食料安保など重点に 中国の全人代が開幕
2021年03月06日
中国の全国人民代表大会(全人代=国会)は5日、北京で開幕された。2021年からの14次5カ年計画に加え、35年までの長期目標も議論し、食料安全保障などを柱に政策を定める見通しだ。食料安全保障では、種子と耕地が重要と強調。種子の遺伝資源の保護や優良品種の選抜、普及を強化し、農家支援も拡大する。……
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樹里咲穂さん(女優) 苦手なキュウリ舞台の思い出に
子どもの頃から、キュウリが苦手でした。しっかりと味が染み込んだ漬物とか酢漬けなら大丈夫なんですけど、生のキュウリの青臭さが……。
私のキュウリ嫌いは、周りの人やファンの方にも有名でした。というのも、プロフィルに書いていたから。
私は2005年、お世話になった宝塚を卒業しました。最後の舞台は『Ernest in Love』という作品で、19世紀英国の貴族の物語。その当時、英国ではキュウリが貴重品とされていたそうで、舞台ではキュウリサンドがアフタヌーンティーに出てくるんです。
冒頭、主人公の私が親友のもとを訪ねると、親友がキュウリサンドを食べているというシーンがあります。彼に「キュウリサンド、いる?」と聞かれ、「いらないよ」というせりふがありました。ですから食べなくて済むんですよ。
でも千秋楽、本当に卒業するという日に、親友役をやってる子が「いやいや、そう言わずに」と言ったんです。客席から拍手が起きて、食べざるを得なくなってしまって。そのため最後の舞台は、戦意喪失してしまいました。それにしてもキュウリを食べただけでものすごく喜んでいただくなんて。強烈な思い出として残っています。
最近は、生のキュウリにも歩み寄れるようになってきました。いっぱいマヨネーズをかけたり、梅干しとあえたら、食べられるようになったんです。私は努力してるんですよ。でもキュウリが私を拒絶している。一進一退の闘いが続いているところです。
子どもの頃から好きな料理というと、カレーですね。母のカレーには、ジャガイモ、ニンジン、タマネギがたっぷり入っていて。肉はビーフで、ごろっとした大きな肉だったり、薄切りだったり、その時その時で切り方が変わっていました。ごく普通のルーを使ったものですけど、隠し味にコーヒーの粉を入れて奥行きを出していました。
去年の緊急事態宣言期間。毎日ずっと休んでいないといけないので、曜日の感覚がなくなりそうでした。それで思い出したのが、前に護衛艦の1日艦長をやらせていただいた時のこと。よく海軍カレーといいますが、週に1回カレーの日にすることで、曜日の感覚を取り戻すと聞きました。そこで私も、毎週金曜日はカレーの日と決めたんです。
母が作ってくれたカレーとは違い、インド風のスパイスカレーを作り続けました。飽きないように、具材で工夫をしながら。豚のスペアリブを使ったり、キーマにしたり。
最初にホールスパイスを熱して、香りを出して。次にタマネギを炒め、その後で粉のスパイスを入れる。きちんと水分を飛ばさないといけないらしいんですね。お玉でフライパンをこすると道ができれば、水分が飛んだ証拠。カレー業界ではこの道をカレーロードというらしいんです。作りながら「来た来た来た、カレーロード来た」と心の中で叫びました。
ギョーザも作るんですが、最後、ひっくり返して皿にのせるのが難しい。肉汁が手に垂れたら、熱くて死ぬ。そう考えたら怖くてできなくて。思い切りが悪いから、まるで代々木第一体育館みたいな変な形になってしまいます。
私はそれまであまり料理はしなかったんですが、料理を作るのを見るのは好きなんですよ。料理番組を録画して見るくらいでしたから。そうして頭の中にためていった知識が、ようやく開花しました。やっぱうまいなあと、自画自賛して作っています。(聞き手=菊地武顕)
じゅり・さきほ 1971年大阪府生まれ。宝塚歌劇団に入団し、90年花組公演にて初舞台。男役ながら女役もこなし、幅広い役柄を演じた。伸びやかな歌声と優れたダンスに定評がある。2005年、主演を務めた「Ernest in Love」を最後に退団。その後も舞台を中心に活躍を続ける。5月からミュージカル「レ・ミゼラブル」に出演予定。
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2021年04月17日
ペルーで新パナマ病 バナナの大敵、まん延防止へ
