メロン・大葉 相場低迷 再発令 時短営業響く
2021年01月20日

緊急事態宣言の再発令に伴う飲食店の時短営業や休業を受け、一部青果物の相場低迷が加速している。メロン「アールス」の日農平均価格(各地区大手7卸のデータを集計)は平年の3割安を付け、前回発令された4月上旬と同水準に落ち込む。刺し身のつま物に欠かせない大葉も、業務需要が減って平年の3割安に低迷。小売りでの販売にも勢いがなく、相場を下支えできていない。
メロン「アールス」は12月、「GoToキャンペーン」の活況により、上位等級を中心に引き合いが強まり、歳暮需要も加わり高値で推移。だが、年が明けて環境は一変した。中旬(19日まで)の日農平均価格は1キロ799円と平年の32%安で、同4割安を付けた日もある。東京都中央卸売市場大田市場では、初市以降、静岡産の高値が1キロ4320円と止め市の半値に急落し、一時は同3240円まで下げた。
卸売会社は「正月に百貨店や果実専門店に客足が向かず弱含みとなる中、再発令が重なった。ホテルやレストランが営業縮小し、売り先がない。低価格帯を中心にスーパーに売り込むが、上位等級と下位等級の価格差が縮まっていく」と厳しい展開を見通す。
加温にコストがかさむ厳寒期の軟調相場に、産地からは嘆息が漏れる。主産地の静岡県温室農業協同組合によると、交配から収穫までは、 50日程度。収穫時期をずらすことができず、供給の調整は難しい。「コストをかけ、丹精したものに値段が付かないのはつらい。スーパーなどへの販売を通し、家庭での消費拡大に期待したい」と話す。
小物商材も厳しい販売を強いられている。大葉は、1月中旬の日農平均価格が1キロ1690円。元々需要が減る時期ではあるものの、平年の28%安と低迷が顕著だ。
産地は前回の宣言時、巣ごもり需要で好調だったスーパーに販路を切り替えた。ただ、「今回はスーパーからの注文は勢いを欠き、相場を下支えし切れない」(卸売会社)情勢だ。
主産地を抱えるJAあいち経済連は「業務筋が大半を占める契約取引分の販路を新たに確保しないといけない」と説明。春の需要期の販売も見据え、コロナの早期収束を望んでいる。
小売りも勢い欠く
メロン「アールス」は12月、「GoToキャンペーン」の活況により、上位等級を中心に引き合いが強まり、歳暮需要も加わり高値で推移。だが、年が明けて環境は一変した。中旬(19日まで)の日農平均価格は1キロ799円と平年の32%安で、同4割安を付けた日もある。東京都中央卸売市場大田市場では、初市以降、静岡産の高値が1キロ4320円と止め市の半値に急落し、一時は同3240円まで下げた。
卸売会社は「正月に百貨店や果実専門店に客足が向かず弱含みとなる中、再発令が重なった。ホテルやレストランが営業縮小し、売り先がない。低価格帯を中心にスーパーに売り込むが、上位等級と下位等級の価格差が縮まっていく」と厳しい展開を見通す。
加温にコストがかさむ厳寒期の軟調相場に、産地からは嘆息が漏れる。主産地の静岡県温室農業協同組合によると、交配から収穫までは、 50日程度。収穫時期をずらすことができず、供給の調整は難しい。「コストをかけ、丹精したものに値段が付かないのはつらい。スーパーなどへの販売を通し、家庭での消費拡大に期待したい」と話す。
小物商材も厳しい販売を強いられている。大葉は、1月中旬の日農平均価格が1キロ1690円。元々需要が減る時期ではあるものの、平年の28%安と低迷が顕著だ。
産地は前回の宣言時、巣ごもり需要で好調だったスーパーに販路を切り替えた。ただ、「今回はスーパーからの注文は勢いを欠き、相場を下支えし切れない」(卸売会社)情勢だ。
主産地を抱えるJAあいち経済連は「業務筋が大半を占める契約取引分の販路を新たに確保しないといけない」と説明。春の需要期の販売も見据え、コロナの早期収束を望んでいる。
おすすめ記事
21年産米需給対策 15県が「連携型」活用 飼料用米対象が中心 農水省まとめ
