「口の狭い瓶に手を突っ込んで、たくさんのお菓子をつかんだまま手が抜けなくて、困っている子どものようだ」

 「口の狭い瓶に手を突っ込んで、たくさんのお菓子をつかんだまま手が抜けなくて、困っている子どものようだ」▼かつてウルグアイラウンドで交渉の最前線にいた元農林水産審議官で、昨年亡くなった塩飽二郎さんが語っていた。当時、農水省は食料安全保障の観点に立って、米などの基礎的食料の関税化回避に孤軍奮闘していた。どうにか米はしのいだが、その代償も大きかった。義務輸入の受け入れである▼程なく日本政府は、輸入量を抑制するため、自ら関税化に踏み出した。それでも義務量は年76・7万トンに及ぶ。そして、今、生産調整に苦しむ。中国と米国の貿易紛争が激化し、世界は新たな貿易秩序を模索しなければならない。難しい局面での事務方トップに、女性の登壇である▼世界貿易機関(WTO)の新事務局長に、ナイジェリアのオコンジョイウェアラ元財務相が決まった。世界銀行での長い経験と財務相としての実績がある。バイデン政権に代わった米国からも支持を得た。つらい貧困を知るアフリカ出身者の出番は、地球温暖化や貧困問題の解決を目指すSDGs時代の要請でもあろう▼機能不全に陥るWTOは、いくつもの難問を抱える。欲張って手を突っ込めば抜け出せなくなる事態も。経験豊富な手腕に期待したい。
 

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