群馬県警 果実窃盗団を逮捕 ベトナム国籍6人「母国に仕送り」

 全国各地で農産物盗難が相次いでいる問題で、群馬県警は17日、同県高崎市の果物農園から梨を盗んだり販売したりしたなどとして、同県などに住む20~38歳のベトナム国籍男女6人を窃盗や盗品の処分あっせんなどの容疑で逮捕したと発表した。6人のうちインターネット交流サイト(SNS)を通じ梨を売っていた派遣社員の女(29)は動機について「母国にいる病気の母親に仕送りするお金が欲しかった」と供述している。

 逮捕されたのは①窃盗容疑の20~31歳の男3人=前橋地検が起訴済み②この3人が盗んだとされる梨約90個(約3万5000円相当)を販売目的で譲り受けた盗品等有償譲り受け容疑の派遣社員夫妻③窃盗容疑の3人と夫妻を仲介した盗品等処分あっせん容疑の派遣会社員の38歳男。

 県警高崎署員が昨年10月下旬、果実の盗難被害が相次いでいた高崎市内を警戒中、不審車を発見。近くの農園で梨197個がもぎ取られていたことが分かり、男3人を窃盗容疑で逮捕した。県警は被害品を密売するグループが他にいるとみて捜査。他3人を突き止め、17日朝、同市内などの自宅にいるところを逮捕した。同日逮捕した3人のうち男2人は容疑を否認、女1人(夫妻のうち妻)は認めている。

 6人のうち仲介役の男は永住権を取得しており、県警は事件の中心的な役割を果たした可能性があるとみて、余罪がないか慎重に調べている。昨年1年間に群馬県内で梨の盗難被害届があったのは約5600個分(113万円相当)だった。
 

実行と密売 役割分担 仲介役の男 面識ない5人つなぐ


 梨窃盗事件で群馬県警捜査3課が逮捕したベトナム国籍の男女6人のうち、窃盗の実行グループとされる男3人と、SNSなどを通じて販売していたという夫妻とは面識がなかった。両者をつないだのが仲介役の派遣会社員、グエン・トゥワン・アイン容疑者(38)とされ、どちらか一方の逮捕だけでは窃盗・密売グループの全体像にたどりつけない構図だった。

 昨年から北関東で相次いだ豚の盗難事件に関連し、豚の解体や豚肉の販売などをしたベトナム国籍の男女約20人が相次いで逮捕された。しかし容疑者らは豚の入手先について「頼まれただけ」などと供述。盗まれた840頭の行方は分かっていない。

 梨窃盗事件について県警は、窃盗容疑で逮捕した3人の他、販売や両者を仲介した別のグループがいるとみて3人の逮捕事実を公表しないまま捜査を続けていた。

 一方、事件の中心的な役割を果たしたとみられているグエン容疑者は「私に関係のある話ではない」と容疑を否認している。
 

高級品が標的に


 果実や野菜が盗まれる事件は2020年、全国各地で相次いだ。日本農業新聞のまとめでは、最大の標的となったのは高級果実のブドウ「シャインマスカット」や梨で、出荷時期の8、9月にかけて山梨や長野、群馬などの主要な産地で起きていた。警察に届け出のあった被害の総額は数千万円に上るとみられる。

 北関東を中心に約1000頭が盗まれた豚や牛などの家畜盗難と異なり、農産物窃盗は犯人や犯行グループが各地に点在しているとみられ、被害届を受けた県警などがそれぞれ捜査している。

 事件の背景として、新型コロナウイルス禍に伴う不況との関連が指摘されているが、収穫を前にした農産物の被害は毎年各地で確認されている。ただ、被害に気づかない場合や、警察に届けないケースも多く、被害の全体像は不明だ。

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