高温の泡で雑草を枯死 小泉製麻が新型機
2021年03月18日

高温の泡を吹き付けて雑草を枯死させる新型除草機(17日、神戸市で)
繊維資材メーカーの小泉製麻は、高温の泡を吹き付けて雑草を枯死させる新型除草機を2022年にも扱い始める。でんぷんや菜種油など植物由来の専用液を溶かした水を加熱し、泡状にして出す仕組み。農薬を含まず、泡は20~30分で消える。環境への負荷を抑えた雑草管理ができる。
商品名は「Foamstream(フォームストリーム)」。タンクの水を本体で専用液と混ぜて加熱し、泡をノズルから出す。泡は熱湯や蒸気に比べて高温が維持され、効率的に雑草にダメージを与える。熱は根にも伝わり、雑草は一定期間生えにくくなるという。
17日、神戸市の西神中央公園で実演した。同社は「有機栽培の農地や観光農園など、除草剤を使いにくい現場を中心に売り込みたい」と話す。
作業効率は1時間で約4アールで、720リットルの水が必要となる。 専用液は別売りを検討中で、0・3%に希釈して使う。
本体の高さは107センチ、幅104センチ、奥行き98センチで、重さ280キロ。本体とノズル間には20メートルのホースがある。
商品名は「Foamstream(フォームストリーム)」。タンクの水を本体で専用液と混ぜて加熱し、泡をノズルから出す。泡は熱湯や蒸気に比べて高温が維持され、効率的に雑草にダメージを与える。熱は根にも伝わり、雑草は一定期間生えにくくなるという。
17日、神戸市の西神中央公園で実演した。同社は「有機栽培の農地や観光農園など、除草剤を使いにくい現場を中心に売り込みたい」と話す。
作業効率は1時間で約4アールで、720リットルの水が必要となる。 専用液は別売りを検討中で、0・3%に希釈して使う。
本体の高さは107センチ、幅104センチ、奥行き98センチで、重さ280キロ。本体とノズル間には20メートルのホースがある。
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ユダヤ難民にビザを発給して6000人の命を救った杉原千畝。その生涯を一人芝居で伝え続ける俳優の水澤心吾さんが、新作「賀川豊彦物語」を完成させた▼東京・新宿の淀橋教会で初披露の舞台を見た。新型コロナウイルス対策で限られた人だけの催しだったが、賀川の魂が乗り移ったかのような熱演に引き込まれた。この協同組合運動の巨人の根っこにはキリスト教の信仰があると改めて実感させられた▼水澤さんは2007年の初演以来、「決断・命のビザ~SEMPO杉原千畝物語」の公演を続けてきた。国家の命にそむいても、目の前で救いの手を伸ばす人々の命を優先した杉原は、日本よりも海外の方が「東洋のシンドラー」として知られる。米国や勤務したリトアニアなどで公演し深い感動を与えた▼賀川の存在を意識したのは3年ほど前という。「個の力ではなく、協同組合で理想社会を追求した。実践力がすごい。若い世代に知ってほしい」。賀川は「愛は私の一切である」との言葉を残している。朗読劇を見終わって、助け合いは〈助け愛〉と確信した▼協同組合に新人が仲間入り。百の座学より先達(せんだつ)の息吹に触れるのが響こう。コロナ禍が落ち着いたら、朗読劇を体感してはどうか。
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2021年04月11日
消石灰のコンクリ散布 効果発揮には「水まき」必須 室蘭工業大
室蘭工業大学は、家畜疾病の原因となる細菌やウイルス対策に使う消石灰について、消毒効果を得るには水分が15~20%程度必要だと突き止めた。土に散布する場合は直接散布で使えるが、乾燥したコンクリートには消石灰20キロ当たり3~4リットルの水を散布すべきだとした。消毒効果の持続期間は屋外で2週間から1カ月で失われることも確かめた。
研究は口蹄疫(こうていえき)や豚熱、鳥インフルエンザの対策として……
2021年04月13日
法人議決権緩和 規制改革WG内でも異論 優良農地支配を懸念
政府の規制改革推進会議農林水産ワーキンググループ(WG)が関心を示す農地所有適格法人の議決権要件緩和を巡り、同WG委員の農業経営者から否定的な意見が相次いでいたことが議事録から分かった。要件を緩めた場合、農業関係者以外の資金力がある出資者に農地を支配されかねないなどの指摘が出た。身内からも異論が噴出したが、同会議は要件緩和を迫る姿勢を崩していない。
資金調達円滑に→経営権脅かす
こうした指摘が出ていたのは3月5日のWG会合。……
2021年04月11日
3都府県「まん延防止」 コロナ禍出口どこに
政府は9日、新型コロナウイルス対策として緊急事態宣言に準じた対応が可能となる「まん延防止等重点措置」を東京、京都、沖縄の3都府県に適用することを決めた。対象区域の飲食店は、営業時間の午後8時までの短縮を求められる。影響を受ける外食産業や農家などの関係者からは、コロナの終息に向けた出口が全く見えない状況に「かなり厳しい」「これ以上は限界」といった声が相次いだ。
また時短、限界 消費しぼむ
外食
外食業界団体の日本フードサービス協会は「飲食店は『時短営業対応をいつまで繰り返すのか。いい加減にしてほしい』というのが本音だ」と明かす。感染防止対策でできることは既にやってきたが、これ以上は限界と受け止める。
時短の長期化で、銀行が追加融資を渋る事例が増えており、雇用調整助成金が当初予定の4月末で切れてしまえば、「飲食店が生き延びることはできない」と苦境を訴えた。
野菜仲卸
まん延防止等重点措置の東京都適用を受け、野菜の仲卸業者は「特に酒類を提供する飲食店からの注文は落ち込みが大きくなっている」と明かす。緊急事態宣言の解除後、注文は3割増と回復したが、「感染増加に伴い今週は再び落ち込んだ。大型連休の書き入れ時に重なるのは痛い」と漏らす。
卸売業者も「飲食店向けだった野菜が振り向け先に困り、葉物など足が早い商材は取引価格を大きく下げている」と話す。
酒造組合
度重なる飲食店への時短要請で、需要が大きく減る酒の業界は悲鳴を上げる。日本酒造組合中央会は「飲食店や旅行での消費が減り、酒造メーカーの経営はかなり厳しい。その状況が続く」と話す。高級日本酒を販売する東京都内の酒店は「昨年の春ごろは、自宅消費でインターネット販売が盛り上がったが、その勢いも収まった」と課題をみる。自宅向けの消費挽回に期待するものの、苦戦している状況だ。
作付けどうなる 策尽きた
生産者
東京都あきる野市の長屋太幹さん(39)は、約1ヘクタールでケールやリーキ、ビーツなどを生産し、都内のレストランに出荷している。時短営業の影響を受け、飲食店との昨年の取引額は例年の3分の1程度に落ち込んだという。
都がまん延防止等重点措置の対象となることを受けて「春から飲食店が復活することを期待して、頑張って作付けをしたが、なかなか厳しい」と声を落とす。
飲食店
買い物客がまばらな商店街(9日、那覇市で)
沖縄県では、今月1日から独自で飲食店への時短要請を実施している。JAおきなわの直売所で食材を毎日仕入れる糸満市の飲食店「味どころ田舎家」の高田見発店長は「要請が出た時点で店内での飲食自体を控える動きが増え、夜に加えて昼の客足も落ち込んでいる」と窮状を話す。昼は弁当販売に切り替えたが、1日20~30個ほどの売れ行きで、売り上げの減少をカバーできない。「できる限り経費を削減しているが、1年近く同じような状況が続き、もう手の打ちようがない」と語る。
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2021年04月10日

