日本農業新聞電子版の連載動画「就農5年目の山田君」取材に同行した。6月、サツマイモ苗植えの真っ最中だ。農薬に頼らず、徹底した土づくりで微生物を増やし、害虫や雑草を抑える農法はとにかく手間がかかる。土の状態を確かめながら忙しく動き回る彼の頭上でホトトギスが鳴き、エールを送る◆助っ人が2人、3人と現れる。農家でないため慣れた手つきとはいえないが、生き生きと働く姿が頼もしい。様子を見に来た山田君の”農の師匠”が「彼はおおらかで、植え方が曲がっても文句を言わない。そんな心の広い新米農家を応援したくて、誰もが集まってくるんだ」と目を細める◆田植えはこれから。除草剤を使わないので、雑草のピークを避けた遅い時期を選ぶ。「常に雑草との戦いですね」と問いかけたら、戸惑った表情を浮かべた。「戦おうとは思わないんです。戦うぞってなると、とてももたないから」。ファイティングポーズを構えてから拳を下ろし、笑った◆彼にとって雑草は自然の一部。駆逐する敵ではなく、受け入れて共生を探る存在なのだーー愚問を恥じた。毒ヘビを遠くへ放り、カエルをうれしそうにつかむ。虫も植物も人も、共に生きる場所をつくっていく。山田君の農業から、目が離せない。(安)
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