今日もだれかの腹を満たす… “農家ヒーロー”コメンジャー参上 福岡・JA糸島青年部が考案

子どもにはさ掛けを指導するコメンジャー「ヒノヒカリ」(JA糸島青年部提供)

 福岡県のJA糸島青年部が考案した戦隊ヒーロー「コメンジャー」が、地元中心に活動を広げている。青年部主催の農業祭で誕生し、隊員の名には「ヒノヒカリ」「夢つくし」など米の品種を採用。ショーではカメムシやトビイロウンカを敵に戦う。保育園では子どもたちに向けた食育活動も展開し、人気を集めている。(三宅映未)
 

害虫と戦い、食育活動


 かつて糸島市では、農業祭にヒーローを呼んで盛り上げていたが、予算の都合などで呼べなくなっていた。子どもを持つ青年部員が増えてきたこともあり、「祭りの活気を取り戻したい」と考えた三坂哲弥部長らが手作りのヒーローをつくることを提案。2018年、青年部主催の農産物直売イベント「ちかっぱ糸島」で「コメンジャー」をお披露目した。

 隊員はリーダーの「ヒノヒカリ」を筆頭に「ヤマダニシキ」「ユメツクシ」「ニコマル」「ミルキークイーン」の5人。いずれも管内で生産されている米の品種から名前を付けた。キャッチコピーは「今日もだれかの腹を満たす」だ。青年部員が演じるが、農作業に支障が出ないよう、担当を固定せず持ち回りで「変身」する。ショーの約3週間前から週2回、作業後の夜に集まって稽古する。

 プロデュースするのは、19年に青年部で立ち上げた広報グループに所属する米農家、吉村翼さん(33)。もともと特撮ヒーローが好きだったという吉村さんは、映画関係の仕事を経て就農した。キャラクターデザインやショーのシナリオを一手に引き受ける。頭部に文字を模したものを付けるデザインは、戦国武将のかぶとをヒントにした。衣装にかけるお金がなく、やむなく使い始めた長靴は「農家らしい」として、そのまま衣装になっている。

 コロナ禍の影響が九州でも広がり始めた3月。閉塞(へいそく)感が漂う世の中を少しでも明るくしようと、広報グループが運営する青年部のフェイスブックにコメンジャーが励ましの投稿したところ、地元の保育園から反響があった。

 そこで「コロナで落ち込んでいる子どもたちを元気づけたい」と、保育園を回って米や地元農産物を伝える食育活動を始めた。訪問先では好評で「園児が残さずご飯を食べた」と喜びの声も上がる。年度内には市内の保育園を回り切る予定だ。

 三坂部長は「活動を通じて自分たちも元気をもらっている。地元の農産物のことを知って、応援してもらえるとうれしい」と語る。吉村さんは「目標は市のご当地ヒーローになること。そして全国区になったあかつきには、農家一人一人がヒーローだということを、マスクを取って見せていきたい」と意気込む。
 

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