ダンスで「広島レモン」PR テレビ局企画動画で配信 果実連が参加
2021年01月22日

レモンとサイダーを持って踊る広果連役職員(広島県竹原市で)
県を代表する特産かんきつ、レモンをダンスでPRする企画が始まった。中国放送(RCC)のレモンを冠した公式キャラクター「レモナルド・レモンチ」のオリジナルダンスを視聴者が踊り、動画を撮影して投稿する参加型ダンスイベントだ。……
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[米のミライ](2) 政策フル活用 飼料用軸に安定経営 10アール15万円めざす 青森県五所川原市豊心ファーム
転作の要となる飼料用米は、高収益を実現できるのか──。全国的に飼料用米の生産量が減少する中で、青森県五所川原市で大規模水田農業を展開する(有)豊心ファームは、飼料用米を基幹作物に位置付け、生産を拡大している。
同社の経営面積は水稲70ヘクタール、大豆50ヘクタール。……
2021年02月25日

長く働ける職場 評価 看護効率化アワード 最高賞 JA広島総合病院
JA広島総合病院(広島県廿日市市)は、日本看護協会の2020年度「看護業務の効率化 先進事例アワード」で応募のあった全国56施設の中から最優秀賞に輝いた。時間外勤務が多かった手術室看護師の勤務体制整備と人材育成、配置の改善に取り組み、1カ月の平均時間外労働が、約4分の1となった。2割ほどあった離職率もほぼなくなり、負担軽減や働き続けられる職場環境づくりが高く評価された。
残業・離職大幅減 体制整え人材育成
同病院は地域の急性期医療を担い、手術件数が多い。17年度、5600件以上の手術を23人の看護師が担当した。時間外勤務が常態化し、若年層の離職率の高さが問題になっていた。
時間外勤務の主因だった待機勤務を減らすため、手術室看護師を2倍以上に増員し、夜勤2交代制を導入した。手術室と病棟との担当者の異動を活発にして、緊急の手術に対応できる看護師を増やすことで、手術室看護師の負担を減らした。
人材育成では2、3年かけて全手術に対応できる看護師を育てる方針を変え、診療科を3グループに分けてスペシャリストを育てる体制をつくり、育成時間を約6カ月に短縮した。
17年度と20年度を比較してみると、月平均の時間外勤務は32・5時間から8・5時間となった。離職率は19%から2%に減った。有給リフレッシュ休暇取得率は65%から100%に向上。以前は退職理由の70%を占めていた「違う環境を求める」はゼロになった。
馬場崎喜美子看護部長は「組織全体での取り組みが評価されてうれしい。成果を生かし、職員に加えて患者や家族も幸せになれるよう努める」と、満足度向上に意欲を語った。
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2021年02月25日
消費者庁・風評被害の実態調査 福島敬遠 過去最少に
消費者庁は26日、「風評被害」に関する14回目の実態調査の結果を発表した。放射性物質を理由に購入をためらう産地に福島県を挙げた割合は8%で、2013年の調査開始以来、最少だった。一方、食品中の放射性物質の検査が行われていることを知らない人は62%と過去最大を記録。同庁は、情報発信の強化やリスクコミュニケーションを進め、風評被害の払拭(ふっしょく)に取り組む方針だ。
調査は1月15~19日に、被災地域や首都圏、関西などの消費者を対象にインターネットで実施。20~60代の5176人から回答を得た。
購入をためらう産地は福島県が最多の8%だが、初めて調査した13年2月の19%からは年々減少している。この他、被災地を中心とした東北が6%、北関東が2%などとなった。
ただ、食品中の放射性物質の調査が行われていることを知らない人は、前年度に比べ15ポイント増加。食品の放射性物質に関する意識や理解は低下している。
井上信治消費者担当相は同日の会見で「1割弱の方が(震災から)10年たっても購入をためらうと回答されたことは非常に残念」とした上で、正確な情報発信などに引き続き取り組むと強調した。一方、産地を気にする理由で「食品の生産地を応援したい」を選んだ人が14%と過去最も多く、応援消費が広がりを見せている。井上担当相は「被災地の復興を応援するためにも、こうした地域の食品を選んで購入する動きが広がることを期待したい」と呼び掛けた。
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2021年02月27日
米作付け意向 28都道府県 前年並み 農相「一層の転換必要」
農水省は26日、2021年産主食用米の作付け意向の第1回調査結果を発表した。1月末現在で28都道府県が前年並み傾向、19府県が減少傾向を見込み、増加傾向の県はなかった。21年産米の需給均衡には過去最大規模の転作拡大が必要だが、一部の米主産地は前年並み傾向。野上浩太郎農相は同日の閣議後記者会見で「需要に応じた生産の実現には、より一層の作付け転換の推進が必要な状況だ」と訴えた。
20年の作付面積との比較で、同省が都道府県や地域の農業再生協議会に聞き取ってまとめた。……
2021年02月27日