疑似グルーミング装置使用 子牛の体重2割増 農研機構
農研機構は、母牛の毛繕いを再現できる電動回転ブラシ「子牛用疑似グルーミング装置」を使うと、使わなかった子牛に比べて体重の増加率が2割高かったと明らかにした。群飼育移行時の生存率も高かった。同機構は「乳用牛に比べて誕生時の体重が軽い黒毛和種は肺炎や下痢などの影響が大きい」として、肉用牛の繁殖農家でのメリットを説明する。
ナイロン製のブラシは長さが40センチ、直径17センチの円柱状で、牛舎の柱などへ子牛の体高に合わせた位置に取り付ける。牛がブラシに体を押し付けるとスイッチが入ってモーターが毎分30回転し、体を離すと止まる。
農研機構が開発し、2016年から農家での実証を続ける。同機構畜産研究部門の矢用健一主席研究員によると、これまでの実証で黒毛和種の生後3カ月間12頭1群で飼った場合、ブラシを使用した牛は、使用しなかった牛と比べて体重の増加率が23%向上。群飼育移行時にブラシを使わなかった牛は10頭残存したが、ブラシを使うと11頭残った。試験では子牛1頭が1回約1分で、1日20分ほど装置を使っていた。
養牛農家では、母牛の発情を早く促すために生後1週間ほどで子牛を母牛から離して飼育する。子牛は母牛に体を毛繕いしてもらう「グルーミング」を受ける機会が減ると、ストレスになる恐れがあるという。
装置は富士平工業が受注生産し、1台25万円ほどで販売する。矢用主席研究員は、肉用牛の繁殖農家こそ導入メリットがあるとし「和子牛が60万円前後で取引される中、1頭だけでも農家の損害は大きい。機械代は1年で元が取れる」と話す。
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https://www.youtube.com/watch?v=yswKRrjaVxs
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2021年04月14日
動画ニュースの新着記事