2021年産米の需給安定に向け、都道府県と同額を国が上乗せ助成する措置を活用し、15県が独自の転作支援策を実施する方針であることが農水省のまとめで分かった。新潟、東北地方など、20年産の主食用米の作付面積が大きい上位10道県のうち7県を含み、飼料用米による転作拡大を助成対象とする県が多い。
同省が都道府県から聞き取り、2月22日時点でまとめた。……
2021年03月02日

福島県産リンゴ 東峰村産ユズ グラノーラ発売 復興応援へコラボ 福岡・エフコープ生協
福岡県のエフコープ生協(篠栗町)は8日、東峰村産ユズと福島県産リンゴのコラボレーション商品「柚子(ゆず)ピールとりんごのフルーツグラノーラ」を発売する。東日本大震災から10年がたつのに合わせ、同震災と九州北部豪雨からの復興に向けた絆でつながる、両県の特産物を使った企画。同生協は「復興応援活動の象徴にしたい」と期待を込める。……
2021年03月06日
営農アイデア大賞 農家の知恵共有しよう
優れた技術を生み出した農家を表彰する日本農業新聞の「営農技術アイデア大賞2020」の受賞者が決まった。審査では、生産現場の課題を自ら解消しようと努力した農家の知恵を高く評価した。幅広く共有し、それぞれの営農に取り入れたり、創意工夫のヒントにしたりして経営改善につなげよう。
アイデア大賞は9回目になる。昨年1年間に本紙に掲載した記事を基に、農家が考案した技術を専門家らが審査した。アイデアの独創性とともに、省力性、低コスト化、商品性の向上、取り組みやすさなど経営への貢献度合いを検討した。
大賞には育苗箱運搬器具「はこらく」を開発した黒壁聡さんを選んだ。北海道新篠津村で水稲などを栽培する。自作の金属の枠で、重ねた育苗箱を両脇から挟み、取っ手を握ると3、4枚まとめて運ぶことができる。
審査で高く評価されたのは、米作りで機械化できていない作業の労力を軽減したことだ。大規模化が進む水稲栽培では、わずかな作業でも積み重なると重労働になる。育苗箱への種まきは機械でできるが、入れた土が水を含んで重くなった箱を何千枚も運ぶのはつらい。
ちょっとした現場のストレスを解消しようとする農家ならではの視点も魅力に挙がった。「はこらく」を使えば手が汚れず素手で作業できるため、育苗箱を重ねる際に手袋が挟まることや、手袋を着脱する手間がなくなった。2万円以下の手頃な価格で販売している。
優秀賞の3点には、近年の農業の課題に対応する技術が選ばれた。鹿児島県出水市の松永幸昭さんは、水稲の苗を食害するスクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)を捕まえる簡易わなを考案。紙パックに米ぬかと酒かすを入れて水田に入れ、6時間で100匹以上捕まえた。生息域が拡大する中、期待の技術だ。
北海道本別町の楠茂政則さんは、ビニールハウスを振動させて雪を自動で下ろすシステムを構築。高齢化で危険が高まる雪下ろしの作業軽減につながる。
新潟県燕市の農業法人・アグリシップは、梨花粉を混ぜた液体をドローン(小型無人飛行機)で散布し、人工授粉を省力化した。10アールを1分程度でできる。慣行の手作業では4人で1日かかる仕事で、人手不足に対応するのが狙いだ。
アイデア大賞は次回で10回目。21年の記事で紹介する技術が対象となる。できるだけ多く集めたい。情報提供もお願いしたい。これまで受賞した技術のその後の成果や展開、広がりを伝えることも計画している。
自らの創意工夫で技術の改善に取り組む農家同士がつながることも大切である。人手不足など、今回受賞した技術が解決を目指した課題は、日本の農業に共通している。アイデアを交換したり知恵を出し合ったりすることで、技術の底上げや、新たな発想による画期的な技術の誕生が期待される。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年03月02日

“和牛少年” 春のセンバツ出場 もう一度「紫」この手に 長崎県立大崎高 野球部主将 秋山さん
