ジビエ 使い道広がる

フォレマが販売するペット用ジビエ商品。塊肉や骨、皮など多様な品をそろえる(広島県安芸太田町で)

 農作物の鳥獣害対策としても期待がかかるジビエ(野生鳥獣の肉)の利用が、豚熱対策による流通自粛などで伸び悩んでいる。新型コロナウイルス禍で外食産業も厳しい状況が続く中、新たな販売形態や食用以外の利用で消費を広げる動きが出てきた。(小林千哲、鈴木薫子)
 

ペットフード 定額制 手軽に 国産、無添加で安心 広島の企業


 ペットフード向けジビエ販売を手掛ける広島県安芸太田町のフォレマは、サブスクリプション(定額課金)型の定期宅配で安定販売を実現した。国産で抗生物質や添加物を使わない安全・安心な点が受け入れられ、犬や猫の健康を意識する600人超の利用者を獲得。電子商取引(EC)サイトでの販売も始め、少量で気軽な購入を促し、利用拡大を目指す。

 「ペットさん定期便」は4種類あり、一番人気は超小型~小型犬向けスモール便(1キロ)で、1カ月3490円(税・送料別)。肉は、鹿やイノシシのウデ、カタなどの切り落としを中心に1パック 100グラムで冷凍配送する。

 中・大型犬向けは量が増え、骨や内臓肉などもセットだ。肉を調理して与える人が多いという。

 同社は、2018年4月にジビエ流通業界で先駆けて定期便を始めた。「アレルギーなどペットの健康を意識したり、市販の商品に飽きて何を与えたらいいか悩んだりする飼い主から需要が高い」と小泉靖宜CEOは指摘する。

 ジビエは全国30カ所の処理施設から同社指定の規格で仕入れる。利用量は増え、年間14トンほどを扱う。19年12月に同町の廃小学校を利用して物流拠点を整備。従業員・パート合わせて5、6人で箱詰めや発送を手掛ける。

 一層の利用拡大に向けて20年7月、ECサイトでペット用肉や骨、加工品の販売を始めた。定期便より購入のハードルが低いため1カ月に150人が利用し、リピーターも多い。

 同社はジビエ摂取による犬の腸内細菌や健康への働きを調べており、今後は機能性を販売に生かす考えだ。

 農水省によると、19年度のジビエ利用量は前年度比6%増の2008トン。7割を占める食肉利用は、豚熱の感染確認地域でのイノシシの流通自粛などで販売が伸び悩んだ。一方、ペットフード利用は同37%増の513トンと好調だった。
 

地域おこしの逸品 資金募りPRさらに 学生NGO

 

鹿の骨や肉を使った「タバラーメン」(東京都江東区で)
 ジビエの活用で持続可能な自然環境や地域の実現を目指す、大学生が設立した非政府組織(NGO)「けものみち」が、山梨県丹波山村でジビエの加工・販売をするアットホームサポーターズと協力して、地域振興に取り組む。第1弾として、鹿の肉や骨を使ったラーメンをPR。クラウドファンディング(CF)も活用して新たな丹波山村の名産品として発信する。

 「けものみち」は、東京農工大学4年生の赤石旺之さん(22)が鳥獣被害などを学ぶサークルで活動する中、「人生を通して環境保全や地域活動に携わりたい」と考え、昨年8月に設立した。ジビエの魅力を都市部などでPRし、人や資金を地方に呼び込むことが目的だ。

 今回はサークル活動でつながりがあった同社の保坂幸徳さん(44)から提案を受け、これまで廃棄していた鹿の骨の有効利用などを目指した同社の「タバラーメン」のPRを引き受けた。

 タバラーメンは、鹿の骨を6時間煮込んだスープに、鹿肉のチャーシューやそぼろを加えた。鹿肉は低温調理をすることで軟らかく仕上げた。開発を担当した地域おこし協力隊の坂本裕子さん(44)は「一杯でいろいろな鹿を味わってもらえる。鹿が食材として優れていることを知ってほしい」と話す。

 「けものみち」は普及に向けて、4月26日までCFサイト「READYFOR」で投資を募っている。集めた資金でキッチンカーを買い、同社が都市部のイベントなどでもタバラーメンを振る舞えるようにする。赤石さんは「自分たちのような若い世代が発信することで、社会からの注目も集まる。今回の活動をきっかけに、今後もお世話になった丹波山と関わり続けていきたい」と話す。

 CF達成に向けて、27日には東京都内で試食会を開いた。4月10日にも都内で開く。

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