食べ頃AI判別 オンライン収穫 農家視点も味わう 技術継承用のシステム活用 凸版印刷

タブレットで収穫してほしいリンゴを長野の園地にいる生産者に示す参加者(大阪市で)

 新型コロナウイルス禍で農村観光にもオンラインを活用する動きが広がる中、新技術を生かした収穫体験が登場している。15日に凸版印刷(東京都千代田区)が大阪市で開いたリンゴ収穫体験イベントでは、人工知能(AI)で実の赤さを判定する機能を設け、収穫に適したリンゴを見分けやすくした。車椅子の人でも気軽に参加できるとあって、新たなニーズの獲得にもつながっている。

 会場に用意されたタブレット端末の画面には、長野県飯綱町の生産者が掛けたカメラ付き眼鏡型端末「スマートグラス」の映像が映し出された。実際に収穫している人の視点で、画面に映るリンゴを触るとスマートグラスにも表示される。参加者は甘いリンゴの見分け方や品種の特徴などを生産者に尋ねながら、AIが薦めるリンゴを指示して収穫を楽しんだ。

 

スマートグラスで参加者の指示を確認しながらリンゴを収穫する藤原さん(長野県飯綱町で=凸版印刷提供)
 同町は、新型コロナ禍でリンゴ狩り参加者や観光客が減少。凸版印刷はサテライトオフィスを同町に置いており、何とか力になろうと技術を提供した。

 同町でリンゴ60アールを栽培する「FUJIWARA―ROOTS―FARM」の藤原新哉園主が実際の収穫を担当。参加者の代わりにリンゴ「サンふじ」を1組当たり5キロ収穫し、郵送した。

 藤原さんは「コロナ禍で直売できる機会が減っていたので、消費者とやりとりしながら収穫できて楽しかった」と語る。参加した大阪市の横山和也さん(36)は車椅子を利用しており、「まさかリンゴ狩りができるとは思っていなかった。リアルタイムで生産者の視点で映像が見られて、本当に収穫しているようだった」と喜んでいた。

 もともとは新規就農者の育成などを目指して開発したシステム。高齢で農地に行けない生産者が自宅から栽培を指導できるようにすることで、技術の継承に活用する考えだ。同社は「AIによる判別を使って新しい収穫体験を提供できた。開発を進めて農業分野での一層の活用を目指したい」(ICT開発部)と意気込む。

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