多様な関係人口 地域づくりに生かそう

 特定の地域を継続的に訪問している「関係人口」は、1827万人に上っている。農村や農家のファンを広げ、地域づくりや農業振興につなげたい。地域住民を主体に、訪れる人との接点を増やし、関係を持続させる取り組みが必要だ。

 関係人口数は国土交通省が推計した。18歳以上を対象にインターネットで昨年9月調査、約15万人から回答があった。それを基に、継続して訪れている人は三大都市圏が約861万人、その他の地域が約966万人となった。合計は18歳以上の2割弱になる。

 関係人口が全国を大規模に移動する一方で、近隣地域と関係を築いている人もいる。訪問先は幅広い。最多は市街地のうちの住宅地で3割を占めた。農山漁村部は1割程度だった。また3割は、地域づくりやボランティア活動などに取り組み、直接的に地域に寄与。この他、イベントへの参加・交流やテレワーク、趣味の活動や飲食などを行っている。地域で果たす役割を含め関係人口は多種多様だ。

 関係人口を拡大し、地域づくりへの寄与など関係を深めるにはまず、関係人口を枠に当てはめて捉えるのではなく、地域との関わり方は多様であり、結び付きには濃淡があることを認識することが重要だ。

 その上で、つながる機会をどうつくるか。同省の有識者会議は最終報告書で、地域の人と関係人口を結び付ける「人」、両者が自由に立ち寄り出会う「場」、イベントなど両者のつながりを創出する「仕組み」の重要性を強調した。

 鍵となるのは、関係の持続である。同報告書も、多様な形で継続的に地域に関わる仕組みを持つ自治体などを例に、関係人口の創出が結果的に移住者を増やしていることを示した。また、関係人口の来訪が多い地域は都会からの移住者が多い。“ヨソモノ”に寛容で、受け入れ態勢が整っていることからだろう。

 地域づくりの主体は地域住民である。行政やJAなどさまざまな組織と共に、関係人口と連携・協働する方策を探ろう。食事や宿泊などで受け入れ側の負担が偏れば、長続きしない。負担を分かち合う仕組みも話し合おう。

 特定の地域との関わりがない層への働き掛けも重要だ。ふるさと納税や地場産の購入など訪問しない方法もある。

 関係人口は就農にもつながる。大学の授業で訪れた北海道に引かれ、移住し、酪農家になった新規就農者もいる。JAグループ北海道は、他の仕事をしながら農業も行う「パラレルノーカー」を提唱。多様な方法で農業に携わってもらい、ファンの裾野を広げる。地域づくりや農業振興には、多様な関わり方を創出することが大きな一歩になる。
 

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