元気な子馬 待ってるよ 「馬追い運動」北海道音更町
2021年01月28日

おなかの子を気遣いながら雪道を駆ける妊娠馬(北海道音更町で)
北海道・十勝地方の冬の風物詩「馬追い運動」が、音更町の家畜改良センター十勝牧場で始まった。冬に厩舎(きゅうしゃ)などで飼う農用馬を走路で走らせ、運動不足解消を目指す。
冬は厩舎やパドックで飼うため、運動不足になりやすい。妊娠馬は胎子の育ち過ぎによる難産防止、育成馬は強健な体づくりのために適度な運動が必要となる。今年は妊娠群、不妊群、育成群、1歳雄群の133頭が運動の対象だ。
妊娠群の馬追い運動では、1周800メートルの走路をゆっくりと3周。分娩(ぶんべん)を控えるたものでは、体重が1トンを超える馬もいる。出産は2月14日から4月末まで続く。
一般公開は29日までで、土・日曜日・祝日を除き、午前9時30分から1時間程度。新型コロナウイルス感染防止のため公開期間は例年より短い。
冬は厩舎やパドックで飼うため、運動不足になりやすい。妊娠馬は胎子の育ち過ぎによる難産防止、育成馬は強健な体づくりのために適度な運動が必要となる。今年は妊娠群、不妊群、育成群、1歳雄群の133頭が運動の対象だ。
妊娠群の馬追い運動では、1周800メートルの走路をゆっくりと3周。分娩(ぶんべん)を控えるたものでは、体重が1トンを超える馬もいる。出産は2月14日から4月末まで続く。
一般公開は29日までで、土・日曜日・祝日を除き、午前9時30分から1時間程度。新型コロナウイルス感染防止のため公開期間は例年より短い。
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日本型アニマルウェルフェア開発へ 集まれ“応援団” 鶏肉販売始める 信州大農学部
信州大学農学部(長野県南箕輪村)は3日、アニマルウェルフェア(快適性に配慮した家畜の飼育管理)の飼育施設で育てた鶏肉の販売を始めた。研究の一環で飼育した肉用鶏を販売することで、消費者へのアニマルウェルフェアの認知度向上につなげる考えだ。
同大によると、アニマルウェルフェアの畜産物を大学の農学部が販売するのは全国初。販売するのはモモ肉、ムネ肉、手羽元の3部位で、いずれも冷凍している。
同学部では2020年7月に、アニマルウェルフェアに対応した研究用鶏舎を完成させた。鶏は1平方メートル当たりの飼育数を日本の一般的な飼育数の15、16羽より少ない11羽で飼育し、飼育密度を下げた。この他にも、鶏舎内で終日照明を点灯させずに、1日2時間連続で照明を消すなどしてストレスを軽減させ、快適な環境をつくった。
今回販売する鶏肉は、昨年12月下旬にひなから育て、2月上旬に山梨県笛吹市の加工業者に出荷した310羽分。
研究に取り組む竹田謙一准教授は「販売を通じて、消費者がアニマルウェルフェアの考え方を知り、応援団になってもらいたい」と説明する。
キャンパス内の直売所で発売。モモ肉1袋(2キロ)2000円、ムネ肉1袋(同)1500円、手羽元1袋(同)1300円。
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2021年03月04日

[あんぐる] 湯にもまれ“一人前”に 「大和当帰」加工(奈良県明日香村)
漢方薬に使われる薬用作物「大和当帰(トウキ)」の生産が盛んな奈良県では、トウキを薬に加工するための伝統的な「湯もみ」作業が、真冬の風物詩となっている。約2年間育てたトウキを3カ月ほど乾燥させて湯に浸し、一つ一つ丁寧にもむこの作業は、漢方薬の品質を決める“要”の工程だ。
台の上で転がしながら手でもんで形を整える。加工場には湯気が充満した(奈良県下市町で)
トウキはセリ科の多年草。根は血の循環を活性化し、冷え性や更年期障害などに効果があるとされ、主に婦人薬の原料として利用される。収穫したトウキを薬に加工するために欠かせないのが、「湯もみ」と呼ばれる加工作業だ。