疑似グルーミング装置使用 子牛の体重2割増 農研機構
農研機構は、母牛の毛繕いを再現できる電動回転ブラシ「子牛用疑似グルーミング装置」を使うと、使わなかった子牛に比べて体重の増加率が2割高かったと明らかにした。群飼育移行時の生存率も高かった。同機構は「乳用牛に比べて誕生時の体重が軽い黒毛和種は肺炎や下痢などの影響が大きい」として、肉用牛の繁殖農家でのメリットを説明する。
ナイロン製のブラシは長さが40センチ、直径17センチの円柱状で、牛舎の柱などへ子牛の体高に合わせた位置に取り付ける。牛がブラシに体を押し付けるとスイッチが入ってモーターが毎分30回転し、体を離すと止まる。
農研機構が開発し、2016年から農家での実証を続ける。同機構畜産研究部門の矢用健一主席研究員によると、これまでの実証で黒毛和種の生後3カ月間12頭1群で飼った場合、ブラシを使用した牛は、使用しなかった牛と比べて体重の増加率が23%向上。群飼育移行時にブラシを使わなかった牛は10頭残存したが、ブラシを使うと11頭残った。試験では子牛1頭が1回約1分で、1日20分ほど装置を使っていた。
養牛農家では、母牛の発情を早く促すために生後1週間ほどで子牛を母牛から離して飼育する。子牛は母牛に体を毛繕いしてもらう「グルーミング」を受ける機会が減ると、ストレスになる恐れがあるという。
装置は富士平工業が受注生産し、1台25万円ほどで販売する。矢用主席研究員は、肉用牛の繁殖農家こそ導入メリットがあるとし「和子牛が60万円前後で取引される中、1頭だけでも農家の損害は大きい。機械代は1年で元が取れる」と話す。
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2021年04月14日

農家から店舗へ イチゴ積み公道走る ロボ2台リレー自動配送 任せて 茨城県で初実験
新型コロナウイルス下、高齢化が進む農村部での新たな物流技術の開発へ──。農家から集荷した農産物をロボットが公道を走行して店舗まで自動で配送する実証実験が、茨城県筑西市の道の駅「グランテラス筑西」で始まった。自動運転技術と配送ルートを最適化する技術を組み合わせた2台が、公道を利用して作業を行うのは国内初という。担い手不足対策や高齢化などで運転免許を返納しても農産物を出荷でき、コロナ禍での接触感染防止にも期待がかかる。実験は13日まで。(木村泰之)
労力減、感染予防も
実験では、原動機付き自転車の扱いでナンバープレートを付けた公道走行用と、道の駅の敷地内を走るロボットを組み合わせて、農園前から店舗まで届ける。初日、道の駅近くの90アールでイチゴを栽培する石川正吾さん(46)が、公道走行用ロボットにイチゴ約2キロを積み入れた。ロボットは農園前から道の駅へ出発し、無人で走行した。道の駅に着くと、関係者の手で構内用ロボットに積みかえた。安全を確認する随行者と店舗までの合計約200メートルを時速3キロで走った。
石川さんは「直売所には1日7、8キロのイチゴを出荷する。忙しくなると人手もままならない。コロナ禍で人との接触を避けたい農家が、道の駅まで出向かなくても出荷できるようになる」と新たな相棒を歓迎した。
13日までに石川さんの他、片道1キロ圏内の農家から小玉スイカやミニトマトなどを集荷したり、道の駅の商品を近隣の民家に届けたりする。
このロボットは、電動車椅子を改造したものだ。ベンチャー企業のティアフォーなどが開発した。三次元地図を記憶させてセンサーで感知した周りの状況を、人工知能が選んだ最適なルートで重さ10キロまでの荷物を運ぶ。人が遠隔監視をするが、障害物があれば自動で止まる。
実験の事務局を務める東京海上日動営業企画部の松下雄担当課長は「1台で作業を完結できることが目標だ。農家からJAの集荷場など基地までの1、2キロを自動配送ロボットが出荷を担い、免許がなくても農業を続けてもらえる社会にしたい」と力を込めた。
須藤茂市長も「自動配送ロボットは、高齢化など農業を取り巻く課題の解決だけでなく、コロナ禍で求められる非接触物流システムの可能性も検証できる」と期待した。
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2021年04月06日