「おうちの牛にも(褒賞の)紫色のリボンが欲しい」と、共進会に牛を引いて出場したかつての「和牛少年」が、今度は紫紺の優勝旗を目指し春の選抜高校野球大会に挑む。少年の名は秋山章一郎さん(17)。長崎県立大崎高校野球部の主将として第93回大会に出場する。「野球ができるのも家族と牛のおかげ」と語る秋山さんは、19日の開幕に向け「応援してくれる皆さんに喜んでもらえるように、一勝でも多く勝ちたい」と、澄んだ瞳で前を見据える。
6歳で共進会入賞 牛、家族が支え
秋山さんは幼い頃から牛に興味があり、「大きくなったら牛飼いになる」が口癖だった。6歳だった2009年秋、同県雲仙市主催の和牛共進会若雌第2部に父親の清さん(45)に導かれて登場し、出品牛が1等を受賞。会場の喝采の中で、急きょ章一郎さんに「特別賞」が与えられたというエピソードを持つ。
育てた牛を和牛共進会で父親と引く当時6歳の秋山さん(長崎県雲仙市で)
野球では、名将といわれた清水央彦(あきひこ)監督に憧れを抱くようになり、清水監督が大崎高校野球部の監督に就任すると、その思いが加速。同校に入学を果たした。
同校は甲子園初出場。長崎県西海市の西の外れにある人口5000人ほどの小さな島の高校だ。生徒数は113人で、現在の野球部員は3年生が抜けて29人。全員が寮生活をしている。
秋山さんは主将として部員を束ねる。心掛けているのは、誰よりも先に行動して先頭に立つことで「自分がやらないと部員もついてこない」と話す。チームの特徴は「チームワークが良いところ」だ。
監督が考案したという丸太を使ったトレーニングはきついが、体幹を鍛えるため部員を鼓舞し、熱心に取り組んでいる。監督に対しては「いつも自分たちのことを第一に考えてくれる。監督、部長らがいなければ今の自分はない」と話す。
今は「野球に“全集中”」の秋山さんだが、牛の事も忘れない。実家で飼う牛の名前は全て覚えており、子牛が生まれれば家族から電話で知らせが入り「素直にうれしい」という。
甲子園球場には家族全員が応援に来る。「自分には、大好きな家族と、牛と、野球がある。毎日が充実している」と秋山さん。両親は「監督に野球を教えてもらえることは、息子にとって一生の宝物になると思う。一生懸命頑張ってほしい」とエールを送る。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年03月03日
さだまさしさんに「おもひで泥棒」という歌がある
さだまさしさんに「おもひで泥棒」という歌がある▼認知症とおぼしき祖母を案じる孫を「心配しなくていいよ おもひで泥棒なんていない」と優しく語り掛ける。コロナ世代の小中高校生たちはさしずめ〈思い出ドロ〉の最大の被害者だろう。入学式、運動会、文化祭、修学旅行、部活動、みんな自粛の人も少なくない▼子ども時分の思い出は大体、学校行事からしみ出てくる。いいことも恥ずかしいことも。勉強した中身は簡単に忘れるが、思い出は年老いてもなお残る。おばあさんの脳裏にも。各地から卒業式の便り。卒業アルバムは埋まったのか、いささか心配になる。オンラインで授業はできても思い出はつくれない。心の空洞ができていないことを願う▼大作『カラマーゾフの兄弟』は、薄幸の少年の葬儀の後、主人公の青年、アリョーシャが子どもたちに訴え掛ける場面で終わる。きょうこの瞬間、君たちが心を一つにして弔ったことを決して忘れないでほしいと。ドストエフスキーは〈救いとしての思い出〉を信じた人である。子どもの時の美しい思い出は永遠であり、大人になって時に試練を支える力となり、悪の誘惑から守ってくれる。そう、この若者に語らせた▼コロナ禍の中だが、最後はきちんと送り出してあげたいものである。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年03月06日
新型コロナの新着記事
[新型コロナ] 「食料安保に関心」6割 “国産派”も増 コロナで高まる 全中調査
新型コロナウイルス禍を経て、国民の約6割が食料安全保障に関心を持っていることがJA全中の調査で分かった。うち約7割は国産食品を積極的に買っていた。以前からそうした考えを持っていた人に加え、コロナ禍を機に考えが変わった人も一定数いて、国民の食料への意識が高まっていることが鮮明になった。
