千葉で鳥インフル 今季、東日本初 116万羽殺処分
2020年12月25日

防疫作業のため鶏舎に入る県職員ら(千葉県いすみ市で=県提供)
農水省と千葉県は24日、同県いすみ市の採卵鶏の農場で鳥インフルエンザの疑似患畜を確認したと発表した。千葉県は全国有数の畜産県。採卵鶏の飼養戸数、羽数とも全国で2番目に多い。高病原性と確認されれば、今季13県・32例目の発生で、東日本では初めて。県は同日、1農場では過去最多となる約116万羽の殺処分を始めた。
23日に農場から県に通報があり、同日中に簡易検査で陽性を確認。24日にH5亜型と判定した。発生農場から3キロ圏内の移動制限区域には2戸の養鶏場が約127万6000羽を飼育。半径3~10キロ圏内の搬出制限区域には8戸が3万7000羽ほどを飼う。
県によると、殺処分は災害派遣要請で動員された自衛隊員450人を含め、約1000人が24時間態勢で進める。殺処分の終了は1月7日になる見通し。発生農場の周辺には、車両の消毒ポイントを設置した。
農水省は同日、鳥インフルエンザ防疫対策本部を開催。野上浩太郎農相は家きん疾病小委員会と疫学調査チーム検討会での専門家の意見として、「全国どこで発生してもおかしくなく、対策としては防疫の基本である飼養衛生管理の徹底、早期発見・早期通報を、渡り鳥のシーズンが終わるまで継続することが必要」と述べた。
千葉県は農水省畜産統計(2019年2月時点)で、採卵鶏の飼養戸数と羽数が全国2位。127戸が1243万5000羽を飼う。肉用鶏は27戸が195万7000羽を飼育する。また、隣接する茨城県は採卵鶏の飼養羽数が全国一。
鶏卵主産地の千葉県での発生を受け、流通業者は仕入れの調整などの対応に追われている。既に西日本での相次ぐ発生で鶏卵の国内生産量は月間約3000トン超減っており、「千葉での発生はインパクトが大きい」(東日本の流通業者)と危機感を示す。
今季の高病原性鳥インフルエンザは、これまで香川県や宮崎県など西日本の12県で31例の発生を確認。殺処分の対象は千葉県を含めると約464万羽となり、かつてない規模に広がっている。
JA全農は、高病原性鳥インフルエンザの発生予防対策をまとめたちらしを作り、農家への配布を始めた。管理や衛生、飼養の注意点を分かりやすくまとめたチェックリストが付いているのが特徴だ。月末をめどに農家に届く予定で、自身で対策する農家の支援として活用を促している。
チェックリストは全部で20項目で、管理体制や農場・施設の衛生、飼養などの場面ごとに分かれる。衛生管理区域の立ち入り制限や、家禽(かきん)舎ごとの専用の靴の使用、水道水以外の水を給与する際の消毒など、基本や細かなことも見逃さないように作成した。
特に対策のポイントとなる小動物の侵入対策、水の衛生対策、踏み込み消毒はイラスト付きで詳しく説明している。ちらしでは対策に使える消毒薬の一覧も紹介。消毒薬は種類ごとの金属腐食性の強弱をまとめ、農家が用途に応じて選びやすいよう工夫した。
全農は「細かなことも見落とさずしっかり対策できるよう、チェックリストを活用して再確認してほしい」(畜産生産部)と呼び掛けている。ちらしは、JA系統の飼料を購入する畜産農家に送付する情報誌「ちくさんクラブ21」に同封する。
同県いすみ市の採卵鶏を飼養する養鶏場で24日、鳥インフルエンザの発生が確定したことを受け、同県の養鶏農家に衝撃が走った。県は自衛隊にも協力を要請して殺処分に着手。1月7日までの15日間、県職員や千葉市の下志津駐屯地、船橋市の習志野駐屯地の陸上自衛隊員ら1000人が24時間態勢で防疫作業に当たる。
県は同市の他、御宿町、大多喜町、勝浦市に消毒ポイントを5カ所設け、当面は24時間、通行する全車両を消毒し、ウイルスの侵入やまん延を防ぐ。県畜産課の近藤創副課長は「クリスマスも正月も関係ない。基本は焼却処分だが、数が多く間に合わないので、県有地の埋却処分も視野に早期収束へできることは全てやる」と力を込める。
