コロナ第3波で、故郷がさらに遠ざかる

 コロナ第3波で、故郷がさらに遠ざかる。ますます遠きにありて思うものになっていく▼演出家で作家の久世光彦さんが、ふるさとソングのマイベスト3を書き残している。「故郷の空」「故郷の廃家」「故郷を離るる歌」の3曲で、いずれも外国の歌である。〈思えば遠し故郷の空〉〈あれたる我家に住む人絶えてなく〉〈さらば故郷 さらば故郷 故郷さらば〉。順に歌詞を抜き出したが、望郷と哀切がにじむ▼「故郷の歌は、都会の真ん中に置き去りにされた羊の歌である」(『ベスト・オブ・マイ・ラスト・ソング』文春文庫)と久世さん。日本にも「故郷(ふるさと)」や「赤とんぼ」など愛唱歌は多い。故郷がある限り「こうした歌はいつまでも歌い継がれるのだ」という▼思えばわが国の近代化の歩みは、「向都離村」の歴史だった。かつて村は、夢や志を胸に出ていく場所であった。都でひと旗揚げ、故郷に錦を飾る成功者の物語の一部でしかなかった。その潮流が「田園回帰」へと変わってきた。コロナ禍も「密」から「疎」への流れを後押しする。東京都では7月以降、転出が転入を上回る人口流出が続く▼それでも年末年始の帰省に二の足を踏む人は多いだろう。〈ああ わが父母 いかにおわす〉。歌に望郷の思いを乗せコロナ終息を祈る。
 

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