日経平均株価がバブル期以来の3万円台に乗った

 日経平均株価がバブル期以来の3万円台に乗った。コロナ禍にあえぐ実体経済を尻目に兜町が沸く▼この町名の由来になった兜岩のそばに東京証券取引所がある。その前身をつくったのが渋沢栄一で、大河ドラマ「青天を衝(つ)け」の主人公だ。ネットで見る渋沢の老け顔とイケメン・吉沢亮さんがどうにもつながらない。「なつぞら」の早世画家・天陽君の残像もまだ引きずる▼渋沢の実家は今の埼玉県深谷市で、米、養蚕、藍玉の製造・販売を営んでいた。ペリー来航から始まる〈大転換〉の風を全身で受け、生死紙一重の幕末を生き残った。運の良さだけでなく、農工商で育んだ精神のたおやかさがあったのだろう。終生のライバル・三菱の岩崎弥太郎は50歳でこの世を去り、渋沢は91歳の天寿を全うした。1万円札の肖像にどちらがなるかを分けた境目だろう▼〈論語とそろばん〉の影響で聖人君子のイメージが強いが、花柳界に名をはせ、賭け事も強かった。射幸心をあおると反対論が根強い商品先物取引を政府に公認させたのも渋沢である。数々の名言がある。株価好調の折、押さえておきたいのはこれ。〈名を成すは毎(つね)に窮苦の日に在り、事の敗るは多く得意の時〉▼福は禍の伏す所ともいう。ドラマが終わる時、株価はどうなっているやら。
 

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