熊本県ブランド和牛「くまもとあか牛」 子牛価格 前年3割高 赤身人気追い風も 頭数減少で不足感

 熊本県のブランド和牛「くまもとあか牛」のもと牛となる褐毛和種の子牛価格が高騰している。直近3月の取引価格は前年比3割高の1頭約77万円と、高値が続く黒毛和種とほぼ同水準だ。健康志向や赤身人気で需要が高まり、子牛に不足感が出ている。「販売はまだ伸ばす余地がある」(食肉卸)との声もあり、増頭に向けた対応が求められている。(斯波希)

 和牛の一種の褐毛和種は、国内で2万3300頭(2020年2月現在)が飼養され、その7割を熊本県が占める。特に「くまもとあか牛」は、赤身と適度なさしが特徴。消費者の健康志向の高まりとともに人気を伸ばし「新規の問い合わせも多く、需要期には数が足りない状況」(流通業者)という。

 需要が高まる一方、生産者や飼養頭数は減少傾向で、子牛に不足感が出ている。19年の繁殖農家戸数は820戸で、この10年で4割減少。繁殖牛頭数は同1割減の1万1059頭となった。

 JA全農によると、熊本県内で取引される子牛価格は16、17年にかけても70、80万円台の高値となったが、18年以降は60万円前後で推移。その後、新型コロナウイルス下でも比較的枝肉の販売が堅調で、20年12月以降は、再び80万円近い高値が続いている。

 3月の平均価格は1頭約77万円と前年比32%、同月の過去5年平均比でも21%高い。19年度の平均価格は黒毛和種を2割下回っていたが、21年3月は黒毛和種の価格(同79万3362円)に迫る水準となっている。

 肥育牛の産地関係者は「80万円で導入した子牛は120万円前後で販売するのが採算ライン」と指摘。「ただ最終的な肉の販売価格が高くなり過ぎると、黒毛とのすみ分けが難しくなってしまう」と懸念する。

 「くまもとあか牛」を扱う九州の食肉卸は「今後も赤身人気のトレンドは続く。頭数が減少傾向にあることに販売側も危機感を持っている」と話す。県は「引き続き、優良雌牛の導入を後押しする事業などを通じ、生産基盤を強化していく」(畜産課)としている。  

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