発生農場から北へ約70キロ離れた匝瑳市で採卵鶏約60万羽を飼う、九十九里ファームの林功会長は「もうどこで起きてもおかしくない」と危機感を募らせる。普段から鶏の異常の有無を確かめているが、県内での発生を受け、鶏舎にネズミなどの小動物が入り込みやすい穴や損傷がないか見回り、管理者の靴・車両の消毒を改めて徹底するという。
県農業協会の松木英明事務局長は戸惑いを隠せない。「発生農場は飼養羽数が全国でもトップクラスで、養鶏業界への影響は計り知れない。防疫対策を特に注意していたと聞いていたのに、なぜ起きたのか」と疑問を投げ掛ける。林会長や松木事務局長は、渡り鳥を媒介した感染に警戒する。県耕地課によると、県内に1297カ所ある農業用ため池のうち、いすみ市は224カ所と県内一だ。林会長らは、地理的要因で同市は渡り鳥が長く滞在しやすい環境だという。
県内有数の鶏卵生産を誇る旭市で採卵鶏約6万羽を飼養するマルゲンは、鶏舎の対策は徹底していたが、いすみ市での発生を受け、急きょ堆肥舎の出入り口に防獣ネットを設けた。ネットは幅7メートル、高さ4メートル。ダンプや建機が出入りすることからネット設置は作業効率が悪くなるが、大急ぎで対応した。同社の衣鳩享一代表は「近くの池や田で越冬するハクチョウなどの渡り鳥が、朝飛んでいるのを見るだけで落ち着かない。卵価の低迷で飼料代が賄えない中、防疫対策は負担が重い。消石灰の配布など経営の規模に応じた十分な支援をしてほしい」と訴える。
鶏卵の大産地
23日に農場から県に通報があり、同日中に簡易検査で陽性を確認。24日にH5亜型と判定した。発生農場から3キロ圏内の移動制限区域には2戸の養鶏場が約127万6000羽を飼育。半径3~10キロ圏内の搬出制限区域には8戸が3万7000羽ほどを飼う。
県によると、殺処分は災害派遣要請で動員された自衛隊員450人を含め、約1000人が24時間態勢で進める。殺処分の終了は1月7日になる見通し。発生農場の周辺には、車両の消毒ポイントを設置した。
農水省は同日、鳥インフルエンザ防疫対策本部を開催。野上浩太郎農相は家きん疾病小委員会と疫学調査チーム検討会での専門家の意見として、「全国どこで発生してもおかしくなく、対策としては防疫の基本である飼養衛生管理の徹底、早期発見・早期通報を、渡り鳥のシーズンが終わるまで継続することが必要」と述べた。
千葉県は農水省畜産統計(2019年2月時点)で、採卵鶏の飼養戸数と羽数が全国2位。127戸が1243万5000羽を飼う。肉用鶏は27戸が195万7000羽を飼育する。また、隣接する茨城県は採卵鶏の飼養羽数が全国一。
鶏卵主産地の千葉県での発生を受け、流通業者は仕入れの調整などの対応に追われている。既に西日本での相次ぐ発生で鶏卵の国内生産量は月間約3000トン超減っており、「千葉での発生はインパクトが大きい」(東日本の流通業者)と危機感を示す。
今季の高病原性鳥インフルエンザは、これまで香川県や宮崎県など西日本の12県で31例の発生を確認。殺処分の対象は千葉県を含めると約464万羽となり、かつてない規模に広がっている。
全農、月内に チェックリスト配布
JA全農は、高病原性鳥インフルエンザの発生予防対策をまとめたちらしを作り、農家への配布を始めた。管理や衛生、飼養の注意点を分かりやすくまとめたチェックリストが付いているのが特徴だ。月末をめどに農家に届く予定で、自身で対策する農家の支援として活用を促している。
チェックリストは全部で20項目で、管理体制や農場・施設の衛生、飼養などの場面ごとに分かれる。衛生管理区域の立ち入り制限や、家禽(かきん)舎ごとの専用の靴の使用、水道水以外の水を給与する際の消毒など、基本や細かなことも見逃さないように作成した。
特に対策のポイントとなる小動物の侵入対策、水の衛生対策、踏み込み消毒はイラスト付きで詳しく説明している。ちらしでは対策に使える消毒薬の一覧も紹介。消毒薬は種類ごとの金属腐食性の強弱をまとめ、農家が用途に応じて選びやすいよう工夫した。
