業務需要低迷 コロナ克服へ品目転換 価格安定リスクを分散

キャベツの生育を確認する山下さん。5月中旬の出荷を予定する(岡山市で)

 新型コロナウイルス禍が2年目に突入した2021年、産地で生産品目を転換する動きが出てきた。飲食店向けから契約栽培の家庭向け品目に切り替えたり、販路が期待できる季節物野菜を取り入れたりと工夫。相場変動の少ない品目でリスクを分散し、コロナ禍を乗り越えようと奮闘している。(鈴木薫子)
 

高級野菜→加工キャベツ、花→新ショウガ


 岡山市の山下和磨さん(37)は、首都圏で高級野菜として定着したエンダイブの栽培を減らし、JA全農おかやまと契約栽培する加工用キャベツの面積を拡大した。21年産のエンダイブは前年比15アール減の10アールとし、周年出荷をやめた。

 家庭向けのカット野菜となる加工用キャベツは、前年比10アール増の35アール。引き合いが強まり高単価が見込める5月中・下旬の出荷を計画する。

 サラダなどに使うエンダイブは、これまで出荷の9割が首都圏の飲食店向けだった。高級野菜として販売は安定していたが、コロナ禍で飲食店需要が激減。一時は出荷制限がかかり、山下さんは3600株を廃棄した。20年産の販売単価は例年の半値以下で、今も回復が鈍い。

 全農おかやまによると、主にスーパーにカット野菜として並ぶキャベツは、コロナ下でも家庭消費が好調で、大きな影響は受けていないという。生鮮品の端境期である5月の出荷を計画する山下さんは「契約取引は、全量を買い取ってもらえ、単価が安定している。栽培計画を立てやすい」と期待する。

 グロリオサで全国1位の出荷量を誇る高知市。西森茂人さん(35)は、20年産(19年9月~20年8月)のグロリオサをハウス約40アールで栽培したが、21年産はその3分の1を新ショウガに転換した。加温栽培は5月中旬、無加温栽培は7月末に出荷する計画だ。

 西森さんら33戸が所属するJA高知市三里園芸部花卉(かき)部会はグロリオサを15ヘクタールで栽培。業務用で全国に周年出荷するが、昨春からイベントの中止が相次ぎ、同部会の20年産の売り上げは前年比で3割落ちた。

 「花だけでは生活が苦しい」。前年から収入が4割近く減った西森さんは新ショウガ栽培を決めた。「旬の新ショウガは需要が旺盛で相場が変動しにくい」(JA担当者)ことが決め手だった。花きと同じ施設を使え、管理の手間も少ない。

 JAは、新ショウガやピーマン栽培が盛んで、共選共販で販路が確立されている。同部会は、JAのサポートも受けやすいとして、西森さんを含む5戸がピーマンや新ショウガ栽培を新規で導入した。栽培指導するJA担当者は「安定単価の品目の導入でリスク分散を検討してほしい」と提案する。
 

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