農産物の応援消費 国産の意義を伝えよう

 新型コロナウイルス禍で農産物の販売も大きく影響を受ける中、活発なのが農産物の「応援消費」だ。「農家を応援したい」という消費者の気持ちがインターネット交流サイト(SNS)などで広がり、購入につながっている。こうした動きを、国産全体の消費拡大に結び付けよう。

 岐阜県の「#おうちで飛騨牛プロジェクト実行委員会」が消費拡大のため2020年4、5月に行ったクラウドファンディングでは、約1億1400万円の寄付を集めた。ふるさと納税でも同年の寄付額が前年よりも増えた自治体が74%に上ることが、同納税総合サイトを運営するトラストバンクの調査で分かった。うち1割は寄付額が前年比で3倍以上に増えたという。

 「応援消費」を呼び掛ける手法は、個人の農家の投稿から産地全体で取り組むクラウドファンディング、ふるさと納税の返礼品を活用した行政の事業まで多様だ。

 東日本大震災以降、災害時に被災地の支援を呼び掛ける投稿がSNSで見られるようになり、「応援消費」が農産物の売り上げに貢献。前述の調査でも、寄付した人に、新型コロナで生産者を応援する意識が影響したかを聞いたところ、「影響した」が6割に上った。そのきっかけになるのは産地からの情報発信だ。

 食料自給率は38%(カロリーベース、19年度)と低迷。「応援消費」を国産全体の消費拡大につなげるにはどうするか。コロナ禍の下での消費者意識の変化から、ヒントを探ってみたい。

 日本協同組合連携機構(JCA)が20年8、9月に行った農畜産物などの消費行動調査では、野菜購入時に「主に国産を買う」が8割で、前年とあまり変わらなかった。ただ独身男性は66・7%と他の層と比べて低いが、前年比では12・4ポイント上がった。また独身男性は「産地表示を見ないので国産か外国産か分からない」は17・2%と比較的高いが、前年からは10ポイント下がった。

 JCAは、コロナ禍により①内食や自炊が増え、これまで気にしていなかった産地に関心を持つ人が増えた②国内産地が苦境に立っている状況が国産利用を後押しした――と要因を分析。国産を選ぶ人は食材に安全性や安心感を求めているとして、「作物の生育過程や流通履歴などの情報開示が消費拡大の鍵になる」(基礎研究部)と指摘する。

 消費者に国産を積極的に選んでもらうには、安全・安心を含めた品質の優位性や産地情報などと共に、国土や環境、文化の保全など国産消費の意義を伝えることが重要だ。自給率の向上には加工・業務用需要の輸入品からの奪還が必要で、原材料の産地をはじめ加工食品や外食での情報提供の促進も求められる。
 

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