ユーチューブ動画、自作新聞 “農”情報 消費者に届け

アーティスト活動と農業を両立している岡村さん(岐阜県可児市で)

 インターネットで誰でも動画で情報発信できる時代。“半農半芸”を目指すアーティストが、動画投稿サイトで地域農業を応援する番組を始めた。一方で“アナログ”な媒体にこだわる農家は、自作の新聞で身近な「農」の話題を消費者に届けている。
 

兼業の強み伝えたい 半農半アーティスト 岡村典幸さん


 名古屋市を拠点に活動するヒップホップグループ「nobodyknows+(ノーバディノウズ)」のメンバー、岡村典幸さん(40)が、東海地方の農業を盛り上げようと奮闘している。以前から農業法人に勤めたり青果店を立ち上げたりと農業に携わってきたが、昨年から畑を借りて野菜などの栽培を始めた。農業の魅力を世界に伝えるため、農家を自ら取材し動画投稿サイト「ユーチューブ」で発信する。

 グループでは「ノリ・ダ・ファンキーシビレサス」の愛称で活動。2004年には紅白歌合戦にも出場した。今もライブ活動や楽曲提供などを続けている。農業に初めて関わったのは2008年ごろ。友人と青果店を始め、名古屋近郊の農家に飛び込み営業で野菜を仕入れて、軽トラックで販売。後に店舗も開いた。

 ちょうどグループの全国ツアーが終わって一段落した時期で「誘われて始めたが、農家と話すうちに農業の楽しさを感じた」という。その後10年にわたり、無農薬・有機野菜を約3ヘクタールで大規模生産する農業法人に勤務。農場長も務めた。

 昨年から岐阜県内の休耕地を借り、野菜やハーブ類を生産しつつ、効果的な販路を模索している。平日は住宅施工に関わる他の仕事もこなしつつ、アーティストと農家の“三足のわらじ”を続けている。畑の管理は、早朝や休日にこなす。

 今の農業生産を下支えしているのは各地の兼業農家だと感じていて、「兼業農家でも、ある程度の収入が得られるモデルを示したい」と展望する。

 ユーチューブチャンネルでは農家や農業関係企業を取材し、動画で農業の魅力を発信。「食料生産を支えている農家がどんな人なのかを知ってもらい、都市部の人に身近に感じてほしい」と願う。
 

町の話題も楽しく 観光農園運営 松本茂さん

 

発行してきた「みかん畑通信」と松本さん(神奈川県真鶴町で)
 神奈川県真鶴町でミカン狩りなどができる観光農園「松本農園」を運営する松本茂さん(70)が、30年以上前から毎年1、2回発行する新聞「みかん畑通信」が人気だ。2020年は10月に第41号を発行。内容は松本さんの身の回りの出来事が中心で、地域や農園の自然環境の話題などが盛りだくさんだ。

 新聞発行は、講演会で講師の女性が「根府川のレモンを買っているが、段ボール箱にはレモンしか入っていない。何かちらしとか入れないのか」と言われたことが契機となった。

 「私には彼女が“上から目線”で、農家はモノも書けないのかと言ったように受け取った」と松本さん。「農家にもできるはず」と考え、当時は子どものPTA活動で広報紙の作り方などを学んでいたこともあり、1986年ごろから新聞の発行を始めた。新聞はB4判1枚の両面刷りで、松本さんがパソコンで記事を書き、新聞を参考にしながらレイアウト。

 最新号のトップ記事は、源頼朝が神奈川から千葉に船で渡った航跡をヨットに乗って実際に渡った話。裏面は農園内の茶の木をテーマにした「みかん畑の自然」と、息子の妻が日々の生活での出来事などをつづる。

 発行部数は1500部。町内の知り合いはもとより、松本さんのミカンを毎年楽しみにしている全国の常連客に発送している。客からは「ミカン以上に新聞に価値がある」という声もあるという。町内でも同紙のファンが多い。酒を販売する草柳文江さん(80)もその一人。ファイルに保管して来店客にも見せているという。「農園の出来事がよく書かれている」と感心する。「新聞作りが人生に潤いを与えている」という松本さんは、次号に向けて記事になりそうな話題を探している。「日本農業新聞が取材に来たことも書けるかな」と笑顔を見せる。

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