奈良・明日香村移住者へ 「農+観光業」を提案 収入安定し放棄地も解消

モデル圃場での定植機の実演(奈良県明日香村で)

 奈良県明日香村は、観光業を営むために村に移住した人などを対象に、耕作放棄地を活用して農業に取り組んでもらうプロジェクトを2021年度から本格的に始める。初心者でもできるように、耕作放棄地を整備して貸し出し、作業も手厚く支援する。より収入が安定する「農業+観光業」の暮らしを提案し、移住の加速と耕作放棄地解消につなげる。
 

整備後に貸し出し


 明日香村には飛鳥時代の史跡が多く残され、年間約80万人が訪れるなど観光が盛ん。観光業に携わりたい移住者も多いという。一方、村によると、高齢化などにより農業者人口は17年から10年間で半数近く減り、村の農地の約25%に当たる約100ヘクタールが耕作放棄地となっている。

 そこで打ち出したのが観光業を営む移住者らに農業に挑戦してもらうプロジェクトだ。明日香村地域振興公社が、耕作放棄地を作物が栽培できる状態に復元。その後、農機を使った作業も請け負うことで初期投資を抑えられるようにする。栽培しやすいツルムラサキや軟弱野菜などを作付けし、「高齢者や初心者でも1人で農地の管理ができる体系の提案を目指す」(同村)という。

 整備した圃場(ほじょう)は明日香村農業委員会が管理し、貸借に向けマッチングを支援する。農業委員会では農地を使ってもらいやすくする下準備として、昨年8月に農地取得の下限面積を30アールから10アールに引き下げた。これまで通り担い手に貸し出すのはもちろん観光が盛んな地の利を生かし、農業体験用などとして観光業でも活用してもらいたい考えだ。

 明日香村農業委員会の森井清政会長は「耕作放棄地は地主だけに任せるのではなく地域の皆で解決すべき問題。これ以上増えないよう、農地管理のモデルを作っていきたい」と意気込む。

 昨年12月には、モデル圃場15アールで実証が始動した。機械を使った畝立てやマルチ張り、野菜苗の定植を行った。今後、栽培指導ではJAならけんと連携する。公社は農機メーカーとも協力し、スマート農業の実演や貸し出す農機の種類を増やしていくことを検討する。

 明日香村産業づくり課は「中山間地域で農業だけの収入で生計を立てるのは難しいが、観光業と組み合わせて半農半Xで取り組む新規就農者などを増やすことで、耕作放棄地解消の一手としたい」と話す。

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