[未来人材] 39歳。元地域おこし協力隊員 アスパラガスで新規就農 早く自立し恩返しを 北海道厚沢部町 山本和範さん

アスパラガス栽培に必要なかん水チューブを設置する山本さん(北海道厚沢部町で)

 北海道厚沢部町の山本和範さん(39)は、地域おこし協力隊員の任期を昨年12月で終え、立茎アスパラガスを柱とした新規就農の道へ踏み出した。就農実現には、農村ならではの人との密接なつながりが力になった。立茎栽培が盛んな同町で、既存の農家や新規就農者の仲間と共に産地の飛躍を目指す。

 山本さんは釧路市出身。釧路湖陵高校から弘前大学に進み、農学系の博士号を取得。米国の大学で2年間研究職に就くなどの経歴を持つ。2018年、学生の頃から憧れていた農業の道を目指そうと決意。資金面などから、比較的取り組みやすい施設野菜を念頭に、道内で就農の候補地を探した。

 リサーチを進める中、厚沢部町がアスパラガスの立茎栽培が盛んで、就農を前提にした地域おこし協力隊員を募集中であることを知り応募。18年12月に着任した。

 翌年から1年間、同町の農家2戸の元に通い、アスパラガス栽培の他、農業のイロハを学んだ。周囲の農家も山本さんの熱意を受け止め、「本当によくしてもらった」と山本さんは振り返る。

 20年の春、地域の理解を得て、90アールの農地を使わせてもらえることになり、新設・修繕合わせて5棟のハウスを確保。アスパラガス栽培への第一歩を踏み出した。

 5月の苗の定植やハウスのビニール掛けなどの作業時には、これまで世話になった地域の農家らが駆け付け、手伝ってくれた。農作業の応援にとどまらず、1人暮らしの山本さんを見かねて、日常的に米や野菜などを差し入れてくれるという。「縁もゆかりもない自分を親身になって支えてくれる地域の人の厚意が、本当にありがたい」と山本さん。周囲の人との絆を出発点に、地域の人間関係も広がっている。

 協力隊の任期を終えた今年はいよいよ一人立ち。3月下旬から始まる念願の初収穫を控え、覚悟は決まっている。周囲の農家がさまざまな面で支えてくれたことに「恩返し」していくことが今後の目標だ。

 「やるべきことはやった。経営を早く軌道に乗せ、自立した姿を見せることで地域に報いたい」と決意を語る。
 

農のひととき


 地域で鹿などの食害が大きいことを知り、2年前にわな猟の狩猟免許を取得。昨年秋に、仕掛けたわなで初めて鹿1頭を捕獲した。自らさばいた肉をシチューやジャーキーに加工して食べ、うまさに驚いたという。ジャーキーは知人の子どもたちにも好評で「自衛手段以外に、ジビエとしての価値を知った」。今後も余暇のわな猟で、駆除と食肉利用の一石二鳥を狙うつもりだ。

おすすめ記事

若者力の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは