米生産の目安削減 合意形成 国は後押しを

 道府県の農業再生協議会などが定める2021年産主食用米の「生産の目安」がほぼ出そろった。需給均衡水準を上回り、大幅な価格下落が懸念される。目安の削減や、目安よりも生産を減らす「深掘り」が全体的に必要だ。県行政を中心とした関係者の合意形成と、国の強い後押しが不可欠である。

 農水省は、需給均衡には21年産で6・7万ヘクタール(生産量36万トン)の作付け転換が必要だと指摘する。だが日本農業新聞の調べでは、41道府県の目安の合計で削減は約17万トンにとどまる。

 20年産の需給は過剰作付けと、新型コロナウイルス感染拡大の影響を含めた大幅な消費減で緩和。相対取引価格は下がり、60キロ平均で前年より600円超低い水準で推移する。このままでは、2年で同4000円台半ばの下落となった13、14年産の二の舞いになると危惧される。

 そこでJAグループは、20万トンを翌秋以降に販売する長期計画的販売を実施。最大規模の作付け転換などを支援するため政府・与党は、20年度第3次補正予算案と21年度予算案の合計で3400億円の財源を確保した。JAグループは、主食用と非主食用の手取り格差が縮小・解消されると評価する。また品代と助成金から経営費を除いた10アール所得に着目し、主食用と非主食用を組み合わせて所得を確保することを改めて提唱する。

 作付け転換をやり切るには支援策の最大限の活用と併せ、県によっては目安の削減や深掘りがまず必要だ。行政やJAグループ、稲作経営者、農業法人、集荷業者や各団体などによる合意形成が鍵を握る。県行政の指導力の発揮が求められる。

 野上浩太郎農相も昨年12月の記者会見で目安について「農家の所得向上の観点から、見直しが必要かどうかも含めて関係者で十分な検討を行ってほしい」と述べ、再考を促した。目安や作付け意向の調査、需給動向の分析、営農計画書のとりまとめなどあらゆる機会を捉え、目安の削減を含め作付け転換を強く働き掛けてもらいたい。

 消費拡大対策も強化しなければならない。JAグループは国の事業を活用し、コンビニをはじめ事業者と連携した商品開発と販売促進、パックご飯の製造強化、学校給食への提供拡大などを行う。組合員・役職員が1日3食ご飯を食べる運動も展開。系統外への消費拡大策も検討・実施する。消費拡大が官民挙げた取り組みとなるよう同省にもけん引してほしい。

 新型コロナの影響による需要の減少を、同省は約9万トンと推計。緊急事態宣言の再発令でさらに減る恐れがある。消費拡大に努めてもコロナ禍による減少分を補いきれなかった場合を想定し、対応を検討すべきだ。

 生産・消費両面での取り組みにはスピード感が重要だ。20年産の価格は低下し始めている。需給均衡が見通せる状況を官民一体で早期につくり、市場に示すことが大切である。
 

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