和田秀樹さん(精神科医) 一番おいしい方法を探求
私の好きな食べ物は、エビとカニ。新型コロナ禍のため、今はよく弁当を買うんですけど、エビフライとかカニクリームコロッケが入ったものを選んでしまいます。最近はエビカツが好きになりました。
格別だったエビ
エビ好きに関しては、母親の兄のおかげです。伯父は特攻隊に行くはずで死を覚悟しましたが、結局、行かなかったそうです。戦後、精神的に不安定な時期もありましたが立ち直り、魚の卸売市場の親方に気に入られて、私が子どもの頃は店を任されていました。
伯父はよく私の母親に「持ってけ」といって、氷付けになっているエビを1箱くれたんですよ。クルマエビくらいの大きさでした。
当時は流通や冷凍技術の関係で、どんな魚を食べても生臭かったんです。でも伯父からもらったエビは臭みがなくおいしかった。
エビが本当に高い時代でしたからね。友達がうらやましがるのを横目に食べたんです。豊かさの象徴のように感じられました。
カニについては、父が京都府の丹後出身で、冬場に父の実家に帰ると大量のカニを食べました。
カニというと福井と鳥取が有名ですが、今、東京で最も高額で取引されているのは、生きたまま空輸される間人(たいざ)のカニ。丹後半島で捕れるものです。私は知らずに、雌とはいえ最高のブランドカニを食べていたわけです。
30代のはじめ、米国のカンザスに留学していました。向こうでもエビやカニはスーパーにあるので不自由はなかったんですが、唯一困ったのがカニクリームコロッケ。ずっと飢えていました。
学会出席のため、ニューヨークに行った時。日本の商社や銀行、日本食レストランが並んでいる一角に、居酒屋を見つけたんです、入ってみたら、メニューの中にカニクリームコロッケがあって。すごくおいしくいただきました。
食べ物については、もう一つ思い出があります。やはり米国でのことです。私は基本的に日本食派ですが、世界三大珍味の一つ、白トリュフは大好きなんです。
これをパスタや肉の上に削りかけると値段がグンと上がるわけですが、それほどの価値があるのか疑問に感じていました。
白トリュフの謎
15年くらい前、白トリュフの謎が解けたんです。精神分析の師匠を訪ねて米国に行った時、サンタモニカの高級イタリアンレストランに入ったんですよ。そこは冬場に、世界一高い白トリュフを出すというんです。
白トリュフのカルパッチョがあり、ものすごく高い値段でしたが観光気分で頼んでみました。
これは生まれてこの方、食べた料理で、一番おいしかったです。
何が違うかというと、肉の上から掛けるんではなく、肉を白トリュフの漬けにしたんです。白トリュフを絡めたオイルに、生肉を漬けた料理だったんですね。
一口食べて発見しました。「これは世界一高いかつお節だ」と。かつお節も、上から掛けるよりも、だしにして食材に味を染み込ませる方がうまいじゃないですか。それと同じことを白トリュフでやっていたわけです。
それで感じたのが、食材には一番おいしい食べ方があるということ。カニクリームコロッケにしても白トリュフ漬けにしても、最高においしく食べるための工夫なんです。こうした工夫のおかげでよりおいしく食べられれば、食材を作った方への感謝の気持ちも一段と強くなると思っています。(聞き手=菊地武顕)
わだ・ひでき 1960年大阪府生まれ。東京大学医学部卒後、同付属病院精神神経科、老人科、神経内科で研修。現在は国際医療福祉大学赤坂心理学科教授、和田秀樹こころと体のクリニック院長などを務める。心理学や受験指導に関する書籍を多数執筆。近著は『感情的にならない心の整理術』(プレジデントムック)。
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2021年02月27日
地域の新着記事