ペルー政府は、バナナの大敵である新パナマ病(TR4)が、最北部に位置するスヤナ州のバナナ農園で確認されたと発表した。ペルー全土を対象に植物防疫対策の緊急事態宣言を発令し、隔離の徹底などまん延防止に取り組む方針だ。
南米ではコロンビアで2年前にTR4の侵入が確認され、今回ペルーに広がった。世界最大のバナナ輸出国であるエクアドルが両国に挟まれる所に位置し、南米バナナ業界では大きな衝撃が走っている。
世界のバナナは、1950年代にフザリウム菌によるパナマ病によって主流品種の「グロスミシェル」が一掃された。現在は抵抗品種の「キャベンディッシュ」がほとんどを占める。ところが、フザリウム菌の別の系統TR4による新パナマ病が80年代になってアジアから猛威を振るい始め、アフリカなどに広がり、南米に侵入した。
栄養繁殖の商業用バナナは世界中でTR4に弱い「キャベンディッシュ」一色のため、感染の広がりを防ぎにくい。日本が多くを輸入するフィリピンでもTR4は深刻な打撃を与え、園地の改廃などが進んでいるという。
南米の研究者らとTR4の研究をしている東京農工大学の有江力教授は、人や車の往来で汚染された土壌を通じて感染が広がり「バナナの生果実から病気がうつる心配はないだろう」と指摘する。
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2021年04月18日

和牛子牛80万円迫る 堅調の枝肉相場に連動 高止まり懸念も
和牛子牛価格が80万円に迫る高値で推移している。枝肉相場が好調なことに加え、大型連休の需要期向けに肥育牛の出荷が進み、導入意欲が強い。一方、資金力に余裕がない中小肥育農家を中心に子牛高値の負担感が大きくなっており、価格の高止まりを懸念する声も出ている。(斯波希)
JA全農がまとめた全国の主要家畜市場の4月の取引結果によると、1頭平均価格は78万7957円(22日時点)。……
2021年04月23日

米「星空舞」 安定供給へ 原種の生産拠点が竣工 鳥取
鳥取県は、鳥取市の県農業試験場内で、県ブランド米「星空舞」の原種生産合理化施設の竣工(しゅんこう)式を開いた。生産者へ供給する種もみの原種を生産する拠点。扱う品種を限定し、病原菌や異型などの混入を防ぐ管理の徹底で、高品質な原種を生産する。JAグループ鳥取と連携し、「星空舞」の栽培面積拡大に対応していく。
県内では、同試験場が3ヘクタールの圃場(ほじょう)から原種を採取し、これまでは2カ所の生産施設で個体を選抜していた。ただ、扱う品種数が増え、コンタミ(異品種混入)リスクが高まっていた。
新施設で扱う品種は主に「星空舞」に限定する。総事業費は7357万円で国の交付金も利用した。約200平方メートルの施設内に、縦型遠赤外線乾燥機や保管用冷蔵庫、加温式育苗器などを設置。「星空舞」専用のコンバインも新たに導入した。原種は国府町種子生産組合などへ供給する。
2019年に本格デビューした「星空舞」の栽培面積は21年産で19年産比3倍の1150ヘクタールを計画。JA鳥取県中央会の栗原隆政会長は「生産者と消費者から喜ばれる『星空舞』の早期のブランド化へ、施設を有効活用したい」と意気込んだ。
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2021年04月19日

果実もたるもオール山梨でワイン 丹波山村産ミズナラ全国初活用 甲州市の醸造所が今秋初出荷へ
山梨県丹波山村と甲州市のワイナリー「奥野田葡萄(ぶどう)酒醸造」が、同村産ミズナラを使ったワインだるを開発した。これまで県産材を使ったワインだるがなかったことから、「オール山梨産」のワインを作ろうと企画。村の林業を再興したい思いなども重なり、約4年の歳月を経て完成にこぎ着けた。国産ミズナラのワインだる製造は、全国で初めてという。今秋にこのたるで熟成した白ワインが完成する見通しだ。(長田彩乃)
林業再興めざし開発
県産の材料にこだわるワイナリーの代表・中村雅量(58)さんが考案した。村の特産品開発や林業復活などにつなげたいと、村とワイナリーが共同で開発を進めた。
4年前から取り組みを始め、調査や業者の選定などしてきた。昨年3~12月に村有林を伐採して、2メートル材60本を製材。今年3月末にたるが完成、検品を経て4月にワイナリーへ納品された。
