[あんぐる] 春色カーペット 「花咲くチューリップ球根産地」(富山県砺波市)

色とりどりの品種が咲いたチューリップ球根を育てる畑。摘花機がゆっくりと進む光景は同地の春の風物詩だ(富山県砺波市で)

 チューリップ球根の産地、富山県砺波市で4月下旬、摘花作業が盛りを迎えた。雪解けが早かった今年は、晩生品種の開花が早まり、例年よりも豪華な花のじゅうたんが畑に登場。市内では300万本が咲きそろうイベントも開幕し、千紫万紅の春が訪れている。

 「今後の天候次第だが、今のところは順調だね」。同市の農家で県花卉(かき)球根農協理事の水越久男さん(72)は、花が咲いた畑で品種の混入や病気の有無を確認し、摘花機を走らせていた。

 花を摘んだ畝には、みずみずしい緑色の葉と茎が残り、6月の掘り取りまで地中で球根を育てる。花が一斉に咲いた今年は、田植えの準備と重なり、忙しいという。

 

県花卉球根農協が育てるチューリップの鉢。コロナ対策として昨年からクラウドファンディングで支援者を募り届けている
 チューリップの花は、畑だけでなく市中にもあふれる。

 毎年この時期に開く「となみチューリップフェア」は、300品種が咲き誇る国内最大級の花の祭典。昨年は新型コロナウイルスで初の中止となったが、今年は対策を徹底して開催した。70回目の節目を迎え、今月5日まで開く。

 花でできた地上絵や回廊などをメイン会場の砺波チューリップ公園に展示し、産地ならではの多彩な品種で訪れた人をもてなす。

 富山県のチューリップ球根は国内生産量の半数を占め、現在は80人の同組合員が、水田転作などで1350万球を生産する。砺波市は県内のトップ産地で、県のチューリップ栽培発祥の地だ。

 栽培は1918年、稲作農家の水野豊造氏が植えた10球から始まった。水田単作地帯だった同地で、米の裏作として定着させ、国内初のチューリップ品種の育成に成功するなど、産地の礎を築いた。

 水野氏の子孫で、球根栽培4代目の水野和幸さん(38)は「子どもの時に見ていた砺波の風景を、今度は俺が守る番かなって」と日に焼けた顔で笑う。(染谷臨太郎)

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