる。
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発生農場が「衰弱している豚がいる」と県に通報。26日に農研機構動物衛生研究部門の精密検査で患畜と分かった。18年9月に国内で26年ぶりに豚熱が確認されて以降では11県、62例目となる。和歌山県内はワクチンを接種済みのため、移動や搬出制限は行わない。
発生を受け野上浩太郎農相は26日夜、農水省の豚熱・アフリカ豚熱防疫対策本部で「ワクチン接種済みの豚で発生したことは遺憾。接種しても免疫を獲得できるのは8割で、全ての豚に適切な時期に接種できるわけではない」と強調。「決して気を緩めず、飼養衛生管理を徹底するよういま一度お願いしたい」と呼び掛けた。
ワクチン接種県での発生は、群馬、山形、三重に次いで4県目。和歌山県は20年6月にワクチン接種を始め、同月内に初回接種を終えていた。
飼養管理再徹底を
豚熱のワクチン接種では、子豚の未接種期間や一部に免疫が十分ではない豚が出るという課題が当初から指摘されていた。接種開始から1年以上がたち、あらためて飼養衛生管理を徹底することが求められている。
農水省は今月、豚熱ワクチンの接種地域が28都府県に広がったことから特に注意すべき防疫ポイントについて専門家らの提言をまとめた。牛豚疾病小委員会の委員からは「ワクチンに頼り切り農家の対策がおろそかになっているように感じる」との声も出ていた。
注意点では従来通り、ウイルスを農場に持ち込まないための車両などの消毒、イノシシの侵入対策、豚舎ごとの手袋や長靴の交換を強調した。
また、ワクチンを接種しても2割程度は免疫を獲得できず、全ての豚が適切な時期に接種できるわけではないため、未接種の離乳豚などは感染の可能性を念頭に置いた入念な衛生管理が必要。低温の時期には効果的な消毒液の濃度が変化することや、定期的な手順の確認も重要とした。
農場ごとに獣医師や診療施設から家畜の健康管理について指導を受けることも求めている。農家単独では慣れなどの要因で注意が行き届かなくなる可能性があるためだ。
ワクチン万能薬ではない 接種後の発生に衝撃
県内の養豚場で豚熱が発生し、関係者に衝撃が走った。同県では昨年6月から飼養豚へワクチン接種をしており、発生した養豚場でも定期的に接種して感染対策を取っていたからだ。「ワクチンは“万能薬”ではない」という現実が、改めて突き付けられた形となった。(北坂公紀)
県内の養豚場で豚熱が確認されるのは、1971年以来、50年ぶり。国内で26年ぶりに発生が確認された2018年9月以降では、近畿地方で初の発生となった。発生養豚場では27日午前から殺処分を開始。県職員延べ200人体制で作業に当たり、28日午前までに終える見通しだ。
県では昨年6月に全ての飼養豚を対象にワクチン接種を行い、生まれてくる子豚にも接種を続けていた。ワクチンは母乳から移行してくる抗体が減ってくる50~60日齢ほどの子豚に打つことで、徐々に免疫を付けていく。今回感染した60~70日齢の子豚も、8日にワクチンを打っていた。県内で養豚を営む女性は「必ずしもワクチンで感染を防げないとされていたが、実際にワクチン接種後に感染が確認されてショックは大きい」と肩を落とす。
農水省によると、ワクチン接種で十分な免疫を獲得できる豚は8割程度にとどまり、豚熱への感染リスクは完全になくならない。今回感染が確認された豚には1月上旬に接種されたものもいた。接種後も引き続き飼養衛生管理を徹底し、豚熱の侵入を防ぐ必要がある。
国のイノシシ対策 見直し急務
各養豚農家の飼養衛生管理とともに重要となるのが、感染源となる野生イノシシ対策だ。
同省は野生イノシシでの感染拡大を防ごうと、いわゆるワクチンベルト対策を進めるが、十分に抑え込めていないのが現状だ。和歌山に奈良、大阪を加えた近畿3府県では昨年10月、それまで確認されていなかった感染イノシシが立て続けに見つかっていた。
県によると、今回の発生農場はイノシシ対策の柵や防鳥ネットの設置など、十分な対策をしており「飼養衛生管理を徹底していた養豚場での発生だけに残念だ」(畜産課)としている。
北海道大学大学院の迫田義博教授は「ワクチンは万能薬ではない。各農家は再度、自身の対策を見返してほしい。ただ、国内での豚熱問題の終結には、野生イノシシで豚熱を封じ込めることが大前提だ。野生イノシシ対策の立て直しは急務だ」と注文を付ける。
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都府県酪農強化へ 自家育成子牛増頭を支援 ヘルパー確保策も拡充 農水省
都府県酪農の生産基盤強化に向け、農水省は2021年度に自家育成子牛の増頭を支援する対策を新設する。中小規模経営を対象に、増頭1頭当たり5万円を交付。19年度補正予算で講じた増頭奨励金と同様の仕組みとする方針で、21年末時点の頭数を確認する。同省は事業の活用について、早期の検討を呼び掛けている。酪農ヘルパーの確保策も拡充し、人手不足への対応を強化する。
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熟練猟師が担い手育成 ペーパー狩猟者に同行 環境省、制度化へ
環境省は、狩猟の担い手不足の改善を狙い、2021年度から「狩猟インストラクター制度」の構築に乗り出す。有害鳥獣としての捕獲数の増加や人や農作物への被害に歯止めがかからない中、熟練者が現場に同行して経験や技術を教える仕組みを想定。鳥獣害管理に携わる人材育成に向けて、複数県で試行後、全国規模の制度として展開する方針だ。
同省によると全国の狩猟者免許所持者数は16年時点で20万人。……
2021年01月26日
日本食の親善大使 ポーランド ベナン… 18カ国を初任命
農水省は国産農林水産物の輸出拡大に向けて、日本食・食文化の情報発信に取り組む「日本食普及の親善大使」に、海外で活動する料理人など36人を任命した。日本食・食文化への関心が高まっているヨーロッパやアジアを中心に30カ国・地域で任命。このうち、韓国やシンガポールなど18カ国で初めて任命した。
ポーランド初の親善大使には、同省主催の外国人向け寿司コンテスト「ワールド・スシ・カップ」で優勝経験のある日本食レストランのオーナーを任命。スペインの大使に任命したアンドニ・ルイス・アドゥリス氏は、世界的に知名度の高いレストラン「ムガリッツ」のオーナーシェフで、日本の食材や日本食への造詣が深いという。アフリカ大陸初の大使として、ベナンの日本食レストラン経営者も任命した。
同親善大使は2015年から任命しており、今回を合わせて海外で44カ国・地域の87人、国内で58人の計145人を選んだ。同省の事業への協力やメディアでの情報発信、海外の日本食レストランなどへの助言を通じ、日本食・食文化の普及に取り組んでいる。
同省は「今後も海外での任命を増やし、日本食・食文化の普及を通して国産品の輸出拡大につなげたい」(海外市場開拓・食文化課)と話す。
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2021年01月26日

大雪被害の新潟県を視察 営農再開へ支援強調 農相
野上浩太郎農相は23日、昨年12月からの記録的な大雪で農業被害が発生した新潟県の南魚沼市と上越市を視察した。両市で倒壊した育苗ハウスを視察後、上越市で行政やJA関係者、農家らと意見交換。春の営農に向けた支援を求める要望があり、野上農相は「施設の撤去や再建、種子や苗の確保、果樹の植え替え、畜産被害の対応などの支援が必要だ」と述べた。
南魚沼市では、JAみなみ魚沼の育苗ハウスを視察。……
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