“和牛少年” 春のセンバツ出場 もう一度「紫」この手に 長崎県立大崎高 野球部主将 秋山さん
「おうちの牛にも(褒賞の)紫色のリボンが欲しい」と、共進会に牛を引いて出場したかつての「和牛少年」が、今度は紫紺の優勝旗を目指し春の選抜高校野球大会に挑む。少年の名は秋山章一郎さん(17)。長崎県立大崎高校野球部の主将として第93回大会に出場する。「野球ができるのも家族と牛のおかげ」と語る秋山さんは、19日の開幕に向け「応援してくれる皆さんに喜んでもらえるように、一勝でも多く勝ちたい」と、澄んだ瞳で前を見据える。
6歳で共進会入賞 牛、家族が支え
秋山さんは幼い頃から牛に興味があり、「大きくなったら牛飼いになる」が口癖だった。6歳だった2009年秋、同県雲仙市主催の和牛共進会若雌第2部に父親の清さん(45)に導かれて登場し、出品牛が1等を受賞。会場の喝采の中で、急きょ章一郎さんに「特別賞」が与えられたというエピソードを持つ。
育てた牛を和牛共進会で父親と引く当時6歳の秋山さん(長崎県雲仙市で)
野球では、名将といわれた清水央彦(あきひこ)監督に憧れを抱くようになり、清水監督が大崎高校野球部の監督に就任すると、その思いが加速。同校に入学を果たした。
同校は甲子園初出場。長崎県西海市の西の外れにある人口5000人ほどの小さな島の高校だ。生徒数は113人で、現在の野球部員は3年生が抜けて29人。全員が寮生活をしている。
秋山さんは主将として部員を束ねる。心掛けているのは、誰よりも先に行動して先頭に立つことで「自分がやらないと部員もついてこない」と話す。チームの特徴は「チームワークが良いところ」だ。
監督が考案したという丸太を使ったトレーニングはきついが、体幹を鍛えるため部員を鼓舞し、熱心に取り組んでいる。監督に対しては「いつも自分たちのことを第一に考えてくれる。監督、部長らがいなければ今の自分はない」と話す。
今は「野球に“全集中”」の秋山さんだが、牛の事も忘れない。実家で飼う牛の名前は全て覚えており、子牛が生まれれば家族から電話で知らせが入り「素直にうれしい」という。
甲子園球場には家族全員が応援に来る。「自分には、大好きな家族と、牛と、野球がある。毎日が充実している」と秋山さん。両親は「監督に野球を教えてもらえることは、息子にとって一生の宝物になると思う。一生懸命頑張ってほしい」とエールを送る。
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2021年03月03日

表面パリッ 内側もちっ カチョカバロ人気 兵庫・淡路島牛乳
ステーキで食べるチ乳業メーカーの淡路島牛乳(兵庫県南あわじ市)が製造・販売するイタリア発祥のチーズ「カチョカバロ」が人気を集めている。厚くスライスして両面を焼き上げて食べるのが特徴。「ステーキにして食べるチーズ」として売り込んでおり、新しい食べ方が消費者の支持を広げている。……
2021年03月03日

桃の節句 華やかに 「さげもん」作り20年 JAふくおか八女の女性部員
JAふくおか八女立花地区女性部員の甲木壽子さんは、ひな祭りに飾るつるし飾り「さげもん」を作り続けて20年以上の「手芸名人」だ。作ったさげもんは、地元の「道の駅たちばな」で販売。女性部のさげもんサークルで作り方を指導しJAのイベントで展示するなど、精力的に活動している。
さげもんは、福岡県柳川地方に伝わるつるしびな。鶴や亀、エビ、セミなどの生物をかたどった人形を、子どもの成長を願って飾る。
甲木さんが作り始めたのは、孫の誕生がきっかけだった。初節句の日に座敷に飾っていると、そのかわいさや華やかさが評判を呼び、写真を撮りに訪れる人もいたという。
素材にはちりめんを使い、着物の布でも作れるという。一針ずつ手縫いで作り「孫が健康でありますように」と願いを込める。年中作業をしており、1年に1対完成する。「縫い仕事をしていると日頃の嫌なことも忘れて夢中になれる」と甲木さん。さげもんの他にも「苦難猿」という縁起物の置物も製作している。
2月中旬に八女市のJA立花地区センターで開かれた女性部の展示会で、甲木さんや仲間が製作したさげもんが彩りを添えた。甲木さんは「いろんな種類の人形のかわいらしさと華やかさが魅力。今後も女性部の仲間と一緒に作り続けていきたい」と話す。
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2021年03月02日

