[家畜はどこへ 広域盗難を追う] 群馬に別グループ浮上 全国へ「にく」密売か

SNSのベトナム人コミュニティーサイトに投稿された宅配伝票の写真。品名欄に「にく」と書かれてある(画像は一部加工しています)

 北関東を中心に家畜900頭が盗まれた事件に関連し、群馬県館林市のベトナム人グループが、奈良や千葉など全国へ豚の肉や血液を冷蔵宅配便で密売していた疑いが浮上している。と畜場法違反容疑で逮捕された同県太田市の技能実習生ら17人とは別で、在日ベトナム人のインターネット交流サイト(SNS)に豚肉の送付済み伝票の写真などを投稿し、注文を受けていた。購入者は各地にいるとみられ、捜査も広域化しそうだ。
 

SNSに写真


 日本農業新聞が確認した複数の投稿のうち、7月下旬の投稿には10枚程度の荷物の発送済み伝票の写真があり、送付品欄には「にく」と平仮名で書かれていた。宛先欄には奈良、千葉、埼玉などの住所が日本語で記され、依頼主欄にはアルファベットで館林市内の住所とベトナム人名があった。依頼主の連絡先には携帯電話番号が書かれていた。

 投稿には伝票の他、内臓が取り除かれた豚の胴体、豚の血とみられる赤い液体入りのペットボトル、豚肉料理の写真もあった。豚の血はソーセージの材料として知られており、送付済み伝票や解体中の豚の写真を並べることで「新鮮な豚を届ける」というメッセージになっている。

 「危機を乗り越えて仕事ができる」といった購入者への感謝の言葉に加え「ローストポークが必要な場合は知らせて」と、調理して送るサービスも書かれていた。注文は「午後6時まで」と限定。以前から豚の密売を繰り返していたことを示す記述もあった。

 さらに別の投稿には、刃物を手に解体中の豚をまたぐ男の写真がある他、「100頭の豚をお客さまに届けた」とした女の投稿もあり、解体だけでなく大量の豚を生きたまま密売していた疑いも出てきた。

 グループの投稿は家畜盗難が社会の注目を集め始めた9月ごろに削除されたが、投稿の内容は県警も把握している。

 家畜窃盗の捜査過程で逮捕され、報道発表されたベトナム人は、同県太田市と埼玉県上里町に住む20~39歳の技能実習生ら男女19人で、容疑は豚の違法解体や不法残留。捜査上の理由で発表されていない逮捕者もいるもようで、警察は窃盗容疑での立件に向け詰めの捜査を続けている。
 

盗まれた豚8万食分


 盗難900頭のうち豚は840頭で、その大半は体重50~60キロの子豚だ。食肉関係者によると、60キロの豚から取れる赤肉は二十数キロで、バーベキュー100人分に相当。8万4000食分が盗まれた計算で、国内で起きた家畜窃盗事件としては前例のない規模だ。可食部だけの被害総額は市場価格換算で3000万円を上回り、被害農家は大きな打撃を受けた。

 840頭全てが解体され食べられたのか、飼育されている個体もいるのか。子豚を盗まれた養豚場経営者は「豚は戻らないと覚悟しているが、せめてどうなったのかは知りたい」と捜査の行方を見守る。(栗田慎一)
 

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