シートベルト着用 安全フレームと一緒に

 乗用型トラクターで、シートベルトを締めずに公道を走っている農家が見受けられる。シートベルトをせずに事故に遭うと、死亡率が極めて高くなるのは乗用車と同じだ。命を守るために、公道を走る際は安全フレームを立てた上で、シートベルトの着用を徹底してほしい。

 道路運送車両法では「専ら乗用の用に供する自動車」「貨物の運送の用に供する自動車」では、シートベルトを備えるよう義務付けている。農業用トラクターは乗用専用でも貨物運送用でもないので、義務の対象外だ。

 しかし義務ではないからといって、シートベルトをしなくても安全は確保されるというわけではない。

 農水省は、農耕車でのシートベルト着用の有無と死傷の状況を分析。2015~19年の746件の事故のうちシートベルト着用は93件で12・5%、非着用は604件で8割を超えた。不明が49件だった。非着用が圧倒的に多いことに驚くが、シートベルトを着用していた場合の死亡率は3・2%だったのに対し、非着用では24・5%に上った。

 農耕車はスピードが遅いため、シートベルトを締めていなくても大丈夫と思われがちだが、転落・転倒することで体が投げ出されて死傷することが多いとみられる。

 同省によると、農耕車の転落・転倒での死亡事故は19年が89件。このうち乗用型トラクターによる事故が57件だった。同じ年にフォークリフトの転落・転倒による死亡事故は11件、建設機械は9件だったことを考えると、かなり頻発していることになる。

 農耕車の転落・転倒による事故が多いため警察庁は、安全キャブ・フレームの装備と併せ「車体から投げ出されないよう、シートベルトを着用する必要がある」と呼び掛けている。

 最近の機種では、農業用トラクターでもシートベルトが装備されているが、古い機種はそうではなかった。それを長年使っている農家もいる。同省や農業団体などが現在展開している春の農作業安全運動では、シートベルトとヘルメットの着用徹底を、運動方針に掲げている。シートベルトが装備されていない場合は、追加装備や買い替えを働き掛けることも盛り込んだ。

 シートベルトは必ず締めてもらいたいが、前提条件がある。安全フレームを立てることだ。温室内や果樹園での作業などで安全フレームを倒して使い、そのままにしている農家が見受けられる。シートベルトを着用していて、安全フレームを立てずに転倒すると、運転者は下敷きになる。警察庁が指摘しているように、命を守るためには、安全フレームとシートベルトの両方が欠かせない。

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