地上散布ロボット実演会 多用途活用に期待 XAG製で神奈川県
神奈川県農業技術センターは、同県海老名市でXAG社の農業用ロボット「R150」の実演会を開いた。野外での実施は初めて。JA関係者や生産者が参加。農地で液剤に見立てた水を散布し、性能を確かめた。
「R150」はバッテリーで走行する無人車。液剤散布用の100リットルタンクと二つのスプレーシステムを搭載する。噴射は左右に最大290度、上下に同200度まで回転。散布幅は最大12メートルで、散布量は1分当たり最大4・8リットル。ドローン(小型無人飛行機)と異なり、横や上に散布できるため果樹栽培にも活躍するとみる。アタッチメント変更で粒剤散布や草刈り、運搬にも対応できる。
実演会では、水をさまざまな角度で散布した。キャベツの苗に貼り付けた感水試験紙で十分な散布を確認。同センターは「都市近郊はドローンの活用が難しい。ロボットの地上散布に期待する」とした。
リモコン操作と追随モードによる走行も披露した。ルートを設定し、地上に基地局を置けば自動散布ができる。バッテリーは同社のドローンと共有でき、急速充電器を使えば15分でフル充電できる。散布は1・5時間、走行は4時間可能。
4月に200万円台前半での発売を予定。XAG JAPANの住田靖浩社長は「用途に合わせて使え、日本の農業にマッチする」と説明。導入予定という長野県の果樹農家は「授粉作業に活用できそうだ」と期待する。
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2021年03月26日

高温の泡で雑草を枯死 小泉製麻が新型機
繊維資材メーカーの小泉製麻は、高温の泡を吹き付けて雑草を枯死させる新型除草機を2022年にも扱い始める。でんぷんや菜種油など植物由来の専用液を溶かした水を加熱し、泡状にして出す仕組み。農薬を含まず、泡は20~30分で消える。環境への負荷を抑えた雑草管理ができる。
商品名は「Foamstream(フォームストリーム)」。タンクの水を本体で専用液と混ぜて加熱し、泡をノズルから出す。泡は熱湯や蒸気に比べて高温が維持され、効率的に雑草にダメージを与える。熱は根にも伝わり、雑草は一定期間生えにくくなるという。
17日、神戸市の西神中央公園で実演した。同社は「有機栽培の農地や観光農園など、除草剤を使いにくい現場を中心に売り込みたい」と話す。
作業効率は1時間で約4アールで、720リットルの水が必要となる。 専用液は別売りを検討中で、0・3%に希釈して使う。
本体の高さは107センチ、幅104センチ、奥行き98センチで、重さ280キロ。本体とノズル間には20メートルのホースがある。
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2021年03月18日

ニンジン葉切断機開発 1分で最大130本処理 千葉・八街洋らん園
千葉県八街市でニンジンなどを栽培する八街洋らん園は、ニンジンの葉の切断機「CHC─1」を開発した。ベルトコンベヤーにニンジンを載せるだけで自動で葉を切れる装置で、調製作業の省力化を見込む。同社の調べで、人手だけの作業に比べ約6倍速く調製できるという。霜や寒さに当たって葉が枯れたニンジンの調製作業を大幅に省力化できると期待する。
開発した切断機の大きさは、高さ1・1メートル、幅1・3メートル、奥行き60センチ。ベルトコンベヤーで運ばれたニンジンをローラーで押さえて、カッターで切る仕組みだ。
同社によると、1分間に最大130本を処理できるという。100ボルトの電源電圧で稼働する。
地域では、11月~翌年3月の5カ月間でニンジンを出荷する。葉を引っ張って地面から抜く専用のニンジン収穫機を使えば、葉が自動で切り取られるが、1月以降は霜に当たって葉が枯れ、機械が使えない。そのため手作業で枯れた葉を切る必要がある。
2020年に特許を取得した。葉だけでなく、ニンジンの先端から伸びた細い根も切れるよう改良を進める。ニンジン1ヘクタールを栽培する同社の井啓代表は「調製作業は時間がかかり、精神的に負担が大きい。省力化が強く求められている」と指摘する。
価格は38万円(税別)。問い合わせは八街洋らん園、(電)043(445)2214。
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https://www.youtube.com/watch?v=3x6lFYTYPto
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2021年02月23日