[活写] カスミソウ 収束願って、幸せ誓って
婚礼で使われるはずだった高品質の花を活用しよう──。東京駅のイベントスペース「スクエアゼロ」に2月26、27の両日、熊本産などの宿根カスミソウ3000本を使った展示が登場した。バージンロードを意識した配置で、花を天井に向かってアーチ状にし、式場の雰囲気を演出した。
花きの仲卸や市場卸、小売りなどで構成する「ブライダルフラワー支援協議会」が企画。新型コロナウイルス禍で婚礼件数が激減し、打撃を受けている花の産地や業界を盛り上げる狙い。
展示した生花は白と緑だけを使い、中央のモニターにカラフルな花々や咲き誇るカスミソウの画像を投影した。モニターの前に椅子を2脚置き、通る人が記念写真を撮って楽しめるようにした。
デザインと装飾を担当したフラワーアーティストの中川聖久さんは「未来の婚礼を思い浮かべたり、過ぎ去りし婚礼を懐かしんだりしてほしい」と話す。
協議会は2020年度補正予算の「公共施設等における花きの活用拡大支援事業」を利用し、展示を行っている。
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2021年03月01日

食・農就活サミット 72団体が出展
農業に特化した求人情報サイト「第一次産業ネット」を運営するライフラボは28日、2022年春に卒業予定で就職活動中の学生らを対象にした「食・農就活サミット」を東京都千代田区で開いた。農業法人や食品関連会社など72団体が出展。就活生ら約500人が参加した。
水稲や野菜、畜産を手掛ける法人の他、JAや農薬会社などの企業・団体が出展。……
2021年03月01日

[震災10年 復興の先へ] “学習資料”に野菜 出前授業が奏功 大使2800人 「安心」発信 福島県いわき市
東京電力福島第1原子力発電所事故に伴う「風評被害」を払拭(ふっしょく)し、地元農産物のおいしさや安全性を知る市民を増やそうと、福島県いわき市が創設した「いわき野菜アンバサダー」が6年で2800人に拡大した。市はアンバサダー(大使)に生産現場を学ぶ機会を提供。対象者に毎月抽選で「学習資料」として農産物を送り、地場産の理解が深まるよう工夫している。
真っ赤なミニトマトに鮮やかな薄緑色のスナップエンドウ──。市が送る農産物には生産者の名前が表示されている。同市在住のアンバサダー、熊谷ひとみさん(56)は自宅に届いた箱を開け、「みんな知っている農家の野菜。今回もおいしいはず」と言って、顔をほころばせた。
熊谷さんは2015年3月にアンバサダーになり、農家や放射性物質の検査現場を市主催のバスツアーで訪ねた。安全に注意を払いながら、おいしさを追求していることがよく分かったという。以来、友人にも地元の農産物を薦め「地元野菜のファンを増やすことに協力したい」と話す。
アンバサダーは、地元農産物の特徴や放射性物質の検査態勢について、野菜の試食を交えて1時間ほど学ぶ無料セミナーを受講した人が認定される。地元野菜の理解者を増やし、原発事故の風評被害を払拭しようと始めた。
初年度の14年度は296人を認定。これが20年度には12月時点で2804人に拡大した。多くの人が受講できるよう、開催した延べ112回のセミナーのうち、半分は学校や市民らが集まる場に出向く出前授業。その成果が、認定数の増加につながった。
アンバサダーの活動はさまざま。抽選で送る農産物は「学習資料」と位置付け、食べた感想などをリポートにまとめて地元産の魅力を再確認してもらう。地元飲食店の料理人やスーパーのバイヤーが認定を受け、地元産を積極的に利用しているケースもある。
市は「安全性への理解に加えて、農家の姿勢が支持されるよう後押ししたい」(魅せる課)と話す。これまで市民と農家が交流する場を設けてきたが、コロナ禍の影響で現在は見合わせている。状況をみて、再開したい考えだ。
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2021年02月28日

乳幼児向けようかん発売 県産野菜ふんだんに 松山市の和菓子会社
松山市の薄墨羊羹(ようかん)が県内産野菜をふんだんに使った乳幼児向けようかん「おやおやようかん」を発売した。「とまと」「かぼちゃ」「ほうれん草」「紫いも」「みかん」の5種類。もなか皮で作った食べられるスプーンや、かわいい動物を描いたパッケージも楽しいおやつの時間を演出する。県内直営店とオンラインで販売している。……
2021年02月28日