2月下旬の朝、キトラ古墳で有名な明日香村阿部山の集落営農組織「えいのうキトラ」のメンバー10人が生薬卸「前忠」(下市町)の一角にある加工場に集まった。大釜で沸かした約60度の湯をおけに張り、乾燥させたトウキを2分ほど浸すと、加工場内にはセロリのような香りが立ち込めた。特製の湯もみ機にも湯を張り、ローラーで1分優しくもみ洗う。台の上で手のひらを使って転がしながら馬のしっぽのような形に整え、さらに水で何度も洗って付着した泥を丁寧に落とした。県の果樹薬草研究センター指導研究員の米田健一さん(44)は、「湯もみはトウキの味や色、薬効などに影響を与える。品質を高めるための重要な工程だ」と力を込める。
大和当帰は17世紀中ごろからこの地域で薬草として盛んに栽培され、品質の高さで知られる。同地域では県、前忠、えいのうキトラが一体となって栽培と改良を続けてきた。
今季は8アールで栽培し、天候不順の影響で例年より少ない1000本ほどを収穫した。湯もみが終わると明日香村のハウス内の干し場にはさ掛けした。4月末ごろまで乾かした後、等級別に分け、前忠が加工して出荷する。薬の他にも美容液、ハンドクリーム、葉は入浴剤などにも使われ、外国人観光客からも人気を集めている。えいのうキトラ会長の山本雅義さん(73)は「メンバー一丸となっての大和当帰栽培は、地域活性化につながっている。集落を代表する作物として規模を拡大したい」と笑顔を見せる。(釜江紗英)
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2021年03月01日
国産消費拡大運動 価値伝え応援団拡大を
農水省は来年度から、国産農産物の消費拡大を目指し新たな国民運動を始める。国産応援団の裾野を広げるため、農業・農村の価値と魅力を官民挙げて発信する。新型コロナウイルス禍で農業者は苦境にある。国産を選ぶことが食料安全保障の確立に貢献するとの理解を、速やかに浸透させるべきだ。
政府が昨年改定した食料・農業・農村基本計画は、食と農への理解を深める国民運動を、食料自給率の向上、輸出5兆円目標の達成と並ぶ主要な柱に位置付けている。
国内農業は生産基盤が弱体化する一方で食料需要が地球規模で増え、食料の安定供給へのリスクが高まっている。同省は、こうした現状を国民全体で広く共有し、消費者が国産を積極的に選ぶ機運を高めたい考えだ。2021年度政府予算案には、農家の奮闘する姿や農業の魅力をインターネット交流サイト(SNS)で発信したり、世代を問わず消費者との距離を縮める交流イベントを開催したりする事業を盛り込んでいる。
国民運動は、顕彰制度などを通じて地域内の農産品を掘り起こし、消費を呼び掛けるこれまでの取り組みから転換、農産物に込めた思いや創意工夫への理解を促し、食や環境、地域に貢献する農業の意義を実感してもらうことが主眼にある。
加えて、現場に障害者や高齢者雇用を受け入れる「農福連携」も含め、農業の多面的機能への理解も広げる。野上浩太郎農相も国会で「国内農業の重要性・持続性を確保するため、国民の各層がしっかり認識を共有していくことが重要だ」と述べ、実践に強い意欲を示した。
しかし新型コロナの感染拡大で、基本計画で想定した消費拡大のシナリオと現実が懸け離れた。東京五輪・パラリンピックをはじめとしたイベントやインバウンド(訪日外国人)を当て込んだ市場は消滅した。2度の緊急事態宣言による外出自粛、外食業者の時短営業も重なって業務用需要が減少。集客を伴う交流イベントも開けないなど、食と農の接点を増やす多くの機会が失われた。「巣ごもり」での家庭用需要の拡大とは裏腹に、安定供給が求められる外食向けなどの業務用産地は窮地に立たされている。
政府は輸出を加速させるため産地や品目の選定を進めているが、足元の国内需給がおぼつかない状況では、基本計画の実践は片翼飛行になりかねない。
コロナ禍が収束しなければ、交流を伴う国民運動関連の事業の実効性をどう確保するかが課題になる。一方、海外では、食料の輸出規制や食肉工場の操業停止、物流の混乱などが生じ、食料安保への国民の関心が高まった。国内では、買い急ぐ必要がないほど国産の安定的な供給が続き、国内農業の重要性が改めて認識された。需要が減った農産物を買い支える「応援消費」も活発だ。こうした動きを生かした取り組みが求められる。
