JA、農家が行政に協力 田んぼダムで水害防げ 愛知・安城市

水田に設置した排水ます。ステンレス製のせき板をはめ、普段は下の穴から排水する(愛知県安城市で)

 愛知県安城市で、台風などの豪雨時に河川の氾濫を防ぐため、市とJAあいち中央、農家が協力し、水田に水をためる「水田貯留」の取り組みを進めている。水田に排水ますや用水路に調整ますを市の事業として施工し、2020年度までに約32ヘクタールで水田貯留ができる体系を整えた。約190ヘクタールまで広げる計画で、計5万立方メートル超の貯留容量を目指す。
 

資材特注、32ヘクタール整備


 水田貯留は「田んぼダム」とも呼ばれる。雨量が増えてきたら水田の水位を5センチほど上げて水路や準用河川に流れ込む水量を減らし、下流域の水害を防ぐ。

 市は10年度から事業を開始。当初は用水路に調整ますを施工し、上流域の水田全体を管理してきた。18年度からは、農家から無償で協力を得る形で、各水田に排水ますを施工する方式にした。

 たん水期間中、排水ますに直径5センチの穴が開いたせき板をはめる。通常の水管理ではその穴から排水する。豪雨時には排水が追い付かず、せき板の高さまで水がたまる仕組みだ。せき板は農家の声を基に、北海道のメーカーに特注した“安城仕様”。横幅は26センチで、高さはますの深さで変える。麦や大豆の転作でたん水しない期間に外したせき板を持ち帰る必要がないようフックを付けて、ますに固定できるようにした。

 市によると、7月豪雨の時には施工した水田に水がたまる様子が確認できた。下流域で一部氾濫はあったものの小規模で済み、住宅被害はなかったという。

 水田30ヘクタール、転作田30ヘクタールを管理する稲垣巨樹さん(44)は19年度から協力。板を取り外す作業が増えるため「管理面積が増える中、より手間が掛からないように改善できればさらに広がるのではないか」とみる。

 市は協力農家とJA担当者を集めた意見交換会を定期的に開き、ますの使用感や課題を聞いて、より使いやすい構造を検討する。市土木課は「農業と防災は一体。耕作に支障が出ない範囲で協力してもらえれば効果はある」と話す。
 

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