たるには樹齢約70年のミズナラを使用。大きさは直径35センチ、長さ40センチ、容量は18リットル。現在、ワイナリーが昨年に醸造したシャルドネのワインが注がれていて、3カ月程度で熟成が完了するという。
4月中旬にワイナリーで披露された。完成したばかりの17基を岡部岳志村長が中村さんに贈呈した。たるにシャルドネのワインを注いで完成を祝った。
村の担当者によると国産ミズナラを使ったワインだるの製造は全国で初。国産ワインではたるで熟成しないものもあるが「世界的にたる熟成は当たり前」と中村さん。木の香りがワインに移ってバランスの取れた仕上がりになり、料理との相性が良くなるという。
村は面積の98%が山林。森林の多くは東京都の水源林で、村有林は約10%。たるを製造するため伐採することで、森林保全につなげたい考えもある。
中村さんは「ワイン産地の水源の木材を使ってワインを熟成させることは、作り手として最もぜいたくで理想的なものづくりの形。飲みたい人もたくさんいると思う」と喜びを語った。
林業会社に勤めた経験があり、伐採にも携わった岡部村長。「たるを地元産材で作ることで村として『オール山梨』のワイン製造に貢献できる。県産ワインの新たな付加価値創出の第一歩になったと思う。村内での仕事の創出にもつなげていきたい」と、村の産業振興への意欲を見せた。
このたるで寝かせたシャルドネのワインは、今秋に完成する予定だ。約400本を生産する見通しで、村とワイナリーは試飲会なども検討している。
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2021年04月23日
農政の新着記事
RCEP承認案参院委審議入り 商標保護に期待
参院外交防衛委員会は22日、日本と中国、韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)などによる地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の承認案の審議を始めた。京都府の「宇治茶」など、日本のブランドや地名が中国で勝手に商標登録されている問題を巡り、外務省は同協定によって「商標の保護や模倣品・海賊版の問題が改善されると期待している」と述べた。自民党の佐藤正久氏への答弁。
同協定は参加国に対し、悪意のある商標出願を拒絶・取り消しできる制度を設けるよう規定する。同省は「(各国で)適切な整備、運用がされていない場合は改善を求めていきたい」とした。
茂木敏充外相は「先に国内手続きを終え、他国にも早くやってほしいと働き掛けることは極めて重要」とし、協定発効に向けて日本が早期に承認する意義を強調した。公明党の三浦信祐氏への答弁。
同日の委員会では、参考人の意見も聴取した。慶応大学の木村福成教授は、日本が政治的問題を抱える中国や韓国との初の経済連携協定(EPA)となったことを巡り、ASEANを中心とした多国間協定への参加という形だからこそ「一つの協定の中に入れた」との考えを示した。
みずほリサーチ&テクノロジーズの菅原淳一調査部主席研究員は、RCEPは自由化の水準やルール分野の合意内容が環太平洋連携協定(TPP)などに劣るとして、「発効後の深化(見直し)を日本が主導すべきだ」と述べた。
アジア太平洋資料センターの内田聖子代表は、東京大学大学院の鈴木宣弘教授が日本の野菜や果樹が打撃を受けると試算していることを挙げ、「きちんと検証し、影響が出るなら何らかの対策が必要だ」と訴えた。
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2021年04月23日
農業試算 「予定なし」 RCEP承認案 参院審議入り
日本と中国、東南アジア諸国連合(ASEAN)など15カ国による地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の承認案が21日、参院本会議で審議入りした。野上浩太郎農相は、同協定による農林水産業への影響の試算を「行う予定はない」と説明。米や牛肉などの重要品目を関税撤廃・削減の対象から除外し、「国内農林水産業への特段の影響はない」ためだとした。共産党の紙智子氏への答弁。
野上農相は、協定による野菜や果実の関税撤廃について①関税率が比較的低い②品質面から需要が低い──ことなどから「撤廃されても国産価格などの競争条件は大きく変わらず、輸入増は想定しにくい」と説明した。……
2021年04月22日

豚熱相次ぎ注意喚起 「ワクチン過信しないで」 農水省