コロナ禍で需要減 豚レバーで薫製 消費拡大へ 家庭向け人気 千葉県食肉公社
新型コロナウイルス禍による需要減少で廃棄処分されていた豚レバーが、薫製加工をした商品として人気を集めている。食肉出荷・加工を手掛ける千葉県食肉公社(千葉県旭市)が、独自の熟成法と薫製で味を改良した「豚レバースモーク」を道の駅などで販売。緊急事態宣言の解除を見据え飲食店ではメニュー開発も進んでおり、地域を挙げて消費拡大に向けて動き始めた。
豚レバーは串焼きやレバニラ炒めの材料として、居酒屋やレストランを中心とした外食産業に需要があった。しかしコロナ禍で外食需要が低迷。同公社では最大約9割が廃棄処分になったという。
「一般家庭向けに豚レバーを使えないか」。同公社の若松重伸取締役営業部長らは、昨年7月ごろから新商品の開発に着手。独自の調味液に漬けて零下2~0度前後で氷温熟成し、桜チップでいぶして香り付けをした「豚レバースモーク」(約100グラム330円)を作った。若松部長は「ねっとりとした食感を味わってもらいたかった。豚レバースモークを通じて消費を拡大したい」と期待する。
千葉県は豚の飼養頭数が全国5位の60万3800頭(2019年2月1日時点)と豚は身近な存在だが、若松部長によると「豚レバーのスモークはなじみがない」という。昨年11月、千葉市の商業施設でテスト販売をしたところ、見込みの20個を大幅に上回る約100個を売り上げた。
今年1月に旭市の道の駅季楽里あさひや旭食肉協同組合本店の他、県内の道の駅や直売所で販売を始めたところ、評判を聞き付けた客が相次ぎ、売り切れの店も出た。季楽里あさひの江本伸二駅長は「これまで聞いたことのない商品だったが、いまではスモーク目当てで来店する人もいるほどの人気だ」と驚く。
メニュー開発 飲食店も意欲
市内では新たな豚レバーメニューの開発も進む。ハンバーグとケーキの専門店「キッチンツナグ」は、ハンバーガーに豚レバースモークを加えるなどメニュー開発に余念がない。2月からメニューで目立つように「旭市豚さんのレバーパテ」「スモークレバー」と記載したところ、店内や持ち帰りで注文する客が増えたという。豊田維代表は「コロナ禍で来店客は減っているが、豚レバーのメニューは反応が良い。今後も新たなメニューを出して千葉から豚レバーを広めたい」と意気込む。
同公社では学校給食への提供を目指し、ソーセージなども開発中だ。
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2021年02月27日