全中は食や農業、JAに関する世論を知るため2011年から毎年調査をしている。対象は全国の20~60代の男女2500人。20年11月の最新調査では、初めてコロナ禍について聞いた。
「以前に比べ、国内で食料を生産する大切さ(食料安全保障)に対する関心が高まったか」という問いでは、18・4%が「以前は関心を持っていなかったが、コロナ禍で関心を持つようになった」と答えた。「コロナ禍で、さらに関心が高まった」(19・6%)、「コロナ禍以前から引き続き関心は高い」(22・7%)と合わせ60・7%が食料安全保障に関心を持っていた。
食料安全保障に関心を持つ人の割合は、女性で特に高かった。年代別に見ると、以前から関心が高い人の割合は男女とも高い年代ほど上昇する傾向にあった。新たに関心を持ったり、高めたりした人の割合は年代に比例しなかった。
食料安全保障に関心を持つ人に対し「国産の食品を多く(外国産から切り替えて)買うようになったか」を聞いたところ、72・6%が国産食品を積極的に購入していた。
内訳は「コロナ禍以前から積極的に買っている」が37・5%で最多。「コロナ禍以前から買っているが、さらに買おうと思った」(22・1%)、「コロナ禍で関心を持ち積極的に買うようになった」(12・9%)と続いた。
全中は、食料安全保障への関心が高い割合で行動に結び付いていると指摘。「引き続き『国消国産』の重要性を発信し、食料安全保障の確立につながれば」(広報部)とする。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年03月02日

コロナ下で地域医療守る北海道厚生連 全国から励まし700件 「皆様の勇気に感謝」「私たちのヒーロー」
各病院で新型コロナウイルスの感染者の治療に当たっているJA北海道厚生連に、感謝の手紙や農作物の寄付など700件を超える支援が全国から届いている。旭川厚生病院では全国最大規模の感染クラスターが発生するなど、感染拡大で先行きが見えず厳しい状況が続いていた。道厚生連の役職員は「“善意の輪”にどれだけ救われたか分からない」と感謝している。(尾原浩子)
職員の心救う
同厚生連は15カ所の病院・クリニックを経営し、特別養護老人ホームやデイサービスなど介護施設も運営。近くに薬局がない組合員や地域住民らのため配置薬業務も行う。地域に密着し農村に軸足を置く同厚生連に対して、全国のJAや組合員、患者、地域住民、関係団体、学校などからの励ましやねぎらいの言葉が書かれた寄せ書きや寄贈・寄付が届いた。
その数は全体で700件以上に上り「この街を支えてくれてありがとう」「みんなが元気になりますように」「感謝の気持ちでいっぱい」「いつも守ってくれてありがとう」といった言葉が多数添えられていた。特に医療従事者に対して「皆さんは私たちのヒーロー」「皆様の勇気に感謝」「いつも応援しています」と感謝の言葉をつづる手紙が多かった。中には手形を桜の木のように仕立てたものもあった。
心温まるメッセージが、時には家にも帰れず、涙を流しながら病院で働く医療従事者の励みになり、勇気につながったという。同厚生連では送られてきた手紙などは大切に保管している。
同厚生連の中瀬省会長は「温かいお言葉でどれほどの職員の心が救われたか分からない。日々励まされ、現在もなお対応に当たることができている」と感謝している。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年03月02日
コロナ下販促支援 2次募集 7月末分まで対象に 農水省
農水省は、新型コロナウイルス禍で売り上げが2割以上落ち込んだ農産物の販売促進活動を支援する「国産農林水産物等販路多様化緊急対策事業」の2次募集を行う。近く募集を始め、締め切りは4月上旬とする方針。4月中下旬から7月末までの取り組みを対象とする。
