疲れたら畑においで 農作業、共同生活で若者の心ほぐす 広島・NPO法人ブエンカミーノ
【広島北部】現代社会に生きづらさを感じている若者の農業による自立支援へ──。広島市のNPO法人ブエンカミーノは、共同生活を行う長期プログラムや、合宿型の農業ボランティア、宿泊体験といった短期プログラムを通して、若者が共に暮らし、働き、自らを癒やして前を向く手助けをしている。新型コロナウイルス禍で、思うような活動ができなかったが、大型連休には3年ぶりにワークキャンプを開催。若者の笑顔が戻った。
ブエンカミーノは、スペイン語で「良い旅路を」という意味。若者が未来に希望を持ち、歩んでいくため農業を通して支援しようと、安芸高田市などで野菜を栽培する吉川望さん(45)が、2011年に設立した。人とのつながりを持つことで、自分らしいライフスタイルを見つける道標になってほしいという願いを込めている。「人生を航海で例えると若者が船で、ブエンカミーノは港」と吉川さん。
コロナ禍で活動自粛を余儀なくされたが、今年の大型連休は3年ぶりに短期プログラム「広島ワークキャンプ2022GW」を開いた。5泊6日の日程で、県内外から20~30代の20人が参加した。ナスの定植、ブロッコリーの袋詰めといった農作業や、川遊びなどで疲れを癒やし、参加者同士で語り合った。コロナ禍の前は短期プログラム1回につき、平均約30人が利用していた。
「多様な人と交流楽しい」
コロナ禍で人との関りが疎遠となり悩んでいた大後双葉さん(20)は、神奈川県から参加した。「大学の授業はリモートばかり。新しい友達もできず、このままではいけないと思い参加した。いろいろな価値観を持った人と関わりを持つことができるため勉強にもなり楽しい」と、笑顔で話した。
吉川さんは、同市で「アグリめぐみの里ファーム」を営む。約1・4ヘクタールでブロッコリーやキャベツ、ナスを栽培。産直市「ベジパーク安芸高田」や「とれたて元気市」に出荷する。ブエンカミーノの活動は同ファームで行う。
吉川さんは「農業は共同作業など、交流することに適している。農業を通して若者を支援していきたい」と、誰もが立ち寄れる港となることを目指す。
参加者の募集は、東京のNPO法人「good!」と連携し、7、8月にも短期プログラムを予定して活動を再び本格化させていく。