生チョコレートなど“生”という言葉を商品名に使った生スイーツの種類が大幅に増えブームとなっている。既存商品と比べて、しっとり滑らかな食感が特徴で、製法や素材の違いでぜいたくさも出せる。食感の実現には、米粉や生クリームなど国産素材が一役買っている。
日本スイーツ協会によると生スイーツは、1990年代の生チョコレート、2000年代の生キャラメルの登場を機に、その後多種多様な商品が誕生してブームになったという。加熱処理をしていない、生クリームを豊富に使う、やわらかく滑らかな食感などの共通項があり、「既存商品との違いを、生という語感から直観的に推察できることから消費が伸びているのではないか」と分析する。
焼かずに冷凍
サツマイモ本来の味が楽しめる「プレーン」や、宇治抹茶を使った「抹茶」などフレーバーを種類豊富に展開。単品(1個340円)での販売に加えて、数種類の味を食べ比べできる商品も販売する。
メインの客層は30、40代の女性。オンラインではギフト用としての購入が多く「実店舗では、自分へのご褒美用に買っていく人もいる」(同社)という。
新食感へ工夫
老舗和菓子店の千鳥屋宗家(兵庫県西宮市)は、国産素材にこだわった生どら焼き「もち生どら」(5個入り、1200円)をオンライン限定で販売する。同社は、新型コロナウイルス流行を背景に高まった巣ごもり需要に向けて「今までにない生菓子づくりに挑戦した」と話す。
生地は、国産の小麦粉と卵に加えて、国産のもち米粉を使うことでもっちりやわらかな食感を実現。中身にはあんこではなく、国産の生クリームが入っている。出来たての味を保つため冷凍での販売で、冷蔵庫で3時間解凍することを奨励している。若者に人気のパンケーキを和風に仕上げたイメージで、広い世代の顧客を狙う。オンライン販売の反響を受け、今後は同社の実店舗での販売も予定する。