全農は「細かなことも見落とさずしっかり対策できるよう、チェックリストを活用して再確認してほしい」(畜産生産部)と呼び掛けている。ちらしは、JA系統の飼料を購入する畜産農家に送付する情報誌「ちくさんクラブ21」に同封する。
116万羽1農場最大規模 1000人態勢 防疫急ぐ
同県いすみ市の採卵鶏を飼養する養鶏場で24日、鳥インフルエンザの発生が確定したことを受け、同県の養鶏農家に衝撃が走った。県は自衛隊にも協力を要請して殺処分に着手。1月7日までの15日間、県職員や千葉市の下志津駐屯地、船橋市の習志野駐屯地の陸上自衛隊員ら1000人が24時間態勢で防疫作業に当たる。
県は同市の他、御宿町、大多喜町、勝浦市に消毒ポイントを5カ所設け、当面は24時間、通行する全車両を消毒し、ウイルスの侵入やまん延を防ぐ。県畜産課の近藤創副課長は「クリスマスも正月も関係ない。基本は焼却処分だが、数が多く間に合わないので、県有地の埋却処分も視野に早期収束へできることは全てやる」と力を込める。
発生農場から北へ約70キロ離れた匝瑳市で採卵鶏約60万羽を飼う、九十九里ファームの林功会長は「もうどこで起きてもおかしくない」と危機感を募らせる。普段から鶏の異常の有無を確かめているが、県内での発生を受け、鶏舎にネズミなどの小動物が入り込みやすい穴や損傷がないか見回り、管理者の靴・車両の消毒を改めて徹底するという。
県農業協会の松木英明事務局長は戸惑いを隠せない。「発生農場は飼養羽数が全国でもトップクラスで、養鶏業界への影響は計り知れない。防疫対策を特に注意していたと聞いていたのに、なぜ起きたのか」と疑問を投げ掛ける。林会長や松木事務局長は、渡り鳥を媒介した感染に警戒する。県耕地課によると、県内に1297カ所ある農業用ため池のうち、いすみ市は224カ所と県内一だ。林会長らは、地理的要因で同市は渡り鳥が長く滞在しやすい環境だという。
県内有数の鶏卵生産を誇る旭市で採卵鶏約6万羽を飼養するマルゲンは、鶏舎の対策は徹底していたが、いすみ市での発生を受け、急きょ堆肥舎の出入り口に防獣ネットを設けた。ネットは幅7メートル、高さ4メートル。ダンプや建機が出入りすることからネット設置は作業効率が悪くなるが、大急ぎで対応した。同社の衣鳩享一代表は「近くの池や田で越冬するハクチョウなどの渡り鳥が、朝飛んでいるのを見るだけで落ち着かない。卵価の低迷で飼料代が賄えない中、防疫対策は負担が重い。消石灰の配布など経営の規模に応じた十分な支援をしてほしい」と訴える。
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東日本大震災から10年 農業産出額 被災3県増加傾向 福島は水準戻らず
東日本大震災からの復興に向けた懸命の努力で、被災3県の農業産出額はいずれも増加傾向にある。だが、福島県だけは震災前の水準に戻っていない。岩手、宮城の両県が震災前を2割近く上回るのとは対照的だ。営農再開の遅れに加え、「風評被害」も課題となっている。
2018年の産出額は岩手が2727億円、宮城は1939億円。震災前の10年に比べると、それぞれ19%、16%増え、全国平均の11%を上回る伸び率となった。だが、福島県の18年の産出額は同9%減の2113億円。震災後に、震災前を上回った年は一度もない。
営農再開率3割
産出額が回復しない要因の一つは、東京電力福島第1原子力発電所事故で避難を強いられた12市町村の営農再開率が約3割にとどまることだ。12市町村の産出額は127億円で、こちらも震災前の約3割だった。
農水省や福島県などでつくる官民合同チームの調査では、この12市町村で営農再開の意向がないか未定の農家のうち、所有する農地を貸し出してもいいと考えている人が7割いた。同省は営農再開の加速に向け、こうした農地を集めて担い手にマッチング(結び付け)することが重要だと指摘。4月に施行する改正福島特措法で、これを後押しする。
