かんきつの貯蔵病害対策 資材消毒剤が有効 静岡県
2021年01月21日

木製貯蔵箱とプラスチックコンテナに資材消毒剤を散布する石井上席研究員(静岡市で)
県農林技術研究所果樹研究センターは、温州ミカンなどかんきつの貯蔵中に発生し果実を腐敗させる貯蔵病害防止に、資材消毒剤による貯蔵箱の消毒効果が高いことを明らかにした。一方、エタノール噴霧は効果が安定せず、水洗浄と日光照射(天日干し)は効果がなかった。
普通温州ミカンは12月に収穫、年明けに出荷する。……
普通温州ミカンは12月に収穫、年明けに出荷する。……
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農作業安全検討会の初会合 農機対策待ったなし 農水省
農水省は25日、農作業事故防止の取り組みを強化するため、関係団体を集めて対策を議論する「農作業安全検討会」の初会合をオンラインで開いた。特に死亡事故の多い農機が焦点の一つで、安全対策のルール化や安全性検査について、既存の仕組みの見直しも視野に話し合う。農家側の意識向上も柱とする。4月までに3回の検討会を開いた後、具体的な対策に向けた中間取りまとめをする。
農業団体や業界団体、識者らが集まり、農水省が現状を報告した。報告では、……
2021年02月26日
今季狩猟期前半 鹿、イノシシ捕獲14%増 集中キャンペーン奏功
今シーズンの狩猟期の前半に当たる2020年秋から20年末までに、鹿とイノシシの捕獲頭数の合計が前年より14%増えたことが農水省の調査で分かった。20年度から始めた、重点地域を設定して捕獲への取り組みを強化する「集中捕獲キャンペーン」に一定の効果があったとみられる。鹿の捕獲数は全国的に増えたが、イノシシには地域差もある。対策を一層強化し、捕獲頭数を底上げできるかが課題になる。
半減目標へ強化課題
同省が20年秋の狩猟期開始から20年末までの鹿、イノシシの捕獲数を都道府県から聞き取った。……
2021年02月25日
国産麦に過剰感 増産に出口戦略不可欠
食料自給率の向上を目指して政府は、小麦など国産麦類の増産の旗を振る。しかし2年連続の豊作で過剰感があり、価格にも影響が出ている。麦作の安定には、新たな需要を開拓する出口対策が急がれる。
農水省によると4麦(小麦、二条大麦、六条大麦、裸麦)の作付面積はこの数年微減または横ばいだが、2019年産は豊作で、収穫量は小麦が前年産比36%増の103万7000トン、大麦・裸麦が同27%増の22万3000トンだった。20年産も豊作で、例年より国産在庫が多い。
過剰感は価格にも影響。全国米麦改良協会のまとめによると昨年9月の21年産国産小麦の播種(はしゅ)前入札では、平均落札価格が前年産比12・8%安と、上げ基調から一転した。輸入麦の価格低下にも引っ張られた。大麦・裸麦も販売で苦戦。二条大麦も、1月時点で「精麦業者などが19年産の在庫を抱え、20年産の荷がまだ動いていない」(JA関係者)という。
一方、食用麦は小麦で約9割、大麦・裸麦で約8割を輸入している。食料・農業・農村基本計画で政府は、30年度までに小麦を108万トン(18年度76万トン)に、大麦・裸麦を23万トン(同17万トン)に増やすとの生産目標を定めている。しかし、21年産でも過剰感が解消されなければ、今秋播種する22年産の作付けに影響しかねない。官民挙げて、輸入麦から国産への切り替えを強力に進めるべきだ。それには需要と供給のミスマッチの解消が求められる。
例えば小麦。タンパク質含有量の高い順にパン用(強力粉)、中華麺用(準強力粉)、うどんなど日本麺用(中力粉)、菓子用(薄力粉)に分かれる。国産は8割強で中力粉、薄力粉向け品種が栽培され、消費量の多い強力粉、準強力粉向けは少ない。輸入麦との価格勝負は難しく、需要に応えられる生産・供給体制の構築が必要だ。
中華麺用の福岡県の硬質小麦「ラー麦」(品種名=「ちくしW2号」)は、実需と一体で県や産地が栽培技術を確立したことで新たな需要を開拓した。生産が拡大するパン用小麦も同様だ。健康志向の高まりで裸麦やもち性大麦(もち麦)の需要も伸びている。需要を見極めた品種・品目の選定と、それに応じた栽培技術の導入が麦作経営を安定させる常道である。
西日本では、米麦・大豆を柱とする土地利用型農業を集落営農組織が担う地域が多い。21年産米では主食用米からの品目転換に加え、酒造好適米の減産も重くのしかかる。過剰感から麦類の生産意欲も低下することになれば、大規模な不作付けが起こりかねない。
政府は、需要を捉えた生産拡大と安定供給の実現に向けて「麦・大豆増産プロジェクト」を推進。団地化と営農技術の新規導入、備蓄倉庫の整備、産地と実需とのマッチングや新商品開発などを支援する。成果を早期に上げることが重要だ。
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2021年02月22日

