金印「漢委奴国王」の実物を福岡市博物館で見た

 金印「漢委奴国王」の実物を福岡市博物館で見た。1辺2センチほどの最も小さな国宝である▼江戸中期、志賀島の農民が田んぼの溝の大きな石を持ち上げたら出てきたという。サイズを知って、発見こそ奇跡だったと実感する。後漢の光武帝が紀元57年に下賜した金印とされ、現存するはんこで国内最古になる▼欧州や中国で衰退したのに、極東の島国ではんこ文化が花開いたのも奇跡かもしれない。日本国憲法の原本には昭和天皇のご署名と御璽の押印がある。厳かさを感じさせる。組織では位が上がるほど押す機会が増え、そこに存在感を覚えるご仁もいる。リタイアすれば宅配便の受け取りぐらいしか使わない▼身近な存在ながら知らないことが多い。正しい名称は印章であり、印鑑とは押印してできる印影のこと。役所に印鑑登録したものが実印、それ以外を認め印という。安い三文判で通帳を作ると、どのはんこか分からなくなることがままある。はんこは新型コロナウイルスの犠牲者である。テレワークを邪魔する無駄の代表に扱われ、押印廃止のパフォーマンスをした河野規制改革相は業界からの猛抗議を受けた▼実印には立ち止まらせる力が宿る。契約を寸前でやめた経験をお持ちの人は少なくあるまい。無形文化遺産に申請してはどうか。
 

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