“農Tuber”は家畜人工授精師 「畜産業の広告塔に」 鹿児島・霧島市 藤山さん
■家業は和牛繁殖農家
藤山さんは繁殖牛農家の出身。日本獣医畜産大学(現日本獣医生命科学大学)に進学したが中退し、東京都内でホストとして働いたという経歴の持ち主だ。
転機は27歳の時。父の徹さん(74)から近隣の人工授精師が倒れ、地域が困っていることを手紙で知った。「放っておけば一生、親不孝になる」。実家へ戻り家業を継いだ。すぐ人工授精師の資格も取得。現在、年間約1000頭の種付けを手掛け、和牛繁殖農家としても汗を流す。
2017年の全国和牛能力共進会宮城大会(宮城全共)にも挑戦。第四区の系統雌牛群で出場を狙ったが、惜しくも県代表2席。自分が種付けした農家の牛が代表に選ばれて、誇らしさがあった。半面、自分が育てて出品した牛は一歩及ばなかったことに悔しさがこみ上げた。
そこから地区の共進会で4連覇するなど、快進撃を続ける。牛には優しく声をかけ、調教ではきれいな姿勢が取れるとたくさんなでて褒める。
■時にはラジオパーソナリティー
「FMきりしま」では7年前からパーソナリティーを務める。月2、3回、1時間番組で若手の農商工従事者を紹介する。JAグループのインターネット動画チャンネル「農Tuber」のメンバーとしても活動。日々の畜産業の様子を発信する。
藤山さんは「和牛が高級な理由や希少価値が消費者にうまく伝わっていない。自分が広告塔になり、業界への注目度を高めたい」と意気込む。今の目標は22年に開催予定の鹿児島全共で代表入りを果たすことだ。