4都府県 緊急事態宣言 大型連休集中的に 東京・大阪・京都・兵庫 25日~5月11日

職員がフェイスシールドを装着するなど感染対策を徹底するあぐりんの家(大阪府東大阪市で、JA大阪中河内提供)

農産物需要期 また直撃

 

家庭向け強化 影響緩和図る


 政府は、25日から5月11日まで東京都、大阪府、京都府、兵庫県に3回目の緊急事態宣言を発令する。

 産地や流通業者は、緊急事態宣言の発令で業務需要の苦戦を見通す。家庭向けの販売を強めて影響を緩和したい考えだ。

 米は業務用の需要減少に追い打ちを掛けそう。例年は行楽需要で外食や、弁当・おにぎりなど中食消費が見込まれる時期。炊飯業者は「大型連休に人出がなくなるのは、こたえる」と吐露する。

 和牛も苦戦が予想される。先行きの不透明感が強く、業者には必要最低限の仕入れに抑える動きが出ている。大手食肉メーカーは「前回の宣言解除後、ようやく荷動きが回復してきたところで打撃が大きい」と話す。スーパーでは家庭向け「おうち焼き肉」の提案が活発化している。

 野菜は「相場が回復基調だった大葉、増量期のワサビなど業務商材の荷動きが鈍くなる」(卸売会社)と懸念。外出控えが広がり小売り中心の販売が続く。「スーパーでは好調だった前年の売り上げを目標に、特売や催事の展開を強化している」(同)とし、ミョウガやラッキョウなど薬味、漬け込み商材の需要増加を見込む。

 果実は帰省の手土産で需要が期待されたメロン「アールス」など高級商材が苦戦する気配だ。一方、「スーパーなどに販路を開拓した。家庭用の販売に期待したい」(宮崎県のマンゴー産地JA)との声も。

 牛乳類や乳製品は、家庭用の消費が上向く可能性がある。ただ、これから生乳生産量が多くなる中で「業務需要の落ち込みが進む」(Jミルク)と、需給調整が難しくなる。

 花きは「母の日」向けで、洋花中心に堅調な販売が続く。しかし生花店が入る商業施設の休業が広がれば、昨年のように相場が低迷する可能性がある。
 

販路確保 模索続く


 東京都練馬区の高橋範行さん(33)は、95アールで年間30品目の野菜を栽培、区内の飲食店4店に販売する。感染者数の増加から「宣言発令は仕方ない。飲食店に販売する予定だった野菜を、軒先の直売などに振り向けたい」と考えている。

 東京都多摩市で農家レストラン「青木農園」を営む青木幸子さん(64)は、4月に店舗をマンションの一室から広い一軒家に移したばかり。「感染が拡大し、私自身も怖いと感じている」と話す。当面、畑で取れた野菜が入った弁当の販売やカフェを開き「人とのつながり、東京農業の発信の場は大切にしたい」と強調する。

 外食は警戒感が広がる。居酒屋チェーンを傘下に持つ大手外食は「(休業などの)要請があれば受けるしかない」との立場だ。

 JA全農兵庫の直営レストラン「神戸プレジール本店」(神戸市)は、閉店時間を午後8時に繰り上げ、既に売り上げが3、4割落ち込む状態。全農兵庫は「酒類の提供取りやめで、客足は一層遠のくだろう」(販売企画課)と懸念する。

 全国トップクラスの売上高を誇り、大阪からも多くの人が来店する和歌山県・JA紀の里の直売所「めっけもん広場」(紀の川市)は、連休中に予定した収穫体験などのイベント中止を決めた。

 新型コロナ下では農産物セットのインターネット通販などを展開。JA直売課は「大阪からの来店が見込めない分、売り切りに向けて新たな販路の活用に力を入れていきたい」と話す。
 

介護施設は…クラスター、経営不安の中 宣言「効果」望み懸け


 重症化リスクが高いとされる高齢者を受け入れるJAなどの介護施設の現場では、人流抑制による感染防止に期待する一方で、多くの市民が新型コロナウイルスの感染状況に慣れ、行動が制限できるかは未知数だ。施設経営への不安に加えて、「感染防止への意識を高めることが先決」といった声も聞かれる。(前田大介)
 

感染に歯止め有効

 

 「1回目の緊急事態宣言のように緊張感を持ってほしい」と話すのは、東大阪市にあるJA大阪中河内介護福祉総合センター「あぐりんの家」の馬場秀子センター長だ。ここでは通所介護(デイサービス)事業を運営する。

 近隣のデイサービス施設では、コロナの感染者が発生。休業に追い込まれた事業所も多い。府内では連日、感染者が1000人を上回っている状況だ。

 同施設はクラスター(感染者集団)の発生防止に神経をとがらせる。対策として職員は、フェイスシールドやゴーグルを装着。防護板を立てて飛沫(ひまつ)飛散防止対策を取る。施設内だけでなく、送迎用の車両も常時消毒するなど、でき得る限りの感染対策を徹底してきた。それだけに緊急事態宣言の発令は、これ以上の対策がない中、「感染を防ぐ有効な手段」とみている。

 この施設では、利用者の食事を外部に委託している。度重なる緊急事態宣言などによって外食産業は経済的に体力を奪われている。「発令で外食業が打撃を受けて、給食が利用できなくなる恐れもある」と思いは複雑だ。
 

予防意識しっかり


 「意識を変えることが重要だ。緊急事態宣言だけでは意味がない」と冷ややかなのが、千葉市で園芸療法を活用した通所介護事業を展開するファームエイドの杉山洋子社長だ。

 同市では緊急事態宣言が発令される東京都へ通勤・通学する住民も多い。デイサービスでクラスターが発生したとの報道が流れるたびに「気を付けても、いつ感染するか分からない」(杉山社長)と危機感を抱く。発令対象地に隣接する地域でも、緊張感が再び高まる。

 東京商工リサーチによると、2020年の「老人福祉・介護事業」倒産は118件と過去最多だった。新型コロナの感染拡大による利用控えに加え、経営が悪化したコロナ関連倒産も発生している。

 杉山社長は「消毒などの衛生費もかさんでいる。この状況が続けば、運営できなくなる介護施設もずいぶん増えるだろう」とみる。このような事態を避けるためにも「コロナ予防への意識を高めることが先決」と話す。

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