スマート農業投資 効果見極める人育てよ

 スマート農業は労働時間の削減などにつながる一方、機械・機器が高額で導入には大きな経営判断が必要だ。農水省と農研機構のスマート農業実証プロジェクトの中間報告で、効果的で効率的な投資ができる経営能力の重要性が明らかとなった。官民連携での人材育成が求められる。

 実証プロジェクトは2019年度に始めた。ロボットや人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)などの先端技術を、生産から出荷までの各段階に複数取り入れ、スマート農業技術のメリットと課題を分析する。計179地区が採択され、それぞれ2年間実施する。21年度からの31地区では輸出や新型コロナウイルス禍に対応するリモート化など、時代に即した課題が並ぶ。

 3月に公表された中間報告は、19年度スタート分のうち、畑作や露地野菜、施設園芸、果樹など最初の1年分の成果をまとめた。全体の傾向として労働時間の削減につながり、農機での作業は、自動操舵(そうだ)などの機能によって運転に不慣れな人材でもできたと評価する。

 ただ、数百万円にもなる高額な農機・機器の導入コストは重い。経費の抑制には、利用面積の拡大や地域での共同利用(シェアリング)の必要性が指摘された。

 実際は、個々の経営で全ての技術を一度に導入するのは現実的ではない。長期的な視野に立って経営を分析し、必要な農機・機器を見極め、収支を見通すことのできる人材が求められる。

 農機・機器の使いやすさは改善が進んでいるが、作物の収量や品質の向上、販路の拡大を担うのは人である。また、スマート農業技術の導入で特に施設園芸では、病害虫管理はもちろん、植物の生理に合わせた養液、温湿度、二酸化炭素(CO2)の調整などについてより精密な情報が増え、判断が必要な場面が多くなっている。規模拡大で雇用が増え、経営管理能力の重要性も高まっている。

 日本施設園芸協会は、環境制御装置などの導入が進む施設園芸で、こうした人材育成の必要性を指摘する報告書を作成した。経営者や栽培担当者が技術やマネジメントを学び、人材・情報交流や技術実証もできるよう、JAグループや行政、研究機関、資材メーカー、農業者などが連携する具体像を提示している。

 中小規模の農家によるスマート農業の実践事例も紹介している。同協会は、動画投稿サイト「ユーチューブ」で、県やJAと連携した取り組み事例を公開している。

 こうした実証プロジェクトや農業関係団体などの成果や取り組み事例、情報を、自らの経営や人材育成などの計画を検討する材料にしたい。

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