人工林の利用期突入、製材の進化 農村に追い風 木造建築ぞくぞく

純木造ビルの外観(仙台市で)

 木材を柱や梁(はり)などの主要部分に用いた木造ビルの建設や計画が各地で相次いでいる。3月上旬に純木造としては日本最高層となる7階建てビルがJR仙台駅前に完成した。技術開発が進んだことで、木造でも大規模建築が可能となった。多くの山林が利用期を迎える中、農山村の森林資源を生かすことで地方活性化の起爆剤となるか注目を集めている。(音道洋範)
 

耐火性確保高層可能に


 日本初となる純木造7階建てのビルを建設したのは、木造建築を主に行うシェルター(山形市)。製材を複数組み合わせ、石こうボードで燃えにくい層を作ることで、耐火性能を確保する技術を独自に開発し、1~3階は2時間、4~7階は1時間の耐火性能を確保した。

 建設には、適正に管理された森林由来の製品であることを証明するSGEC・PEFC認証制度を得た岩手、宮城、福島3県の木材を主に使った。

 一般的な製材所で加工できる製材を使っているのも特徴。加工できる製材所が限られる直交集成板(CLT)ではないため、各地の製材所から容易に木材を調達でき「運搬費の低減へもつながる」と同社はアピールする。

 同社の木村一義会長は「都市部で木造ビルを造ることを通じ、都市の利益を地方に還元するとともに、森の循環と地方創生につなげていきたい」と期待する。
 

地場産使い行政施設も

 

木造ビルの内部。木の温もりが感じられる内装が特徴だ(仙台市で)
 農山村でも大型の施設で活用が進む。山形県白鷹町は町庁舎と図書館、中央公民館が一体となった2階建ての複合施設を、耐雪性能を確保した上で木造で建築。木材利用量の75%に同町産の杉材を活用したことなどが評価され、2020年度の木材利用優良施設コンクール(木材利用推進中央協議会)で内閣総理大臣賞に選ばれた。

 19年度の同コンクールで林野庁長官賞に選ばれた秋田県能代市の「道の駅ふたつい」も、秋田杉など地元木材を用いて建設。敷地内には農産物直売所があり、館内はゆとりあるスペースを確保したバリアフリーで、「木のまち」「環境のまち」をアピールしようと伝統工法で建築している。施設内の給湯には間伐材を燃料にしたボイラーを使っている。
 

利用拡大に期待


 首都圏でも大規模木造建築の動きは相次いでおり、三井不動産と竹中工務店は昨年、東京都内に17階建ての木造ビルの建設計画を公表した。野村不動産は主要部材の一部に木材を使った賃貸ビルを来年にも竣工(しゅんこう)予定だ。

 林野庁によると、人工林の半数は50年生を超え、本格的な利用期を迎えている。森林蓄積量も右肩上がりで増加しており、木材利用の拡大が課題となっている。同庁の担当者は「国産木材の利用が増えれば、森林資源を有する農山漁村の活性化にもつながるのではないか」と期待する。

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