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2021年03月01日

和田秀樹さん(精神科医) 一番おいしい方法を探求
私の好きな食べ物は、エビとカニ。新型コロナ禍のため、今はよく弁当を買うんですけど、エビフライとかカニクリームコロッケが入ったものを選んでしまいます。最近はエビカツが好きになりました。
格別だったエビ
エビ好きに関しては、母親の兄のおかげです。伯父は特攻隊に行くはずで死を覚悟しましたが、結局、行かなかったそうです。戦後、精神的に不安定な時期もありましたが立ち直り、魚の卸売市場の親方に気に入られて、私が子どもの頃は店を任されていました。
伯父はよく私の母親に「持ってけ」といって、氷付けになっているエビを1箱くれたんですよ。クルマエビくらいの大きさでした。
当時は流通や冷凍技術の関係で、どんな魚を食べても生臭かったんです。でも伯父からもらったエビは臭みがなくおいしかった。
エビが本当に高い時代でしたからね。友達がうらやましがるのを横目に食べたんです。豊かさの象徴のように感じられました。
カニについては、父が京都府の丹後出身で、冬場に父の実家に帰ると大量のカニを食べました。
カニというと福井と鳥取が有名ですが、今、東京で最も高額で取引されているのは、生きたまま空輸される間人(たいざ)のカニ。丹後半島で捕れるものです。私は知らずに、雌とはいえ最高のブランドカニを食べていたわけです。
30代のはじめ、米国のカンザスに留学していました。向こうでもエビやカニはスーパーにあるので不自由はなかったんですが、唯一困ったのがカニクリームコロッケ。ずっと飢えていました。
学会出席のため、ニューヨークに行った時。日本の商社や銀行、日本食レストランが並んでいる一角に、居酒屋を見つけたんです、入ってみたら、メニューの中にカニクリームコロッケがあって。すごくおいしくいただきました。
食べ物については、もう一つ思い出があります。やはり米国でのことです。私は基本的に日本食派ですが、世界三大珍味の一つ、白トリュフは大好きなんです。
これをパスタや肉の上に削りかけると値段がグンと上がるわけですが、それほどの価値があるのか疑問に感じていました。
白トリュフの謎
15年くらい前、白トリュフの謎が解けたんです。精神分析の師匠を訪ねて米国に行った時、サンタモニカの高級イタリアンレストランに入ったんですよ。そこは冬場に、世界一高い白トリュフを出すというんです。
白トリュフのカルパッチョがあり、ものすごく高い値段でしたが観光気分で頼んでみました。
これは生まれてこの方、食べた料理で、一番おいしかったです。
何が違うかというと、肉の上から掛けるんではなく、肉を白トリュフの漬けにしたんです。白トリュフを絡めたオイルに、生肉を漬けた料理だったんですね。
一口食べて発見しました。「これは世界一高いかつお節だ」と。かつお節も、上から掛けるよりも、だしにして食材に味を染み込ませる方がうまいじゃないですか。それと同じことを白トリュフでやっていたわけです。
それで感じたのが、食材には一番おいしい食べ方があるということ。カニクリームコロッケにしても白トリュフ漬けにしても、最高においしく食べるための工夫なんです。こうした工夫のおかげでよりおいしく食べられれば、食材を作った方への感謝の気持ちも一段と強くなると思っています。(聞き手=菊地武顕)
わだ・ひでき 1960年大阪府生まれ。東京大学医学部卒後、同付属病院精神神経科、老人科、神経内科で研修。現在は国際医療福祉大学赤坂心理学科教授、和田秀樹こころと体のクリニック院長などを務める。心理学や受験指導に関する書籍を多数執筆。近著は『感情的にならない心の整理術』(プレジデントムック)。
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2021年02月27日
〈男は黙って…〉。かつてのビールの宣言文句もいまなら物議を醸すかも
〈男は黙って…〉。かつてのビールの宣言文句もいまなら物議を醸すかも。ことさら男を強調するのはいかがなものかと▼おしゃべりな人、口数少ない人。人それぞれ。別段男だから女だからと限定するのはおかしい。もちろん女性だから会議での話が長いわけでもない。ただコロナ禍で会話が減っているのは確か。知人は、長いマスク生活で「声が出にくくなった」とこぼしていた▼会話を極力しないことが良しとされるご時世である。「黙食にご協力ください」と呼び掛ける飲食店も現れた。食事の楽しさは、気心の知れた人との会話も調味料になる。例えば恋人同士が、2重マスクとアクリル板越しに、黙々と箸を運ぶ。時折、スマホのLINEで“筆談”。これではどんなごちそうでも味気ないだろう▼「賢者は黙して語らず」のことわざが示すように、日本では往々にして沈黙は美徳とされる。「沈思黙考」は、黙して熟慮するさま。不平不満を言わず黙々と働く人も好まれる。しかし「沈黙は金」も時と場合による。菅首相のご子息に絡む接待疑惑の渦中にある総務省幹部は当初「黙秘」を決め込み、会話記録が出ると「記憶力不足」と釈明した▼永田町や霞が関の住人たちには、政権を守るため沈黙を守り通せば出世する「黙約」でもあるのだろうか。
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2021年02月26日
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2021年03月04日

“和牛少年” 春のセンバツ出場 もう一度「紫」この手に 長崎県立大崎高 野球部主将 秋山さん
「おうちの牛にも(褒賞の)紫色のリボンが欲しい」と、共進会に牛を引いて出場したかつての「和牛少年」が、今度は紫紺の優勝旗を目指し春の選抜高校野球大会に挑む。少年の名は秋山章一郎さん(17)。長崎県立大崎高校野球部の主将として第93回大会に出場する。「野球ができるのも家族と牛のおかげ」と語る秋山さんは、19日の開幕に向け「応援してくれる皆さんに喜んでもらえるように、一勝でも多く勝ちたい」と、澄んだ瞳で前を見据える。
6歳で共進会入賞 牛、家族が支え
秋山さんは幼い頃から牛に興味があり、「大きくなったら牛飼いになる」が口癖だった。6歳だった2009年秋、同県雲仙市主催の和牛共進会若雌第2部に父親の清さん(45)に導かれて登場し、出品牛が1等を受賞。会場の喝采の中で、急きょ章一郎さんに「特別賞」が与えられたというエピソードを持つ。
育てた牛を和牛共進会で父親と引く当時6歳の秋山さん(長崎県雲仙市で)
野球では、名将といわれた清水央彦(あきひこ)監督に憧れを抱くようになり、清水監督が大崎高校野球部の監督に就任すると、その思いが加速。同校に入学を果たした。
同校は甲子園初出場。長崎県西海市の西の外れにある人口5000人ほどの小さな島の高校だ。生徒数は113人で、現在の野球部員は3年生が抜けて29人。全員が寮生活をしている。
秋山さんは主将として部員を束ねる。心掛けているのは、誰よりも先に行動して先頭に立つことで「自分がやらないと部員もついてこない」と話す。チームの特徴は「チームワークが良いところ」だ。
監督が考案したという丸太を使ったトレーニングはきついが、体幹を鍛えるため部員を鼓舞し、熱心に取り組んでいる。監督に対しては「いつも自分たちのことを第一に考えてくれる。監督、部長らがいなければ今の自分はない」と話す。
今は「野球に“全集中”」の秋山さんだが、牛の事も忘れない。実家で飼う牛の名前は全て覚えており、子牛が生まれれば家族から電話で知らせが入り「素直にうれしい」という。
甲子園球場には家族全員が応援に来る。「自分には、大好きな家族と、牛と、野球がある。毎日が充実している」と秋山さん。両親は「監督に野球を教えてもらえることは、息子にとって一生の宝物になると思う。一生懸命頑張ってほしい」とエールを送る。
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2021年03月03日

