コロナ感染急増の北海道 病院、福祉施設に緊張走る 地域のとりで守れ

看護師や検査技師と診療について打ち合わせをする藤永所長(左)(13日、札幌市で)

 11月に入り、新型コロナウイルスの感染拡大が急加速する北海道。地域の医療や福祉を守る最前線を担っているのが、医師や介護士らだ。感染者は札幌市だけでなく、道内の農山村地帯に広がりつつある。事態が緊迫する中、地域のとりでとして感染予防策の強化や病床確保など、懸命な対策を続けている。(洲見菜種、望月悠希)
 

予防対策、態勢整備急ぐ


 道内では12日に1日当たりに報告された新規感染者が過去最多の236人を確認するなど、7日連続で150人を超え、感染拡大に歯止めがかからない。

 道内で感染拡大が著しい札幌市のJA道厚生連札幌厚生病院共済クリニック。藤永明所長は「従業員はすさまじい緊張感の中で働いている」と話す。飛沫(ひまつ)感染を防ぐため診察室にパーテーションを設けたり、窓口にビニールシートを付けたりする。診察台や検査器具などは1日2回のアルコール消毒を徹底。従業員の会食制限もする。診療控えで3月以降、外来患者は3割ほど減り経営にも影響が出ている。藤永所長は「病院がパニックになり患者の不安をあおるわけにはいかない。冷静沈着に十分に感染対策をして必要な医療を提供したい」と話す。

 札幌市の次に人口が多い旭川市。JA道厚生連旭川厚生病院は地域の他の病院と申し合わせ、重症・中症の患者を受け入れることになっている。同病院は「さらに感染者が増加した場合、軽症者を宿泊療養施設に移動させるなどの受け入れ病院の負担減や、個人防護服の不足に備えた支援が必要」とする。

 酪農が盛んな釧路地方の弟子屈町。JA道厚生連特別養護老人ホーム摩周は、町内唯一の特別養護老人ホームとして町内や近隣の高齢者福祉を守っている。道内の別の特別養護老人ホームでクラスター(感染者集団)が発生しており「緊張感は高まっている」(菊地崇施設長)という。

 同施設は特養で100人、ショートステイは約10人が利用する。菊地施設長は「認知症の利用者が多く面会や外出の制限などの感染対策が理解されないという苦労もある」と明かす。「3密」を避けたレクリエーションなどで対応するが、ストレスを抱える利用者への対応が課題だという。

 農業と漁業が盛んな北見市常呂町で96人が入居するJA道厚生連特別養護老人ホームところは2月から、面会方法を変え、窓越しでの会話と無料通話アプリ「LINE(ライン)」を使った対応を取る。11月に入り、同市内の飲食店でクラスターが発生したが、同町とは距離があり、面会は現行対応を当分維持する方針。同施設は「一人でも職員が感染したり、濃厚接触者になったりして出勤停止になると、通常のサービス提供が難しくなる。その場合は人的支援が必要だ」とする。

 JA道厚生連は「冷静に地域医療を守る対策を続けるしかない。厚生連だけでなく、地域の医療が一丸で連携したい」としている。
 

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