[あんぐる] 時を知る1粒、遭遇 祖父江のギンナン(愛知県稲沢市)

黄金色に色づいたイチョウの木々。散策する人たちの姿も(愛知県稲沢市で)

 全国有数のギンナン産地、愛知県稲沢市の祖父江地区で、町内に1万本以上といわれるイチョウの木々が黄金色に染まっている。

 今年は新型コロナウイルスの感染拡大によって晩秋恒例の「そぶえイチョウ黄葉まつり」やライトアップが中止となったが、イチョウはいつもの年と同じようにギンナンをたわわに実らせ、生産者は特産品の出荷に追われている。

 この地域から出荷されるギンナンは、丸形で大粒なのが特徴。町の北西の方角にある伊吹山から吹き降ろす冬の季節風「伊吹おろし」対策の防風林として、江戸時代にイチョウを植えたことが産地の起こりという。

 イチョウ並木が神社仏閣や屋敷周りなど町中にあったことから、別名は「屋敷ギンナン」。木曽川流域の肥沃(ひよく)な土地で、樹齢100年を超えてなお実をつける大木も数多く残っている。米の凶作時には、備蓄食料になったとも伝えられている。

 

水洗いされたギンナン。冷水を使う作業で手は真っ赤に
 収穫は葉がまだ青い8月下旬に始まった。JA愛知西祖父江町支店経済課の村上圭吾係長は「今年は夏の長雨と猛暑で、高齢化が進む生産農家の作業がはかどらずピンチでした」。毎年約120トンの収穫高が総量の85%程度に下回ったが、例年以上に品質が良かったため高値で取引され、売り上げは94%を維持した。

 収穫されたギンナンはまず、専用の機械を使って果肉と種子を分離。続いて水洗い。このとき水に浮くものは実入りが悪いため取り除き、さらに比重1・08の塩水にもう一度漬け、再度浮き上がった物も除く。

 こうして選別したギンナンは、「磨き粉」で研磨、乾燥した後に10粒合計の重さで等級分けし、ようやく出荷となる。塩水や等級分けの方法は、品質を守り続けるための独自の検査方法だ。

 いくつもの過程を経て出荷されたギンナンは、東京都中央卸売市場豊洲市場や大田市場などを経由して全国の消費者に届けられる他、一部は京都の料亭へ直送される。(仙波理)

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