表面パリッ 内側もちっ カチョカバロ人気 兵庫・淡路島牛乳
ステーキで食べるチ乳業メーカーの淡路島牛乳(兵庫県南あわじ市)が製造・販売するイタリア発祥のチーズ「カチョカバロ」が人気を集めている。厚くスライスして両面を焼き上げて食べるのが特徴。「ステーキにして食べるチーズ」として売り込んでおり、新しい食べ方が消費者の支持を広げている。……
2021年03月03日

桃の節句 華やかに 「さげもん」作り20年 JAふくおか八女の女性部員
JAふくおか八女立花地区女性部員の甲木壽子さんは、ひな祭りに飾るつるし飾り「さげもん」を作り続けて20年以上の「手芸名人」だ。作ったさげもんは、地元の「道の駅たちばな」で販売。女性部のさげもんサークルで作り方を指導しJAのイベントで展示するなど、精力的に活動している。
さげもんは、福岡県柳川地方に伝わるつるしびな。鶴や亀、エビ、セミなどの生物をかたどった人形を、子どもの成長を願って飾る。
甲木さんが作り始めたのは、孫の誕生がきっかけだった。初節句の日に座敷に飾っていると、そのかわいさや華やかさが評判を呼び、写真を撮りに訪れる人もいたという。
素材にはちりめんを使い、着物の布でも作れるという。一針ずつ手縫いで作り「孫が健康でありますように」と願いを込める。年中作業をしており、1年に1対完成する。「縫い仕事をしていると日頃の嫌なことも忘れて夢中になれる」と甲木さん。さげもんの他にも「苦難猿」という縁起物の置物も製作している。
2月中旬に八女市のJA立花地区センターで開かれた女性部の展示会で、甲木さんや仲間が製作したさげもんが彩りを添えた。甲木さんは「いろんな種類の人形のかわいらしさと華やかさが魅力。今後も女性部の仲間と一緒に作り続けていきたい」と話す。
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2021年03月02日

[活写] カスミソウ 収束願って、幸せ誓って
婚礼で使われるはずだった高品質の花を活用しよう──。東京駅のイベントスペース「スクエアゼロ」に2月26、27の両日、熊本産などの宿根カスミソウ3000本を使った展示が登場した。バージンロードを意識した配置で、花を天井に向かってアーチ状にし、式場の雰囲気を演出した。
花きの仲卸や市場卸、小売りなどで構成する「ブライダルフラワー支援協議会」が企画。新型コロナウイルス禍で婚礼件数が激減し、打撃を受けている花の産地や業界を盛り上げる狙い。
展示した生花は白と緑だけを使い、中央のモニターにカラフルな花々や咲き誇るカスミソウの画像を投影した。モニターの前に椅子を2脚置き、通る人が記念写真を撮って楽しめるようにした。
デザインと装飾を担当したフラワーアーティストの中川聖久さんは「未来の婚礼を思い浮かべたり、過ぎ去りし婚礼を懐かしんだりしてほしい」と話す。
協議会は2020年度補正予算の「公共施設等における花きの活用拡大支援事業」を利用し、展示を行っている。
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2021年03月01日

食・農就活サミット 72団体が出展
農業に特化した求人情報サイト「第一次産業ネット」を運営するライフラボは28日、2022年春に卒業予定で就職活動中の学生らを対象にした「食・農就活サミット」を東京都千代田区で開いた。農業法人や食品関連会社など72団体が出展。就活生ら約500人が参加した。
水稲や野菜、畜産を手掛ける法人の他、JAや農薬会社などの企業・団体が出展。……
2021年03月01日

[震災10年 復興の先へ] “学習資料”に野菜 出前授業が奏功 大使2800人 「安心」発信 福島県いわき市
東京電力福島第1原子力発電所事故に伴う「風評被害」を払拭(ふっしょく)し、地元農産物のおいしさや安全性を知る市民を増やそうと、福島県いわき市が創設した「いわき野菜アンバサダー」が6年で2800人に拡大した。市はアンバサダー(大使)に生産現場を学ぶ機会を提供。対象者に毎月抽選で「学習資料」として農産物を送り、地場産の理解が深まるよう工夫している。