2020年度第3次補正予算で250億円を計上した事業だが、緊急事態宣言の再発令による影響なども踏まえ、21年度も支援することにした。……
2021年03月02日
緊急宣言 食品業界に明暗 宅配伸び外食苦境 1月売上高
食料品を扱う各業界の1月売上高がまとまった。新型コロナウイルス感染拡大に伴う政府の緊急事態宣言再発令で、家庭内で調理する内食傾向が強まり、食品宅配やスーパーの好調ぶりが目立った。特に宅配は大きく伸びた。一方、外食や百貨店は外出自粛による客足減が響き、落ち込みが大きくなった。……
次ページに食料品を扱う業界の売上高に関する表があります。
2021年02月28日

コロナ禍で需要減 豚レバーで薫製 消費拡大へ 家庭向け人気 千葉県食肉公社
新型コロナウイルス禍による需要減少で廃棄処分されていた豚レバーが、薫製加工をした商品として人気を集めている。食肉出荷・加工を手掛ける千葉県食肉公社(千葉県旭市)が、独自の熟成法と薫製で味を改良した「豚レバースモーク」を道の駅などで販売。緊急事態宣言の解除を見据え飲食店ではメニュー開発も進んでおり、地域を挙げて消費拡大に向けて動き始めた。
豚レバーは串焼きやレバニラ炒めの材料として、居酒屋やレストランを中心とした外食産業に需要があった。しかしコロナ禍で外食需要が低迷。同公社では最大約9割が廃棄処分になったという。
「一般家庭向けに豚レバーを使えないか」。同公社の若松重伸取締役営業部長らは、昨年7月ごろから新商品の開発に着手。独自の調味液に漬けて零下2~0度前後で氷温熟成し、桜チップでいぶして香り付けをした「豚レバースモーク」(約100グラム330円)を作った。若松部長は「ねっとりとした食感を味わってもらいたかった。豚レバースモークを通じて消費を拡大したい」と期待する。
千葉県は豚の飼養頭数が全国5位の60万3800頭(2019年2月1日時点)と豚は身近な存在だが、若松部長によると「豚レバーのスモークはなじみがない」という。昨年11月、千葉市の商業施設でテスト販売をしたところ、見込みの20個を大幅に上回る約100個を売り上げた。
今年1月に旭市の道の駅季楽里あさひや旭食肉協同組合本店の他、県内の道の駅や直売所で販売を始めたところ、評判を聞き付けた客が相次ぎ、売り切れの店も出た。季楽里あさひの江本伸二駅長は「これまで聞いたことのない商品だったが、いまではスモーク目当てで来店する人もいるほどの人気だ」と驚く。
メニュー開発 飲食店も意欲
市内では新たな豚レバーメニューの開発も進む。ハンバーグとケーキの専門店「キッチンツナグ」は、ハンバーガーに豚レバースモークを加えるなどメニュー開発に余念がない。2月からメニューで目立つように「旭市豚さんのレバーパテ」「スモークレバー」と記載したところ、店内や持ち帰りで注文する客が増えたという。豊田維代表は「コロナ禍で来店客は減っているが、豚レバーのメニューは反応が良い。今後も新たなメニューを出して千葉から豚レバーを広めたい」と意気込む。
同公社では学校給食への提供を目指し、ソーセージなども開発中だ。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年02月27日

緊急事態延長で飲食限界 倒産増加 止まらず
新型コロナウイルス感染症対策で政府が10都府県の緊急事態宣言を3月7日まで延長したことで、飲食店などの外食業界にとどまらず、食材の卸業者や生産農家への一層の打撃は避けられない。2020年の企業の休廃業と飲食業の倒産は2000年以降最多に上り、緊急事態宣言延長で外食業界は限界が迫っている。
東京商工リサーチによると、20年に休廃業・解散した企業は、2000年の調査開始以来最多の4万9698件だった。……
2021年02月05日
花ある暮らし推進 需要喚起へ発信強化 コロナで農水省
緊急事態宣言の再発令で販売が低迷する花きの需要喚起に向け、農水省は29日、花を飾ったり、贈ったりして楽しむことを呼び掛ける「花いっぱいプロジェクト2021」を始めると発表した。昨年行った取り組みをリニューアル。消費者向けに花きの情報を集めた特設サイトを同省ホームページに新設し、花飾りや花贈りの機運を高める国民運動も新たに行う。
同プロジェクトは、新型コロナウイルス禍を受けて昨年3月に開始。自治体や企業に花の活用を提案し、消費者に花の購入を呼び掛けてきた。同省は取り組みにより、「(花き業界から)通販などで家庭での需要が伸びたとの声が聞かれた」(園芸作物課)とする。
緊急事態宣言の再発令で、業務用を中心に販売が再び低迷する中、同省はプロジェクトをリニューアル。新設したサイトでは、身近にある花屋などを紹介した「応援ショップリスト」、飾り方や長持ちさせる方法などを伝える「花飾りお役立ち情報」などを掲載。企業や団体によるキャンペーン情報なども発信する。
国民運動は、同省が消費者や企業などから募り、「花いっぱいプロジェクト応援隊」をつくる。応援隊がインターネット交流サイト(SNS)を通じて活動を紹介し、花飾りや花贈りの機運を高める。取り組みの課題などを話し合うオンライン意見交換会も実施。活動の質が高まるようにすることを見込む。
野上浩太郎農相は同日の閣議後記者会見で、「国民の皆さまには、家庭で花を飾ったり、大切な人に花を贈っていただければ」と述べた。
同省でも正面玄関や記者会見場を花で飾ることや、バレンタインデーやホワイトデーに合わせた職員による花の購入などを予定している。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年01月30日

クラスター発生2カ月 北海道・旭川厚生病院 地域医療の要 再開へ 組合員、住民ら安堵
新型コロナウイルスで全国最大規模の311人の感染クラスターが発生した北海道旭川市のJA旭川厚生病院が、診療を再開した。国立感染症研究所や保健所などの指導で徹底した感染対策を講じ、終息したと判断された。外来は予約制で対応し、2月から施設内健診も再開する。道北地帯の地域医療の要だっただけに、JA組合員や地域住民は安堵(あんど)している。(尾原浩子)
ホテル通勤、「風評」耐える
同病院は旭川市だけでなく、道北各地の自治体から住民らが頼りにする地域の基幹病院だ。医師や看護師らおよそ1000人の医療スタッフが働く。市内の他病院で感染が広がり、転院患者を受け入れるなど、コロナ禍の地域医療を守るために対応してきた。
専門家が「最高レベルの感染対策」をしてきたと評価する同病院だったが、昨年11月20日に陽性者を確認した。その後感染に歯止めがかからず、外来を停止するなど診療制限をせざるを得ない異例の事態となった。中でも、道北各地から多くの人が頼りにしていた産婦人科の外来診療と、年間800件を担ってきた分娩(ぶんべん)の休止は地域医療に深刻な影響を与えた。
同病院は対策本部を立ち上げ、国や北海道のクラスター対策班、保健所、近隣病院やJA北海道厚生連の他の病院の協力を得て、事態の収束を目指した。
その間、病院の職員は苦しい生活を強いられた。一部の職員は感染拡大を防ぐため自宅に帰らず、同厚生連が契約したホテルから通った。家族に会えない中でも使命感で医療に従事し、涙を流しながら働く職員もいた。職員自身が陽性者でないにもかかわらず、家族や子どもが職場や保育園に通えなくなるなど、厳しい状況が続いたという。
12月下旬には感染拡大の歯止めにめどが付いた。同月22日には旭川医大との連携で救急母体搬送、新生児救急搬送の一部再開に踏み切った。同月30日以降は陽性者の発生はなく、1月26日、森達也院長が記者会見で終息を宣言した。
北海道厚生連 中瀬省会長に聞く 懸命の対策効かず ウイルスと壮絶な闘い
JA北海道厚生連の中瀬省会長に28日、終息までの経緯や受け止めを聞いた。
JA北海道厚生連の中瀬省会長
──クラスターが発生した理由は。
発生した理由はまだ分かっていない。しかし、感染者を最初に確認した時はほぼ満床状態で、市内の他の医療機関でもクラスターが発生していた。転院も難しく、陽性患者と感染していない患者を分けるのが困難だった。