[震災10年 復興の先へ] 風化させぬ 農家ら「語り部」 コロナ禍、交流に壁 今は辛抱…ネット活用模索
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、農業体験をしながら東日本大震災の教訓を伝えようとする農家や地域住民の「語り部」の活動が苦境に立たされている。観光や交流を自粛する動きが広がり、体験を話す機会が減少した。一方で被災の記憶を風化させないよう、活動を継続する意志は固い。インターネットを活用したツアーを検討するなど模索が続く。(丸草慶人)
福島県相馬市の沿岸部に建つ和田観光苺組合のハウスは年明け以降、数人の個人客しかいない日が続く。いつもは旬のイチゴを求める団体客でにぎわうが、新型コロナ禍で激減。1、2月は例年の3分の1にとどまる。
組合は一部の団体客向けにイチゴ狩りと合わせて、震災の経験を伝える語り部の活動をしてきたが、その機会もほとんどなくなった。
震災が発生した2011年の11月から、市観光協会が企画する復興視察研修を受け入れ、語り部を務めてきた組合長の齋川一朗さん(72)は「観光農園の収入だけでなく、震災を語る場が失われていることが残念でならない」と話す。
震災当日、津波が来るため一度逃げたが、家が気になり戻ってしまい、亡くなった人もいた。そうした実態を知る齋川さんは、イチゴ狩りに来た人に「何かあったら、とにかく逃げて」と言い続けてきた。
組合はハウス2・2ヘクタールで栽培。観光客の収入が大きく減る中、直売所での販売が主な収入源だ。「今は辛抱の時。イチゴの生産をしっかり続け、コロナが収束したら語り部を再開したい」と、齋川さんは決意する。
ツアー縮小
宮城県岩沼市。岩沼みんなのアグリツーリズム&イノベーションは、震災の教訓を伝えながら農業を体験してもらうツアーを運営する。年6回程のイベントを企画してきたが、今年は人を集めるのは避けるべきだと判断。1回にとどめた。
ツアーは13年度に始めた。津波で友人を失った経験を持つ代表の谷地沼富勝さん(45)が「被災の記憶を風化させたくない」と企画。東京都内のIT企業と連携し、首都圏からも参加するイベントとして動きだした。
地域に訪れてもらうことを重視し、定期的に農業を組み込んだ。サツマイモの植え付けから収穫までを体験してもらい、その都度、現場に来てもらう。作業の合間に、写真などを使って「災害は一瞬で命を奪う。日頃の備えや防災訓練は本当に大事」と訴えてきた。
訪れる人も多く、19年度は延べ200人が参加した。20年度は参加者を県内にとどめ、収穫作業に限定。延べ40人にとどまるも、谷地沼さんは「コロナ禍でもできることを続けたい」と前を向く。2月下旬にはIT企業の協力を得て、毎年の恒例行事だった餅つきをオンラインで配信した。
観光客激減
コロナ禍によって全国規模で観光客数が減る中、岩手、宮城、福島の被災3県にも大きな影響が出ている。観光庁によると、20年1~11月の3県の宿泊者数は1836万人。前年同期比で33%減った。減少が最も大きいのは宮城県で、同43%減の571万人。次いで岩手が35%減の375万人、福島が24%減の889万人だった。
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2021年02月26日

[震災10年 復興の先へ] 津波で犠牲の園児しのぶプロジェクト 「奇跡の花」全国へ 尊い命守る意識を 愛知厚生連海南病院
【あいち】JA愛知厚生連海南病院(弥富市)は、東日本大震災の被災地に咲いた「奇跡の花」を全国に広げる活動に協力している。津波で亡くなった園児の遺族らが花の栽培や講演活動を通して「一番の防災は忘れないこと」を伝える活動だ。同病院で中心となって活動する名誉院長の山本直人さん(67)は「活動を通して次世代に防災と命の大切さを伝えたい」と話す。
「アイリンブループロジェクト」が始まったのは2015年2月。地震が起きた11年3月11日、宮城県石巻市の沿岸部で佐藤愛梨ちゃん=当時6歳=ら園児5人が乗った送迎バスが津波に襲われ、愛梨ちゃんは帰らぬ人となった。数年後、現場には真っ白なフランスギクが咲いた。「この花の種を各地で育てて、命の大切さを世界に広めたい」と、愛梨ちゃんの遺族や現地の人らによるプロジェクトが立ち上がった。
震災当時、同病院院長だった山本さんは、職員らと被災地で医療支援をした。機会があれば支援を続けたいと考えていた山本さんは、プロジェクトの一環で映画を作る話を知り、個人的に寄付をした。これをきっかけに、事務局から「プロジェクトを県外にも広げたい」と相談を受けた。
そこで同病院でも17年3月、現地から取り寄せた種から育てた苗を屋上庭園に植えた。同年4月には弥富市と共催で防災フォーラムを開催。さらに海部津島地域の自治体や地元ライオンズクラブなどの協力で、同年秋から学校や自治体など50カ所以上に苗を植えていった。
山本さんはプロジェクトの西日本支部長として活動をけん引。愛知での取り組みをきっかけに、プロジェクトは全国15都道府県、70カ所にまで広がった。
海抜ゼロメートル地帯が広がる海部津島地域一帯は、1959年の伊勢湾台風で甚大な被害を受けており、同病院は県の災害拠点病院に指定されている。
山本さんは「伊勢湾台風の経験で防災意識は高い地域だが、次世代に天災の恐ろしさをこれからも伝えていく必要がある。学校などで子どもが『奇跡の花』を植えることを通して、命の大切さや『自分の身は自分で守る』という防災意識を高めてほしい」と話す。
震災から10年目の節目となる今年3月には、石巻市に石巻南浜津波復興祈念公園が開園する。プロジェクトでは、ここに各地で育てられたフランスギク1万輪を植える計画を立てている。新型コロナウイルス禍で活動が制約される中、プロジェクトは新たな企画も進行中で、同病院も協力する予定だ。
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2021年02月26日