“宇宙の目”活用身近に 衛星打ち上げへ 画像から生育把握 福井県

NDVIを表示した衛星画像と、2分の1スケールの「すいせん」(福井市で)

 国内の自治体や企業が人工衛星を打ち上げ、衛星画像を農業に活用する取り組みが動きだす。福井県は21日、自治体主導で初となる超小型衛星を、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げる。和歌山県でも来年度中に打ち上げる計画が進む。衛星画像で作付けや生育の状況などが分かるようになり、衛星画像を自前で調達できるため、大幅なコスト削減につながる。(本田恵梨)

 福井県が打ち上げた超小型衛星「すいせん」は、東京都の宇宙ベンチャーがロシアのソユーズロケットで打ち上げる超小型衛星と共同で運用する。20日に打ち上げ予定だったが、21日に延期となった。将来的には合計10基の超小型衛星で、ほぼ1日に1回、世界中を撮影した画像が手に入る体制を組む。自動で撮影できるため、ドローン(小型無人飛行機)での空撮のような手間もかからない。

 農業では、植物が反射する特定の波長を捉えることで、品目や生育状況が分かる植生指数(NDVI)の把握などに活用する予定。今後NDVIの研究をさらに進めて、品種ごとに施肥や収穫時期を見極め、収量や品質の向上などにもつなげていく計画だ。

 災害時に近寄れない場所も安全に確認できる利点がある。県は「現地を回らなくてもデータを見ながら情報共有できるメリットは大きい。衛星データを日常的に活用できるよう実用化を急ぎたい」と意気込む。

 衛星画像は海外などから買う方法もあるが、大型衛星による画像は1枚数百万円かかるなど「採算が取れる額ではなかった」(福井県産業技術課)。画像の更新も1カ月から数年かかる課題もあった。小型衛星は従来主流だった大型衛星の100分の1ほどに当たる数億円で製造でき、自前の打ち上げにより低コストで画像を得られる。
 

和歌山も今夏


 和歌山県では今夏、国内初の民間ロケット発射場「スペースポート紀伊」が串本町に完成する。2021年度中には東京の宇宙ベンチャーが打ち上げる予定だ。県は無利子の融資などで支援。農作物の収穫時期の見極めをはじめ、農林水産業の活性化などに向けた画像活用を期待する。

 民間の小型衛星は、国などの大型衛星が打ち上がる機会を待って相乗りするケースが多く、世界では順番待ちが出るほどだという。県産業技術政策課は「衛星でできることがどんどん増える中で、地域の産業振興につなげたい」と期待する。
 

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