「仙台牛」盛り上げよう 統一ジャンパー作製 JA全農みやぎ
【宮城】JA全農みやぎは、宮城県のブランド牛「仙台牛」の若手肥育農家が集う「仙台牛Revolutions(レボリューションズ)」の統一ジャンパーを作製した。新型コロナウイルスの影響で厳しい状況が続き、後継者不足も懸念されている中で、全農みやぎと担い手が一丸となって「仙台牛」のこれからを担っていくことへの証しとして企画した。
ジャンパーには、牛の絵と、……
2021年02月22日

古里の食知って 6校に広島菜漬 JA広島市
JA広島市は、広島菜の主要産地である安佐南区川内地区近郊の6小・中学校に広島菜漬約1・5トンの提供を始めた。初日は職員や生産者を代表してJA YOUTH広島市佐東支部の倉本守支部長、広島菜委員会の溝口憲幸会長らが市立川内小学校を訪問。広島菜本漬2500袋(1袋180グラム入り)を贈った。
JAは例年、食農教育の一環として近隣の学校に、広島菜漬センターで工場見学や住民を中心に収穫を祝う広島菜まつりを開く。だが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止となった。
小・中学校への提供は、郷土愛を育んでもらおうとJA共済連広島と初めて企画した。本漬とは一般的な浅漬けと異なり、半年以上漬け込んだ独自の製法で調味した広島菜漬で常温保存が可能だ。JAは、2月末までに6校へ8520袋を届ける予定だ。
営農経済部の橋岡由夫副部長は「家庭で広島菜漬のおいしさを知り、広島菜を後世につなげてほしい」と話す。
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2021年02月27日
営農の新着記事

東海桜 挿し木で生産期間短縮 岐阜県立国際園芸アカデミー2年 西村さん
岐阜県可児市の県立国際園芸アカデミー花き生産コース2年生、西村莉穂さんが、鉢植えで開花期が早い東海桜を挿し木し、生産期間を大幅に短縮させることに成功した。桜は実生苗や接ぎ木苗が使われることが多く、商品化までに数年かかる。ソメイヨシノより……
2021年02月26日
営農技術アイデア大賞 黒壁さん(北海道)に栄冠
日本農業新聞は24日、「営農技術アイデア大賞2020」の審査会をオンラインで開き、大賞に北海道新篠津村の黒壁聡さん(64)が考案した、水稲育苗箱の運搬器具「はこらく」を選んだ。自作した金属の枠で3、4枚重ねた育苗箱を挟み込み、まとめて持ち運ぶ仕組み。機械化できていなかった育苗箱の運搬に、効率化の道を開いた点が評価された。
黒壁さんは水稲農家でシーズンには約8000枚の育苗箱を使う。……
2021年02月25日

20年度全国農大校プロジェクト 大臣賞に田中さん(大阪)
全国農業大学校協議会は24日、2020年度全国農業大学校等プロジェクト発表会・意見発表会の結果を発表した。最高位の農水大臣賞には、大阪府立環境農林水産総合研究所農業大学校2年の田中麻綾さんの「『高齢者生きがいづくり』につながる、高齢者によるぶどう栽培方法の検討」が輝いた。
田中さんは生きがいを持った高齢者が減少する現代で花蕾(からい)から大きな房ができる喜びは心を豊かにするきっかけになると考えた。……
2021年02月25日
ジャガイモシロシスト 抵抗性品種「フリア」の効果確認 北海道の産地 21年度に本格導入へ 農研機構
ジャガイモの品種「フリア」が、難防除害虫のジャガイモシロシストセンチュウの土中密度を大幅に減らせることを、農研機構・北海道農業研究センターが確認した。2015年に同線虫が見つかり、今年2月時点でも道内468ヘクタールで発生している。産地のJAでは効果的な対策として21年度から本格導入を見込む他、同センターはさらに経済的に有望な品種開発を目指す。
2021年02月24日