豚熱の発生が相次いでいる。3月31日からの半月余りで、1万頭規模の農場を中心に5事例を確認。栃木県で17日に発生した豚熱は、2事例合計の殺処分対象が約3万7000頭(関連農場を含む)と、2018年9月以降に各地で発生した13県の計67事例でも最大規模となった。農水省は「ワクチンを過信せず飼養衛生管理の徹底を」と呼び掛ける。
63例目の奈良市の事例以降、65例目の津市ではワクチン接種前の子豚の感染だったが、他の事例では接種済みの豚で感染していた。
直近5事例の農場は、いずれも感染した野生イノシシが約10キロ以内で見つかっていた。最も近いのは64例目の前橋市で、半径2キロ圏内の4地点で野生イノシシの感染を確認。ウイルス侵入リスクは高い状況だったとみられ、陽性イノシシが迫る農場ではより一層の衛生管理が必要となる。
4月9日に同省が公表した専門家による疫学調査チームの報告では、発生事例では死亡豚の増加傾向を感じても、わずかな頭数だとして県への通報が遅れたケースがあった。同省は「経営の規模にかかわらず豚に異変があれば迷わず、すぐに通報してほしい」(動物衛生課)としている。
同省は以前から「ワクチンを接種しても全ての豚が免疫を獲得できるわけでない」として、継続的な防疫体制の確立を求めている。
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2021年04月20日

米在庫 余剰感強まる 業務需要低迷 21年産契約に影響
消費不振で米の民間在庫量が高止まりし、余剰感が強まっている。特に新型コロナウイルスの影響が大きい業務用銘柄を抱える産地を中心に、月を追うごとに在庫状況が悪化。卸は米の先安観から仕入れを必要最小限にとどめており、21年産の契約にも影響が出始めている。
農水省によると2月末の民間在庫量は……
2021年04月18日
大豆生産伸び悩み 政府目標の6割 収量・面積とも課題
政府が増産を目指す大豆の収穫量が足踏み状態にある。農水省の調査によると、2020年産は21万8900トンで、前年比1%の増加にとどまった。収量が安定せず、作付面積が伸び悩んでいることも影響。政府の生産努力目標は30年度に34万トンだが、6割の水準にとどまる。目標達成には収量・面積の両面でてこ入れが必要だ。
政府は食料・農業・農村基本計画で、主要品目の生産努力目標を設定している。大豆は作付面積17万ヘクタール、10アール当たり収量200キロを前提に、30年度に34万トンとした。だが大豆の収穫量は、過去10年で最も多かった17年産でも25万3000トン。同年以降は、3年連続で21万トン台にとどまる。
20年産の10アール収量は前年を2キロ上回ったものの、154キロどまり。作付面積は14万1700ヘクタールで、3年連続で減った。収穫量は努力目標の64%の水準だ。米など他の品目と比べても、特に努力目標との差が大きく、同省は「面積も10アール収量も足りない」(穀物課)と受け止める。
10アール収量は、豊凶による変動が大きい。過去10年間の最高は12年産の180キロだが、近年は150キロ前後で推移している。不安定な収量は実需者が国産大豆を敬遠する要因になっており、輸入品からの需要奪還に向けても安定が欠かせない。
作付面積も増えていない。16、17年産では15万ヘクタール程度だったが、米価の回復に伴い、転作大豆から主食用米に回帰した影響もあるとみられる。米需給が緩和局面となる中、転作作物としてどう推進するかが課題となる。
同省は20年度第3次補正予算で、主食用米から大豆などへの作付け転換を促す「水田リノベーション事業」を用意。同予算と21年度予算では、技術導入などを支援して安定生産を後押しする「水田麦・大豆産地生産性向上事業(麦豆プロ事業)」も措置した。同事業は5月14日まで2次募集している。
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2021年04月17日
米国産牛肉SG終了 関税38・5→25%に 発動基準協議 本格化へ
日米貿易協定に基づき、米国産牛肉に発動していた緊急輸入制限措置(セーフガード=SG)が16日までで終了した。日米両政府は6月中旬までの合意を目指し、発動基準の見直し協議を進めている。2020年度の輸入量や、SGによる輸入の抑制効果などを踏まえ、今後、協議が本格化するとみられる。