真っ赤なミニトマトに鮮やかな薄緑色のスナップエンドウ──。市が送る農産物には生産者の名前が表示されている。同市在住のアンバサダー、熊谷ひとみさん(56)は自宅に届いた箱を開け、「みんな知っている農家の野菜。今回もおいしいはず」と言って、顔をほころばせた。
熊谷さんは2015年3月にアンバサダーになり、農家や放射性物質の検査現場を市主催のバスツアーで訪ねた。安全に注意を払いながら、おいしさを追求していることがよく分かったという。以来、友人にも地元の農産物を薦め「地元野菜のファンを増やすことに協力したい」と話す。
アンバサダーは、地元農産物の特徴や放射性物質の検査態勢について、野菜の試食を交えて1時間ほど学ぶ無料セミナーを受講した人が認定される。地元野菜の理解者を増やし、原発事故の風評被害を払拭しようと始めた。
初年度の14年度は296人を認定。これが20年度には12月時点で2804人に拡大した。多くの人が受講できるよう、開催した延べ112回のセミナーのうち、半分は学校や市民らが集まる場に出向く出前授業。その成果が、認定数の増加につながった。
アンバサダーの活動はさまざま。抽選で送る農産物は「学習資料」と位置付け、食べた感想などをリポートにまとめて地元産の魅力を再確認してもらう。地元飲食店の料理人やスーパーのバイヤーが認定を受け、地元産を積極的に利用しているケースもある。
市は「安全性への理解に加えて、農家の姿勢が支持されるよう後押ししたい」(魅せる課)と話す。これまで市民と農家が交流する場を設けてきたが、コロナ禍の影響で現在は見合わせている。状況をみて、再開したい考えだ。
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2021年02月28日

乳幼児向けようかん発売 県産野菜ふんだんに 松山市の和菓子会社
松山市の薄墨羊羹(ようかん)が県内産野菜をふんだんに使った乳幼児向けようかん「おやおやようかん」を発売した。「とまと」「かぼちゃ」「ほうれん草」「紫いも」「みかん」の5種類。もなか皮で作った食べられるスプーンや、かわいい動物を描いたパッケージも楽しいおやつの時間を演出する。県内直営店とオンラインで販売している。……
2021年02月28日

コロナ禍で需要減 豚レバーで薫製 消費拡大へ 家庭向け人気 千葉県食肉公社
新型コロナウイルス禍による需要減少で廃棄処分されていた豚レバーが、薫製加工をした商品として人気を集めている。食肉出荷・加工を手掛ける千葉県食肉公社(千葉県旭市)が、独自の熟成法と薫製で味を改良した「豚レバースモーク」を道の駅などで販売。緊急事態宣言の解除を見据え飲食店ではメニュー開発も進んでおり、地域を挙げて消費拡大に向けて動き始めた。
豚レバーは串焼きやレバニラ炒めの材料として、居酒屋やレストランを中心とした外食産業に需要があった。しかしコロナ禍で外食需要が低迷。同公社では最大約9割が廃棄処分になったという。
「一般家庭向けに豚レバーを使えないか」。同公社の若松重伸取締役営業部長らは、昨年7月ごろから新商品の開発に着手。独自の調味液に漬けて零下2~0度前後で氷温熟成し、桜チップでいぶして香り付けをした「豚レバースモーク」(約100グラム330円)を作った。若松部長は「ねっとりとした食感を味わってもらいたかった。豚レバースモークを通じて消費を拡大したい」と期待する。
千葉県は豚の飼養頭数が全国5位の60万3800頭(2019年2月1日時点)と豚は身近な存在だが、若松部長によると「豚レバーのスモークはなじみがない」という。昨年11月、千葉市の商業施設でテスト販売をしたところ、見込みの20個を大幅に上回る約100個を売り上げた。
今年1月に旭市の道の駅季楽里あさひや旭食肉協同組合本店の他、県内の道の駅や直売所で販売を始めたところ、評判を聞き付けた客が相次ぎ、売り切れの店も出た。季楽里あさひの江本伸二駅長は「これまで聞いたことのない商品だったが、いまではスモーク目当てで来店する人もいるほどの人気だ」と驚く。