同法は、市町村が行っている農地中間管理機構(農地集積バンク)を通じた農地集積の計画作成などを、福島県もできるようにした。市町村の職員が不足する避難解除区域での集積をさらに進めるためだ。新たな制度を通じ、同省は25年度末までに12市町村の営農再開面積を震災前の60%に当たる1万378ヘクタールにすることを目指す。
風評被害も課題
福島県では、風評被害も大きな課題のままだ。消費者庁の2月の調査によると、同県産の食品の購入をためらう消費者の割合は8・1%。過去最小となったが、今も一定に存在する。同県の主要農産物の価格が全国平均を下回る状況も続いている。全国平均に比べ、米は約3%、牛肉は11%、桃は16%下回る。
原発事故後、同県産をはじめとした日本産食品の輸入規制をする国・地域は最大で54あったが、15まで減った。19年の同県産の農産物の輸出量は過去最高を更新。だが日本の主要な輸出先の香港や中国などは、今も同県産の輸入規制を続ける。
風評被害の払拭(ふっしょく)に向け、同省はテレビCMやウェブを通じた県産農産物のPRなどを支援。20年には卸や小売業者に対し、同県産を取り扱わなかったり、買いたたいたりしないように求める通知も出した。輸入規制の撤廃は、昨年4月に設置した農林水産物・食品輸出本部が外務省などと連携し、各国への働き掛けを進めている。
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2021年03月07日
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次ページにイチゴの平均価格と販売量のグラフがあります
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日本型アニマルウェルフェア開発へ 集まれ“応援団” 鶏肉販売始める 信州大農学部
信州大学農学部(長野県南箕輪村)は3日、アニマルウェルフェア(快適性に配慮した家畜の飼育管理)の飼育施設で育てた鶏肉の販売を始めた。研究の一環で飼育した肉用鶏を販売することで、消費者へのアニマルウェルフェアの認知度向上につなげる考えだ。
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今回販売する鶏肉は、昨年12月下旬にひなから育て、2月上旬に山梨県笛吹市の加工業者に出荷した310羽分。
研究に取り組む竹田謙一准教授は「販売を通じて、消費者がアニマルウェルフェアの考え方を知り、応援団になってもらいたい」と説明する。
キャンパス内の直売所で発売。モモ肉1袋(2キロ)2000円、ムネ肉1袋(同)1500円、手羽元1袋(同)1300円。
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2021年03月04日
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[大地とともに](上)農業再生 担い手の確保難航 通い続け農地保全 稼働面積増やせず 福島県大熊、双葉町
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2021年03月09日
[新型コロナ] 飲食店取引先の一時金申請開始 収入5割減が対象
経済産業省は8日、新型コロナウイルス対策として、飲食店の取引先などに支払う一時金の申請受け付けを始めた。農家も対象となり、緊急事態宣言の再発令の影響で1~3月のいずれかの1カ月間の収入が、2019年か20年と比べて5割以上減ったことが条件。法人は60万円、個人は30万円が上限だ。申請はオンラインで5月31日が締め切り。不正受給を防ぐため、金融機関などによる事前確認が必要となる。
一時金は、1月の緊急事態宣言の再発令を受けた飲食店の時短営業や外出自粛などの影響で、21年1~3月のいずれかの1カ月間の事業収入が50%以上減った中小・個人事業者に支払う。……
