みどりの日 近くで森林浴楽しもう

 緑に覆われた森林には、人の五感を刺激してストレスを減らし、免疫力を向上させる効果がある。新型コロナウイルスの感染拡大で遠出はできなくても、近くの山や公園で森林浴はできる。心身をリフレッシュして、コロナ禍を乗り切りたい。

 日本の国土の7割を占める森林は、生物多様性の保全や土砂災害の防止、水源のかん養などの多面的機能を持っている。地球温暖化を引き起こす二酸化炭素(CO2)を吸収する機能には、大きな期待が寄せられている。

 加えて、人の健康保持・増進に役立てる活動も盛んになってきた。森林セラピー(療法)である。森林の緑は、ストレスホルモン「コルチゾール」の減少を助けてくれる。

 森林総合研究所などによる若い女性を対象にした研究では、抑うつ感や不安感が低下し、メンタルヘルスが向上することが明らかになった。日本とフィンランドの共同研究でも、心理的ストレスの軽減効果が認められた。

 がん細胞やウイルスを攻撃し破壊するNK(ナチュラル・キラー)細胞を活性化することも分かってきた。2泊3日の森林浴で、都会のサラリーマンは免疫力が5割以上高くなった。しかも、NK活性の向上は1カ月近くも持続した。

 同研究所の研究員で千葉大学客員教授の香川隆英さんは「近くの山や公園、田んぼのあぜ道など緑のあるところでの1時間程度のウオーキングは、健康回復に有効だ」と、身近なところでの森林浴を勧める。実践してみよう。

 森林の機能を維持するには手入れが必要だ。森林で進む“少子高齢化”にも目を向けたい。若齢の人工林が減り、50年生を超える人工林が50%を占める。林業不振が長く続き、手入れの行き届かない森林が増えたからだ。所有者が分からない森林も3割近い。高齢化した大径木は用途が限られ、CO2の吸収能力も下がる。

 こうした状況が続けば、地球温暖化防止機能が十分には発揮できなかったり、次世代に貴重な資源を残せなくなったりする。森林の状況を踏まえ、官民挙げて適切で効率的な整備に取り組むべきだ。

 森林の維持には、国民の理解と支援が欠かせない。政府は、2024年度から森林環境税を導入し、手入れが行き届かない森林の整備などに充てる。貴重な税金である。効率的に使うことが大切だ。森林の保全には〈伐(き)って、使って、植えて、育てる〉という循環が重要だ。利益優先の伐採一辺倒で、山を荒らしてはならない。

 豊かな森林は人が手をかけて育てるものだ。きょうは「みどりの日」。人の生活と健康を支える貴重な森林の今を知り、これからを考えたい。

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