[未来人材プラス] 風評被害の故郷 何とかしたくて就農 アスパラ1000万円目標 福島県喜多方市 田中圭さん(34)

「頑張った分が返ってくる農業は楽しい」と話し、アスパラガスを収穫する田中さん(福島県喜多方市で)

 東北屈指のアスパラガス産地・福島県喜多方市。田中圭さん(34)は東日本大震災を機にUターン就農した。独立から2年で1・5ヘクタールの農地にハウス17棟を建てた。2021年度は売り上げ1000万円を目指し、産地活性化に奮闘する。

 大学卒業後、住宅メーカーに就職し、上京した。施工監督や営業を経験する中、大工を見るとうずうずする自分がいた。「子どもの頃から、ものづくりが好きだった」と田中さん。家庭菜園で感じた土の感触、収穫の達成感が忘れられなかった。「いつか農業をしたい」と、思った。

 就農のきっかけは、東日本大震災だ。東京電力福島第1原子力発電所事故による「風評被害」にあえぐ故郷。テレビに映る姿を見て「何かしたい」という思いを強くした。

 まず、農業の基礎を学ぶため、埼玉県の農業法人に転職した。ハクサイやタマネギなどの栽培に5年間従事し、農場長に就任。頑張った分が返ってくる農業に田中さんは「本能が求めていたものはこれだ、と思うほど楽しかった」と笑う。同市の支援制度を活用して18年に地元に戻った。

 アスパラガスは定植から収穫まで1年かかるが、2年目から同じ株で収穫を繰り返しできる。規模によって高収入が見込めるため選んだ。値崩れしにくく、トマトやキュウリより作業時間が少ないのも魅力だ。

 研修や農地貸借の費用などで同市から支援を受けた。国の農業次世代人材投資事業(旧青年就農給付金事業)も活用。JA会津よつばが紹介したアスパラガス農家の下で栽培を学んだ。

 「ウェルカム」など一般品種の他に、田中さんが栽培する県独自品種「ふくきたる」はみずみずしく、大きく育っても硬くないため、飲食店から引き合いが強い。田中さんは「農業は楽しい。地域をけん引できるよう、稼げる農業を実現し、新規参入者を増やしたい」と笑顔を見せる。

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