同協定に基づく米国産牛肉の20年度の輸入量は、3月上旬までにSG発動基準の24万2000トンを超過。……
2021年04月17日
EPA利用でGI産品 輸出手続き簡素化 生産証明書提出不要に 農水省
農水省は2021年度から、地理的表示(GI)保護制度に登録された農産物を、経済連携協定(EPA)を使って低関税で輸出する場合の手続きを簡素化した。生産者による生産証明書の提出を不要にし、輸出業者の手間を省ける。タイやインドネシアなど14の国・地域向けが対象だ。
EPAによる低関税を適用して農産物を輸出する場合、輸出業者は、原産地が日本であることを証明する「原産地証明書」の発給を日本商工会議所から受ける必要がある。……
2021年04月16日
酪農ヘルパーに外国人材 「特定技能」 派遣で実証 北海道
北海道は、在留資格「特定技能」を取得した外国人を酪農ヘルパー利用組合に派遣する全国初の実証試験を始める。日替わりで複数の酪農家を回るヘルパーが特定技能の仕事にふさわしいかを見極め、適正な受け入れを道農政部とJA北海道中央会が探る。労務管理や、外国人材の技術・知識の向上につなげながら、酪農ヘルパーの人手不足対策としたい考えだ。(尾原浩子)
道中央会によると、特定技能の外国人が酪農ヘルパーになるのは全国に例がない。……
2021年04月15日
米トランプ政権時に輸入 トウモロコシどこに? 275万トン→実は6万8000トン
あのトウモロコシはどこに──。
14日の衆院農林水産委員会で、2019年8月に安倍晋三首相がトランプ米大統領(ともに当時)に輸入の意向を伝えた米国産トウモロコシの行方を巡るやりとりがあった。
質問者は立憲民主党の亀井亜紀子氏。「前から疑問だが」と前置きすると、「トランプ政権の時にトウモロコシを緊急輸入したかと思うが、どこに行ったのか」と尋ねた。
これに対し葉梨康弘農水副大臣は、19年7月に国内で害虫のツマジロクサヨトウを確認し、食害による飼料不足の懸念が生じたと説明。そこで、農畜産業振興機構の「飼料穀物備蓄緊急対策事業」で米国産を手当てしたと改めて答弁した。
当該トウモロコシの行方について、葉梨副大臣は当初、「国内で保管されて、使用されたということだ」と答弁。だが、直後に「国内で保管されたということだ」と言い直し、輸入後に使われたかどうかは言葉を濁した。
本紙の取材に対し、農水省は「同事業では報告を求めているわけではないが、順次使用されたと考えている」(飼料課)と説明する。輸入量は当初、最大275万トンと想定したが、結果的に害虫の被害が懸念ほど拡大せず、約6万8000トンに収まったという。
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2021年04月15日
原発処理水 海洋放出を決定 風評被害を懸念 農業関係者落胆「極めて遺憾」
政府が13日、東京電力福島第1原子力発電所から出る放射性物質トリチウムを含む処理水を海洋放出する方針を決めたことを受け、福島県の農業関係者からは、落胆と同時に風評被害を懸念する声が上がった。JA福島五連の菅野孝志会長は「福島県の第1次産業に携わる立場として極めて遺憾である」とコメントを発表した。
JA福島県青年連盟の手代木秀一前委員長は、「われわれの思いが反映されなくて残念」と無念さをにじませる。県青年連盟は、国が処理水の処分方法に関するパブリックコメントを募集していた際に、海洋放出などには反対し、トリチウム分離のための技術開発への支援を要望していた。
県内の農家が懸念しているのが農畜産物への風評被害だ。手代木前委員長は「これ以上の風評被害が起きないことを祈るが、いろいろな対策をしても風評被害は起こるのではないだろうか。県産農産物の競争力が落ちないか心配だ」と今後を懸念する。
菅野会長は「政府が説明する風評被害の発生抑止対策には具体性がない」と指摘した。
事故後10年経過した現在も農林水産物の風評被害が継続している実態から、「処理水の海洋放出は海産物ばかりでなく、県農林水産業の衰退が加速するとともに、風評被害が拡大することは確実」とした。
これに加えて「一層の研究開発により、放射能物質の完全除去ができる技術開発を進めるとともに、その間は貯蔵タンクの増設などにより本県農林水産物の安全・安心情報を守るよう切望する」と表明した。
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2021年04月14日