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2018年産かんきつ収穫量 和歌山が全国1位に 農水省調査
2018年産の温州ミカンや中晩かんを含むかんきつ収穫量で、和歌山県が44年連続1位だった愛媛県を上回り、1位となったことが農水省の調査で分かった。愛媛県は同年7月の西日本豪雨で園地が被災し、ミカンの収穫量が減った。
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2021年03月09日

歌って踊って日本酒飲んで 農水省チャンネル新動画を公開
新型コロナウイルスの影響で落ち込む日本酒の消費を喚起しようと、農水省がユーチューブ公式チャンネル「BUZZ MAFF(ばずまふ)」で、新たな動画を公開した。同省の若手職員や酒造好適米の生産者らが次々に登場し、日本酒で乾杯を呼び掛けるダンスを全力で踊る内容だ。
日本酒造組合中央会が制作した動画「日本酒ダンス」を基に、ダンス動画で人気のユーチューバーの指導も受けながら制作し、5日に公開。その日のうちに数千回の視聴があった。
動画には、若手を中心とする同省職員40人超が出演。ラップ音楽と共に、同省の大臣室前や地方農政局の事務所など、次々に舞台を変えて踊る様子が流れる。宮城県内の酒米生産者3人も出演し、ダンスを披露している。
日本酒はコロナ禍を受け2020年は前年比で国内出荷量が11%減、輸出量は13%減。こうした苦境を背景に、ラップの歌詞では「酒米、来年は作れないかもしれない」と危機感を強調。会食が困難な中で「リモート飲み会」を呼び掛けるなどで、消費拡大を訴える。
ばずまふの運営メンバーで動画制作を提案した同省鳥獣対策・農村環境課の吉村真里菜さんは「皆が酒米や日本酒の産地が元気になることを祈りながら踊った。特に、日本酒になじみの薄い若い人たちに魅力を届けたい」という。
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2021年03月08日

リーフ茶「飲む回数増えた」 コロナ下で若者の行動に変化
若い世代(18~29歳)の26%が、新型コロナウイルス下でリーフ茶(茶葉からいれた緑茶)の飲用頻度が「増えた」と回答したことが、農水省の調査で分かった。家で過ごす時間が長くなったことや健康への関心が高まったことが背景にある。ペットボトル緑茶飲料の浸透で茶葉離れが課題だった消費に、変化が見られた。
農水省が「緑茶の飲用に関する意識・意向調査」を、昨年10月中旬から11月上旬にかけて実施し、18歳以上の男女1000人から回答を得た。
リーフ茶の飲用頻度が「増えた」と回答した人は全世代合計では14%(143人)だったが、18~29歳の世代では「とても増えた」「少し増えた」と回答した人が26%(36人)に上った。
増えた理由(複数回答)として、18~29歳世代では「自宅で食事する時間が増えたから」(67%)が最多。「自宅でくつろぐ時間が増えたから」(47%)、「健康機能性に魅力を感じたから」(44%)、「家族と過ごす時間が増えたから」(22%)と続いた。
リーフ茶飲用頻度が「増えた」と回答した全世代で、茶葉購入先(複数回答)として「増えた」のは「スーパー」(75%)、「インターネット販売」(30%)、「茶専門店」(29%)、「ドラッグストア」(21%)。
ネット購入が増えたと回答した人の割合は60代がトップ(42%)、次いで70代(36%)と高齢層の電子商取引(EC)利用の急伸も見てとれる。18~29歳の世代は33%でそれに続いた。
茶葉は緑茶飲料や他の飲料にシェアを奪われ、需要が減少している。コロナ下での業務需要の落ち込みも拍車を掛け相場が低迷し、消費喚起が課題となっている。
農水省は「リーフ茶飲用の機会増加を捉えて、茶業界には若者がさらにお茶を飲むような取り組みを期待したい」(茶業復興推進班)と話す。
