廣田遥さん(元トランポリン日本代表) 試合前白米パワー不可欠   

廣田遥さん

 トランポリンという競技では、体重が1キロでも増えると、技に大きな影響が出てしまいます。
 

献身的だった母


 食事は、母が研究を重ねて作ってくれました。体重は増えないように、でも筋肉はちゃんと維持するように。これを両立させるのは大変だったと思います。

 菓子は全て母の手作りでした。ケーキは、砂糖の量や脂肪分をきっちり計測して作ってくれました。ポテトチップスも、ジャガイモを薄くスライスして揚げて、塩をまぶしてくれました。油も、米油を使うなど工夫して。食材も、添加物の少ないものを選んでくれていました。

 でも制限ばかりですと、ストレスで大変なことになります。それで、試合の終わった日だけは、好きなだけ甘い物を食べていいと決めていました。

 父も母も魚が大好きなので、ご飯の時には魚がよく並びました。

 後は鶏のムネ肉。低脂肪高タンパクな上に、疲労が取れるので。ささ身を食べていた時期もあったんですが、ムネ肉に疲労物質を取ってくれる成分が豊富に入っていると聞き、変えたんです。ありがたかったです。パサパサしているささ身より、ムネ肉の方がおいしいですから。それと、ビタミンB群を取るために豚肉も食べました。

 食事の時は、まずボウルいっぱいの生野菜のサラダをいただきます。レタスとトマト、それに旬の野菜をたっぷり食べて、それからタンパク質、ご飯の順です。

 海外遠征には、レトルトのご飯と乾燥みそ汁を持って行きました。

 オリンピックでは、選手村で食事をいただきます。ご飯も用意されていましたが、パサパサとしていたんです。

 私は日本の米が大好き。試合の前には白米を食べないと力が出ない、集中できない気がするんです。レトルトのご飯を温めておにぎりを作って食べました。
 

素材生かし切る


 現役を引退してからも食材にはこだわっています。また、オーガニックフードマイスターの資格を取るため勉強した時に、農家の苦労を学び、野菜は「捨てる部分は何もない」という気持ちで料理をしています。

 家の近くにJAの直売所があるんです。地元で取れた新鮮な野菜が手に入るので、とても助かっています。

 私の夫の実家は、マグロの卸をやっています。夫は、大阪の中央卸売場でマグロ専門の仲卸業としての仕事を継ぎました。

 それまでは食べる専門でしたが、結婚を機に、魚のことを学び魚料理アドバイザーやシーフードマイスターの資格を取りました。

 マグロには鉄分をはじめとした栄養素がたくさんあります。夫はアメリカンフットボール選手でしたので、ワコールの陸上部や、京都大学、立命館大学のアメリカンフットボール部などに、低脂肪で高タンパク質な食材として提供しています。多くのアスリートや子どもらの健康的な体づくりのサポートに取り組んでいます。

 魚市場に大きなマグロが並んでいるのを見て、食材の命をいただくありがたみを感じるようになりました。マグロの命を全部いただくという意味で、食べられない部分を乾燥粉砕して肥料にする試みを始めました。サステナブル(持続可能)な生活が唱えられていますよね。マグロを使った肥料で農家に野菜を作っていただければ、うれしいと思っています。(聞き手=菊地武顕)

 ひろた・はるか 1984年、大阪府生まれ。12歳から本格的にトランポリン競技を始める。高校2年だった2001年から、全日本選手権で10連覇を達成。04年アテネ五輪で7位入賞。08年北京五輪で12位。11年に引退後は、メディア出演、講演活動、トランポリン教室などで活躍。箕面トランポリン大使でもある。
 

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