メニュー開発 飲食店も意欲
市内では新たな豚レバーメニューの開発も進む。ハンバーグとケーキの専門店「キッチンツナグ」は、ハンバーガーに豚レバースモークを加えるなどメニュー開発に余念がない。2月からメニューで目立つように「旭市豚さんのレバーパテ」「スモークレバー」と記載したところ、店内や持ち帰りで注文する客が増えたという。豊田維代表は「コロナ禍で来店客は減っているが、豚レバーのメニューは反応が良い。今後も新たなメニューを出して千葉から豚レバーを広めたい」と意気込む。
同公社では学校給食への提供を目指し、ソーセージなども開発中だ。
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2021年02月27日

[震災10年 復興の先へ] 風化させぬ 農家ら「語り部」 コロナ禍、交流に壁 今は辛抱…ネット活用模索
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、農業体験をしながら東日本大震災の教訓を伝えようとする農家や地域住民の「語り部」の活動が苦境に立たされている。観光や交流を自粛する動きが広がり、体験を話す機会が減少した。一方で被災の記憶を風化させないよう、活動を継続する意志は固い。インターネットを活用したツアーを検討するなど模索が続く。(丸草慶人)
福島県相馬市の沿岸部に建つ和田観光苺組合のハウスは年明け以降、数人の個人客しかいない日が続く。いつもは旬のイチゴを求める団体客でにぎわうが、新型コロナ禍で激減。1、2月は例年の3分の1にとどまる。
組合は一部の団体客向けにイチゴ狩りと合わせて、震災の経験を伝える語り部の活動をしてきたが、その機会もほとんどなくなった。
震災が発生した2011年の11月から、市観光協会が企画する復興視察研修を受け入れ、語り部を務めてきた組合長の齋川一朗さん(72)は「観光農園の収入だけでなく、震災を語る場が失われていることが残念でならない」と話す。
震災当日、津波が来るため一度逃げたが、家が気になり戻ってしまい、亡くなった人もいた。そうした実態を知る齋川さんは、イチゴ狩りに来た人に「何かあったら、とにかく逃げて」と言い続けてきた。
組合はハウス2・2ヘクタールで栽培。観光客の収入が大きく減る中、直売所での販売が主な収入源だ。「今は辛抱の時。イチゴの生産をしっかり続け、コロナが収束したら語り部を再開したい」と、齋川さんは決意する。
ツアー縮小
宮城県岩沼市。岩沼みんなのアグリツーリズム&イノベーションは、震災の教訓を伝えながら農業を体験してもらうツアーを運営する。年6回程のイベントを企画してきたが、今年は人を集めるのは避けるべきだと判断。1回にとどめた。
ツアーは13年度に始めた。津波で友人を失った経験を持つ代表の谷地沼富勝さん(45)が「被災の記憶を風化させたくない」と企画。東京都内のIT企業と連携し、首都圏からも参加するイベントとして動きだした。
地域に訪れてもらうことを重視し、定期的に農業を組み込んだ。サツマイモの植え付けから収穫までを体験してもらい、その都度、現場に来てもらう。作業の合間に、写真などを使って「災害は一瞬で命を奪う。日頃の備えや防災訓練は本当に大事」と訴えてきた。
訪れる人も多く、19年度は延べ200人が参加した。20年度は参加者を県内にとどめ、収穫作業に限定。延べ40人にとどまるも、谷地沼さんは「コロナ禍でもできることを続けたい」と前を向く。2月下旬にはIT企業の協力を得て、毎年の恒例行事だった餅つきをオンラインで配信した。
観光客激減
コロナ禍によって全国規模で観光客数が減る中、岩手、宮城、福島の被災3県にも大きな影響が出ている。観光庁によると、20年1~11月の3県の宿泊者数は1836万人。前年同期比で33%減った。減少が最も大きいのは宮城県で、同43%減の571万人。次いで岩手が35%減の375万人、福島が24%減の889万人だった。
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2021年02月26日