若手職員の育て方 組合員接点を増やそう

 地域づくりや農業の活性化に関わる仕事をしたいという若い人が増えている。地域おこし協力隊が代表格だ。新型コロナウイルス禍で田園回帰の流れが強まる兆しも見える。問題は、こうした志向を持つ若者の職業の選択肢にJAが入っているかである。魅力ある職場づくりが求められている。

 学校を卒業して地元で働こうとすれば以前は、農協は役場と並んで有望な就職先だった。近年、JA関係者から聞こえてくるのは、新卒者がなかなか来ないとの嘆き節である。若い人たちに魅力や働きがいを感じさせる職場になっているかを考える必要がある。

 日本農業新聞JA面「職場改造塾」で連載した「生き生きと働く~協同組合人の育て方」(筆者・西井賢悟JCA主任研究員)に、JA関係者の反響が寄せられた。連載の内容は、JAの若手・中堅職員に焦点を当て①20代の職員に元気がない②協同組合理念と実際との差に「リアリティー・ショック」を受けている③協同組合の理念教育が職員の心に落ちていない──といった問題点を踏まえ、何をすべきかを考察したものだ。

 同じような悩みを抱えるJAは少なくないのではないか。問題解決の鍵が「組合員」にあるとの指摘が重要だ。西井研究員らが行ったJA職員のヒアリング調査で「理想の職員像」を尋ねると、「組合員との距離が近い人」「組合員が信用の置ける人」といった答えが多く返ってきたという。職員は組合員と接し、組合員のために仕事している時、自分を肯定的に捉えることができるのである。

 当然と言えば当然だが、問題はこのことを職員が日常の事業・活動の中で実感できているかである。「組合員基点」は協同組合の原則であり、組合員との関係性が事業体としての最大の強みでもある。JAは職員と組合員との接点の実態をいま一度点検してみてはどうか。

 本連載で浮き彫りになったのは、若手職員が抱える心の葛藤だ。理念と仕事とのギャップを感じる割合が入組後10年目までに急速に高まり、5割に達するという。こうした現象はJAに限らずどの組織にも見られるが、放置してはならない。

 西井研究員が提言するのは、20代のうちにさまざまな組合員組織の事務局や、JAが近年力を入れる支店協同活動の事務局に関わらせることだ。職員は組合員のために仕事をし、ありがとうと声を掛けられた時、やりがい、喜びを感じるからである。そういう経験を若い時にこそさせる。また、業績には表れない努力を評価する仕組みの整備も課題に挙げる。

 若手職員のやりがいづくりは、組合員との関係強化、事業基盤の整備、地域社会とのつながりなど、「好循環」を引き起こす可能性に富んでいる。温かい目で見守り、支えるのが先輩職員、役員の良き立ち居振る舞いというものだろう。
 

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