作詞家の岡本おさみさんは、旅の詩人だった

 作詞家の岡本おさみさんは、旅の詩人だった。吉田拓郎さんとのコンビで「旅の宿」「襟裳岬」などのヒット曲を手掛けた▼享年73。昨日が忌日でもう5年がたつ。彼が作詞し、拓郎さんが歌った「空に満月、旅心」に、仲間と旅の相談をする場面がある。「旅に出ようと誰か言う 紅葉、それとも雪見酒 桜はどうかと、まとまらず いつかめぐるは酒の旅」。どこに行こうか、何を食べようか。あれこれ思案しながら、旅に思いをはせる時間が楽しい▼コロナ第3波が、そんな浮き立つ旅心を奪っていく。首相肝いりのGoToトラベルやイートに急ブレーキがかかった。遅過ぎるという怒り、やむを得ないの嘆息、観光や飲食業界からの悲鳴。さまざまな声が入り交じる。市民に不要不急の外出自粛を呼び掛けながら、観光客を呼び込むというのは、いかにもちぐはぐだ。罪作りなウイルスである▼名曲「旅の宿」の誕生秘話を以前2人が語っている。ある日、岡本さんから電話がかかってきた。「いい詩があるから書き留めてくれ」。〈浴衣の君はススキのかんざし…〉。最初の歌詞を聞いただけで、「これはすごい」と拓郎さん。思わず体が震えたという▼旅を友とした岡本さんなら、コロナの時代のいま、どんな歌詞を紡いだだろうか。
 

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