ビールかすで大幅増収 黒大豆 最大5割 岡山市の若手農家グループ
岡山市の若手農業者クラブ「アグリドリームSETO」は、黒大豆の栽培でビールかすを施すと、慣行栽培に比べて10アール当たりの収量が最大で5割増えることを確かめた。化学肥料との組み合わせで生育が早まり、大粒の割合も増えた。土壌の養分バランスの改善で課題だった連作障害の対策にも期待する。
同クラブは同市東区瀬戸町の若手11人で構成する。地元のキリンビール岡山工場から出るビールかすを土づくりに活用し、2020年産に市の助成を受けて試験した。……
2021年02月24日

「南農ナシ6号」育成 病害に強く高糖度 長野県
長野県は、中生品種の梨「南農ナシ6号」を育成した。黒斑病や黒星病といった病害に強い。高糖度で果汁が多く、すっきりとした甘味としゃきしゃきした食感が特徴。県では県オリジナル品種「南水」につなぐリレー品種として期待を寄せる。
県南信農業試験場が育成した。……
2021年02月24日
食品残さリサイクル飼料化 加熱新基準でセミナー 中央畜産会など
中央畜産会と全国食品リサイクル連合会は19日、食品残さでつくるエコフィードの製造業者や養豚農家に向けて「食品リサイクル飼料化セミナー」をオンラインで開いた。4月から加熱の新基準が施行されるのを前に、手続き面での注意点や、栄養成分変化などについて農水省や有識者らが説明した。
新基準では、生肉などが混入している可能性があるものについて「攪拌(かくはん)しながら90度、60分以上かこれと同等以上の加熱処理」が必要となる。……
2021年02月23日

酪農に欠かせぬパートナー ヘルパー確保へ環境改善 北海道で運動 全組合に就業規則整備
北海道で酪農ヘルパーが安心して働けるよう、労務管理の改善を呼び掛ける運動がスタートした。道内86の全ての酪農ヘルパー利用組合で就業規則を整備。酪農家の働き方改革や規模拡大に伴う人手不足対策につなげる。都府県でも酪農ヘルパーが逼迫(ひっぱく)する中、酪農ヘルパー全国協会は運動は全国のモデルになるとみている。(尾原浩子)
北海道酪農ヘルパー事業推進協議会が、職場のルールを明確にするため就業規則整備率100%運動を始めた。就業規則が既にある場合は、雇用実態や働き方改革に対応しているかの点検を実施。ない場合は就業規則を作成する。新型コロナウイルス禍でヘルパーの確保が難しくなったことを踏まえ、環境整備に乗り出した。
協議会によると、2019年8月時点で道内の酪農ヘルパーは832人。必要数に比べ156人足りない。働き方改革関連法のうち、有給休暇5日以上の取得は酪農ヘルパー利用組合にも適用されることも踏まえ、労働環境を改善してヘルパーの確保や定着につなげたい考えだ。
道内では酪農家1戸当たり年間平均23日、酪農ヘルパーを利用する。稲作や畑作などと比べ酪農家の労働時間は2倍以上で、酪農家の後継者対策にも酪農ヘルパーは欠かせない存在だ。
農水省は来年度、新たに待遇改善に取り組む組合を支援する「酪農経営安定化支援ヘルパー事業」を始める。協議会は事業を活用し、「酪農ヘルパーを職業の一つとしてPRしていく。地域を挙げて環境改善を進めたい」(事務局のJA北海道中央会)とする。
酪農ヘルパーの不足は道内だけでなく全国的な課題だ。酪農ヘルパー全国協会によると、ヘルパーは必要な人数に比べて2割程度足りない。就業規則の整備を呼び掛けているが、地域を挙げて整備を目指す運動は先進的という。
JAオホーツクはまなすが事務局の「酪農ヘルパー組合はまなす」は、就業規則を整備し、ボーナスなど給与体系も改善してきた。関東での就農フェアやハローワークなどで酪農ヘルパーを募集。現在、13人が100戸の酪農家で作業を担う。
20年ほど前は、冠婚葬祭や子どもの行事などで搾乳ができない場合、近所の酪農家の応援などで対応した。しかし、近年は1戸当たりの経営規模が拡大し、手伝う余裕がなくなってきている。
管内の滝上町で60頭を飼育する同組合の長屋辰之介組合長は「酪農家の一人一人が意識改革し、作業員ではなく、パートナーなんだと感謝するような受け入れをしたい」と話す。希望すれば就農も支援。「就農者や酪農ヘルパーがいると、次の移住者につながり好循環ができる」と見据える。
3年前から働き、大阪府八尾市から移住した酪農ヘルパーの瓦渚紗さん(23)は「就業規則が整備されていると安心して働ける。働く上では酪農家との意思疎通が一番大切。やりがいがある仕事だと、都会の人にも知ってほしい」と話す。
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2021年02月22日