生育測定スマホで完結 データ蓄積管理に活用 IT企業アプリ開発
名古屋市のIT企業「ITAGE(アイテージ)」は、トマトやナス、キュウリの茎径や葉幅などの生育データをスマートフォンのカメラで測定するアプリを開発した。データをインターネット上に保存して生育の推移を把握でき、栽培管理などに生かせるとみる。2021年度の実用化を目指す。
開発したアプリ「生育ナビ」は、長さ15センチほどの測定マーカー板を測定する箇所にかざして、スマホで撮影する。定規や筆記具などを持ち歩かずに、省力的に測定と記録、グラフ化ができる。現在は試用版で、評価モニターを募っている。
測定できるのは茎径や葉幅の他、トマトの場合は頂点開花位置、茎伸長、着果数、葉色など。スマホで撮影した画像に画面上で簡単な操作をすれば、長さを測れる。葉数や段数は手入力できる。
測定データはアプリ上で確認できる。前年との比較も可能だ。データは共有でき、生産者部会やグループで使えば、自身と他の農家の生育データを比べられる。施設トマトの栽培試験で活用する愛知県農業総合試験場は「データを基にした普及・営農指導につなげられる可能性がある。収量予測に必要なデータとしても生かせるだろう」とみる。
同社によると、県内だけでなく関東や九州の産地で現在60人ほどが試用し、測定精度や使いやすさの向上を進めている。同社は「生産者同士が生育データの数値を参考にしながら、栽培の改善策などを話し合えるようになる」と見込む。
動画が正しい表示でご覧になれない場合は下記をクリックしてください。
https://www.youtube.com/watch?v=ytsQSjnr0yg
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2021年02月08日

[あんぐる] 今こそ冬の手仕事 豊穣祈る北欧の装飾「ヒンメリ」(山梨県北杜市)
長い冬が続く北欧フィンランドに伝わる、室内で光をめでる麦わらの装飾「ヒンメリ」が、近年日本でも注目を集めている。農閑期にヒンメリ作家として活動する山梨県北杜市の農家、佐藤享子さん(49)は、新型コロナウイルス禍でのおうち時間を楽しめるツールとして魅力を発信している。
ヒンメリという名前は、「天」を意味する単語に由来する。冬に夜が長いフィンランドでは、昔から冬至を「太陽が生まれる日」とし、麦わらでヒンメリを作って冬至から夏まで食卓の上につるして豊穣(ほうじょう)を祈った。
光が当たるとキラキラと反射し、室内に幾何学模様の影を描くヒンメリは、「麦わらのシャンデリア」とも呼ばれる。
12本の麦わらを組み合わせた正八面体が基本の形で、麦わらと糸さえあれば誰でも手軽に作れるのが特徴だ。近年日本でも子どもの知育教材やクリスマスの装飾として人気が高まっている。
ヒンメリ作家として活動する佐藤さん。古民家を改装した自宅のアトリエには、たくさんの作品が飾られている
佐藤さんは2010年に神奈川県から家族で移住し新規就農した。耕作放棄地だった棚田など約70アールを再生し、夏野菜を栽培している。16年に始めた小麦の出来が良く、麦わらを余すところなく使う方法を探し、ヒンメリと出合った。現在は棚田の約1アールで小麦を育て、わらを傷めないよう収穫などは手作業にこだわる。
麦わらは乾燥後に表皮をむき、節ごとにカット。脱色などせず、自然な風合いを生かして制作している。この麦わらの穴に糸を通して結び、立体に仕上げる。
以前は地元のマルシェなどでヒンメリのワークショップを開いていたが、新型コロナの感染拡大で全て中止に。インターネット上に活動の場を移し、動画での制作指導や、必要な材料をそろえた制作キットの販売を通じて魅力を全国に発信している。
佐藤さんは「フィンランドでは長く厳しい冬を楽しく過ごすために作られるヒンメリ。コロナ禍でおうち時間が増えた今こそぴったり」と話している。(釜江紗英)
動画が正しい表示でご覧になれない場合は下記をクリックしてください。
https://www.youtube.com/watch?v=fm3X3Gy242U
「あんぐる」の写真(全4枚)は日本農業新聞の紙面とデータベースでご覧になれます
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2021年02月08日