目に見えないウイルスの感染防止は非常に難しく、国立感染症研究所や保健所の指導を受けながら対応したが、感染者数が多いこともあり、感染に歯止めがかからなかった。クラスターが発生した時点で一部の診療を残し、診療を休止した。北海道厚生連のネットワークで他の厚生病院、本部からも応援スタッフが対応に当たった。
感染拡大は医師や看護師が悪いわけでは決してない。森院長が会見や会議で「申し訳ない」と謝罪する姿を見て、とてもつらかった。ある職員が泣きながら感染症の専門家である恩師に「どこが悪かったのか」と訴えていたと聞いて、自分も涙が出た。一生懸命やっているのに、それでも抑えきれない。ウイルスとの闘いは壮絶だった。
──診療再開をどう受け止めますか。
診療制限で地域住民ら多くの人に迷惑をかけ、本当に申し訳なかった。ゾーニング対策や検査の拡充など徹底し終息に至り、ここまで来られた。
私はもち米を作る農家で、病院に精通しているわけではない。今回、命を預かる病院職員の使命感と存在の大きさを、改めて知った。毎日の朝夕のウェブ会議で、森院長、看護部長、事務部長らがどうやって終息させるかを真剣議論しているのを聞き、心が震えた。病院は単なる建物ではなく、たくさんの立場の人が集まって地域医療を守っていることを痛感した。
地元(JA北はるか)から病院までは車で2時間かかるが、診療再開で地元の組合員から「ほっとした」「待ち望んでいた」と聞き、本当にこの病院は道北の地域を守っているのだと痛感した。まだ受け入れの制限はしているが、再開を伝えられてよかった。
上川地区13JAの組合長会をはじめとする全道各地のJA、組合員、子どもたち、地域住民、職員OB、厚生連にお世話になったという患者、関係者ほか、多くの人から支援を頂いた。物資や寄せ書きなど、温かい支援に心から感謝している。
──改めて国や組合員に伝えたいことは。
厳しい状況だが、国や道、自治体からの支援のおかげで経営が成り立っている。長期戦なので、息の長い支援を国や道などにお願いしたい。
組合員や住民には、ちょっと油断すれば感染が広まることを知ってほしい。多人数の会食を控え、マスクや手洗いは徹底し、みんながちょっとずつ辛抱する。流行させないという努力をみんなですることが、コロナ対策の一歩になる。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年01月29日

コロナ下節分に葉物や実 魔よけ飾り試験販売 大田花き
花き卸の大田花きは、2月2日の節分に向けて葉物や実を使った魔よけ飾りを初めて開発した。新型コロナウイルスが猛威を振るう中、「疫病退散」の意図を込めた。首都圏のスーパー限定で試験販売する。店頭価格は500~600円を想定し、来年以降の本格販売を視野に入れる。
縁起物の植物を束ねて壁に飾るタイプで、大きさはA4サイズ。厄よけに用いられるヒイラギに加え、古来、神聖なものとされるヒカゲノカズラ、一部地域で豆まきに使われるラッカセイ、「難を転じて福となす」ナンテンの実などを合わせた。
大田花きと買参人の加工業者とで、計400個を手作りした。首都圏に展開するスーパーのサミットとヤオコーで限定販売する。今後は業者の加工ラインで効率よく生産できるよう、花材や組み方などを工夫していく。
同社は「花業界の物日ではなかった節分に、新しい需要をつくる」と今後を見据える。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年01月29日

[農と食のこれから 二つの学校から]後編(下) 引きこもり生活一変 新たな居場所 たくましく歩む
「自信はまだないけれど、怖いほど迷いがない。きっと僕は農業が好きなんだと思う」。新型コロナウイルス禍の2020年度に日本農業実践学園に入校した18人の中で最年少、28歳の雙田貴晃さんが、ナスを促成栽培する温床を作ろうと土壌を掘り返しながら、白い歯を見せた。
挫折からしばらく引きこもりの生活が続いた。外の世界に連れ出してくれたのが農業だった。
諦めた司法試験
「理系一家」の末っ子だ。……
2021年01月21日