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2021年03月08日

桃 初の10万トン割れ せん孔細菌病が多発 20年収穫量
2020年産の桃の収穫量が9万8900トンとなり、前年産より9000トン(8%)減ったことが農水省の調査で分かった。4年連続の減少で、同省の統計開始以降初めて10万トンを割り、過去最低となった。主産地の福島県や長野県などで、葉や果実に穴が開く「せん孔細菌病」が多発したことが要因。同省は20年度第3次補正予算に同病の防除対策を盛り込み、生産継続を支援する。
都道府県別の収穫量は、全国1位の山梨県がほぼ前年並みの3万400トン。同2位の福島県は2万2800トンで同16%減、同3位の長野県は1万300トンで14%減った。果実を収穫するために実らせた結果樹面積は全国で9290ヘクタールで、3%減った。一方、全国の10アール当たり収量は6%減の1060キロだが、福島県、長野県では、ともに12%の減少だった。
両県の収穫量の減少について、同省はせん孔細菌病の多発を要因に挙げる。対策として同省は、20年度第3次補正予算で、同病などを対象とした「重要病害虫等早期防除対策事業」に4億6300万円を計上した。福島や長野など、同病の被害が拡大している地域のJAや複数の農家でつくるグループが対象。発生状況の調査や枝葉の病斑の除去などの経費として、最大半額まで補助する。
希望者は、防除の時期や取組内容などを盛り込んだ事業計画書を地方農政局に提出する。予算の限度額に達していない場合、年度をまたいでの申請でも認められるが、同省は「まん延を早期に防止するためにも、早めに申請してほしい」(植物防疫課)と説明する。
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2021年03月07日
規制会議議論始まる 准組利用「組合員の判断」 農水省が方向性表明
政府の規制改革推進会議農林水産ワーキンググループ(WG)は5日、改正農協法施行5年後の見直しに向けた議論を始めた。農水省やJA全中などから意見を聴取。同省は今後の検討の方向性として、JA准組合員の事業利用については「組合員の判断に基づく」との考えを示した。WG側は、農家所得増大に向けたJAの自己改革の成果を詳細に示すよう求め、数値目標による進捗(しんちょく)管理の必要性も指摘した。
WG 所得増「数値目標を」
会合は非公開。同省は各分野の改革の実施状況を総括し、方向性を示した。……
次ページに農水省が示した農協改革の検討方向の表があります
2021年03月06日
有機農業 50年に100万ヘクタール 新戦略中間案 環境負荷軽減へ 農水省
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次ページに新戦略のポイントの表があります
2021年03月06日
食料安保など重点に 中国の全人代が開幕
中国の全国人民代表大会(全人代=国会)は5日、北京で開幕された。2021年からの14次5カ年計画に加え、35年までの長期目標も議論し、食料安全保障などを柱に政策を定める見通しだ。食料安全保障では、種子と耕地が重要と強調。種子の遺伝資源の保護や優良品種の選抜、普及を強化し、農家支援も拡大する。……
2021年03月06日
農地所有適格法人 現行要件 「支障」2割 規制会議に調査示す 農水省
政府の規制改革推進会議農林水産ワーキンググループ(WG)は5日、農地所有適格法人の議決権要件緩和を巡り、農水省に意見を聞いた。同省は、現行要件では資金調達などに「支障がある」とする法人が約2割だったとの調査結果を提示。農業関係者が今後も経営権を確保する必要性を示しつつ、一定の条件下で出資による資金調達の在り方についても検討する必要があるとの考えを示した。
同会議は、「農業者の資金調達の円滑化」を名目に、同法人の議決権要件緩和に関心を示す。……
次ページに調査結果の表があります
2021年03月06日