[活写] “最辛”の熊対策
青森県中泊町で木炭の生産を手掛けるツリーワークは、インド原産の激辛トウガラシ「ブート・ジョロキア」と木酢液を使った熊の忌避剤を開発した。熊の出没が多い2020年は、全国から問い合わせが相次ぎ、受注が前年の10倍に増えたという。
商品名は「熊にげる」。ジョロキアから抽出した辛味成分と木酢液を混ぜた黒い液体だ。臭いが漏れ出るよう上部に穴を開けたペットボトルに入れ、畑の近くにつるして使う。
炭・木酢液を研究する谷田貝光克東京大学名誉教授の助言を受け16年に開発。青森や秋田、長野県などのトウモロコシ畑やリンゴ園で試験し、熊や猿に対する効果を確認した。
ジョロキアの施設栽培にも取り組み、製品のコストダウンに成功した。現在はハウス2棟で、製品2トン分の原料を収穫する。価格は1リットル入りで1万円。1ヘクタールの畑で約1年間使える量という。
同社代表の佐々木嘉幸さん(82)は「注文が増えている。原料が足りないので、栽培に協力してくれるよう農家に呼び掛けたい」と話す。
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https://www.youtube.com/watch?v=1MJ-IJGQgDc
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2021年01月17日

原動機1台で内張り2層を同時展張 茨城・施設ピーマン栽培の須之内さん
茨城県神栖市でピーマンを施設栽培する須之内康至さん(66)は、内張りカーテン2枚をビニール巻き取り用の原動機1台で張る方法を取り入れ、省力化につなげている。2枚のカーテンの端を固定し、同時に展張する仕組みだ。
カーテンの端固定
須之内さんは、栽培面積95アールのうち、促成作型の30アールで10年ほど前から取り入れている。カーテンを展張する仕組みは、親戚に改良してもらったものだ。
ワイヤ巻き上げ式の内張りカーテンを、3重に被覆する。屋根側の2層のビニールの端を、直径約1センチの鉄パイプにパッカーで固定。下層のビニールは、たるむほどの余裕をもたせてある。
張ったカーテンを確実にしまうために、ビニールを固定した鉄パイプと、下層のビニールを支えるワイヤをひもでつないだ。
カーテンの操作は手で電動スイッチを押すタイプ。午前8、9時に下層のカーテンから開け、午後4時ごろにカーテンを閉める。
「カーテンの開閉は毎日の作業。電動だが操作が一つ減るだけでも、省力的に感じる」と須之内さんは実感する。
ビニールを巻き上げるワイヤが伸びて長くなり、巻き上げが不十分になることがあるため注意が必要という。
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https://www.youtube.com/watch?v=R_dqGEomQ4w
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2021年01月12日

リンゴ、梨収穫はロボにお任せ 速度は人と同等で適期も見極め 農研機構など開発
農研機構と立命館大学、デンソーは23日、リンゴや梨を自動で収穫するロボットを開発したと発表した。果実の認識、収穫、コンテナへの収納が自動でできる。収穫速度は人とほぼ同じ、果実1個当たり11秒。今後2年かけて実証試験を続け、実用化を目指す。
はさみを使わずに収穫できるリンゴ、梨、西洋梨が対象。樹形は着果面が平面になるV字樹形に対応する。
収穫ロボットは、自動走行車両がけん引する。人工知能を活用。アームの土台にある2個の高性能なカメラによって果実を認識し、着果位置を把握する。3本爪のハンドが果実をつかみ、回転させて収穫する。
リンゴと西洋梨は、カメラで認識した全ての果実を収穫する。高さ80~200センチに着果した果実に対応。梨は果頂部の色を認識し、収穫適期の果実だけを選んで取る。試験では夜間でも精度90%で熟度を判定できた。収穫する果実がなくなれば走行車両を動かし、自動で次の果実に移動する。
収穫後の果実は、走行車両の荷台にある、収納システムのベルトコンベヤーに優しく落とす。2本爪のハンドが運ばれた果実をつかみ、コンテナに置く。満杯になったら自動で荷台に移動。荷台には5段重ねのコンテナが4山置ける。
収穫スピードの1個当たり11秒は、1時間で300個を収穫できる速さだ。自動走行車両を使った薬剤散布や除草も含め年間の作業時間を50%削減できるという。
農研機構果樹茶業研究部門は「海外の吸引型の収穫機と異なり、果実に傷が付きにくく、収穫適期が見極められるのが特徴」と説明する。他の果樹への応用も検討する。
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https://www.youtube.com/watch?v=z9pVKn_F7SQ
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2020年12月24日