白未熟粒米の発生予測 早期対策へ 花を解析、 特許出願 新潟県農総研
新潟県農業総合研究所は、採取した稲の花のサンプルから白未熟粒の発生率が予想できる診断技術を開発した。見た目では分かりづらい高温障害のリスクをいち早く判断し、品質が低下する前に水管理などの対策実施につなげる狙い。診断技術は現在、特許出願中だ。……
2021年02月21日
和子牛 5年ぶり60万円台 枝肉下落が影響 20年
2020年に全国の家畜市場で取引された和牛子牛の平均価格が前年を1割下回り、5年ぶりに1頭60万円台となったことが、日本農業新聞の調べで分かった。新型コロナウイルス禍による枝肉価格の下落が影響した。現在は再び上昇し1頭80万円に迫るが、価格の乱高下は高齢の繁殖農家の離農や肥育農家の経営圧迫につながりかねない。価格安定に向けた対策が改めて求められている。
農畜産業振興機構のデータを基に本紙が調べた。20年に全国103市場で取引された黒毛和種の子牛は前年比0・6%減の31万228頭で、平均価格は同12%安の67万3808円だった。
新型コロナ禍による枝肉価格の低迷で、購買者である肥育農家の資金繰りが悪化し、子牛価格も5月に前年比2割安の約59万円に下落。6月以降も10月まで60万円台での取引が続いた。再生産が難しい価格ではないが、急激な下落で「高齢繁殖農家が離農するきっかけになりかねない」(市場関係者)との声も多かった。
枝肉相場が回復し、子牛価格も現在は前年を上回る高値で推移しているが、今後の動向は楽観視できない状況だ。「景気悪化で消費者の節約志向が強まり、年明け以降スーパー向けの和牛の販売に苦戦している」(大手食肉メーカー)との声もあり、和牛の消費環境には不透明感が漂う。
肥育農家の経営が悪化し、再び子牛価格が大幅に下がれば、離農の加速による生産基盤の弱体化につながる。全国肉牛事業協同組合は「和牛の消費拡大と、子牛の価格下落時に繁殖農家をしっかり支えられる両輪の対策が重要」と提起する。
[解説] 価格安定へ基盤強化を
2020年の子牛価格の下落は、肥育経営の苦境の表れだ。コロナ禍による和牛の販売環境の急激な悪化に、高値で導入した牛の出荷が重なり、多くの生産者が赤字に陥った。
今後、肥育農家の資金繰り対策として措置されていた肉用牛肥育経営安定交付金制度(牛マルキン)の生産者負担金の納付や、コロナ禍で借り入れた資金の返済などが始まれば、さらに厳しくなる。肥育農家の経営悪化は子牛価格に直結する。両者が共存できる安定した子牛価格の実現へ対策を急ぐべきだ。
子牛価格はこれまで、頭数不足による高値が続いてきた。輸出やインバウンド(訪日外国人)需要で枝肉相場が高かったことで、肥育農家も高値の子牛を買い支えることができた。だが、コロナ禍で様相が変わった。和牛の外食需要は低迷が長期化している。国内の家庭消費は活発化しているが、安価な輸入牛肉との競合は激しい。
再生産を可能にしつつ消費者が求める価格で安定的に和牛を供給していくためには、基盤となる子牛の安定供給が欠かせない。繁殖農家の戸数はこの5年で2割弱減ったが、畜産クラスター事業などを活用した増頭が進み、繁殖雌牛の数は増加傾向にある。この流れを止めないことを前提に、家庭消費の高まりなど、消費の変化に合わせた和牛生産の在り方を、国、業界が一体となって考えていく時だ。
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2021年02月20日